食品偽装は氷山の一角か
公明新聞:2007年10月31日
まず業界自らが厳しく襟を正せ
根深い企業体質
偽装表示や賞味期限の改ざんなどが相次ぎ、食品の安全性に対する信頼が大きく揺らいでいる。「ミートホープ」「白い恋人」「赤福」「比内地鶏」・・・・・・。これだけ短期間のうちに不正発覚が続くと、もしやこれは氷山の一角ではないかと疑いたくもなる。
先週、豚や鶏などの値段の安い肉を混ぜたミンチを「牛100%」と偽って出荷していたミートホープ社の田中稔元社長らが逮捕された。容疑は不正競争防止法違反(虚偽表示)。牛肉に見せかけるため家畜の血液などを使って赤みをつけていたほか、食中毒菌が検出された肉を平然と学校給食用に納入していたという。
石屋製菓のチョコレート菓子「白い恋人」は、「半年や1年は品質は変わらない」(石水勲前社長)として賞味期限の改ざんが平然と行われていた。創業300年の老舗メーカー「赤福」は、製造日や消費期限を偽ったばかりか、売れ残り商品の再利用も行っていた。商品に「比内地鶏」をうたっていた秋田県の会社に至っては、発売当初から全く別物だった。
いずれも人気の高かった商品や特産品ばかりだった。あまりに消費者を見下してはいないか。各社とも謝罪会見を開きはしたものの、かえって“偽装体質”の根深さを露呈した企業も見られた。当然のことながらこれら経営者の発言からは、食の安全を担っているとの誇りや自負は毛先ほども感じられない。これでは品質管理や法令順守への取り組みが置き去りにされるのも無理はない。
しかし、なぜこうも食の偽装が繰り返されるのか。2000年に雪印乳業製品による集団食中毒事件、2002年には雪印食品による牛肉偽装事件が起き、大きな社会問題となっている。そのたびに対策強化が図られてもきた。
1月に発覚した不二家の消費期限切れの原料使用問題を含め、今年表面化した偽装もいずれも経営者らが以前から不正を認識していた。だが、問題が発覚するまで「会社が立ちゆかなくなるから、偽装をやめられなかった」という。経営者のモラル(倫理)を欠いたあまりに身勝手な理由ではないか。これでは消費者は何を信用すればいいのか分からなくなる。
農林水産省が開設する「食品表示110番」に寄せられる内部告発などの情報提供が急増している。これまで全国の消費者や業者から寄せられる情報提供は毎月100件前後で推移していたが、ミートホープの偽装問題が発覚した6月以降に大きく伸び、6~9月の4カ月間では計1241件にも達している。前年同期に比べ約2.7倍の伸びとなる。このうちの1件が東海農政局(名古屋市)にもたらされた情報であり、「赤福」の製造日の改ざんを突き止めるきっかけになった。
今回の一連の不祥事は内部告発が契機となって明るみに出ている。その背景として、典型的な同族企業で、不正行為をただす現場からの声がトップに届きにくい企業体質があるとの指摘もある。
監視体制の強化を
食の安全・安心に対する国民の意識は高まっている。関係者は、偽装表示は表示を信頼する消費者に対する重大な背信行為にほかならないことを深く肝に銘じてもらいたい。度重なる偽装の発覚を受けてさらなる監視体制の強化なども必要だろう。だが、まず食の製造、加工にかかわる業界自らが厳しく襟を正してもらいたい。
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