ノーベル平和賞 地球温暖化の脅威に警鐘
公明新聞:2007年10月17日
「ポスト京都」策定への弾みに
IPCCとゴア氏に
2007年のノーベル平和賞が、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」と、アル・ゴア前米副大統領に授与されることが決まった。
「人類が引き起こした気候変動に関する知識の普及に尽力した」(ノルウェーのノーベル賞委員会)ことが授賞理由である。戦争や核の拡散と同じように、地球温暖化も世界の平和と人類の生存にとって重大な脅威であるとの警鐘が打ち鳴らされた格好だ。授賞を機に、温暖化防止への取り組みが加速されることを期待したい。
IPCCは、国連環境計画と世界気象機関の下に1988年に設立された。日本を含む100カ国以上の科学者が参加し、二酸化炭素など温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化の科学・技術的および社会・経済的評価を行ってきた。90年に公表した第1次報告書が国連気候変動枠組み条約(92年採択)につながり、そこから京都議定書(97年採択)が生まれたことは周知の通りだ。
とりわけ今年(2007年)4月に発表した第4次報告書の作成には、3000人以上の科学者が協力。スーパーコンピューターを駆使してこれまでにない精密な分析を行い、「温暖化は人間活動がもたらした可能性が極めて高い」と断定した。さらに、このまま温暖化が進むと地球全域で深刻な損失が発生するとも警告。科学と政治のせめぎ合いに事実上の終止符を打ち、各国首脳に政治的決断を迫った。
この「世界の科学者の総意」が、6月のG8サミット(主要国首脳会議)における「2050年までの温室効果ガス排出半減」という長期目標の「真剣な検討」を後押ししたことも、これまた周知の事実である。IPCCへの授賞は、科学が政治を動かしたことへの称賛と言えるかもしれない。
ゴア氏は早くから環境問題に関心を持ち、10年前には米副大統領として京都会議に出席、京都議定書の採択を主導した。副大統領退任後は講演活動に力を注ぎ、世界中で温暖化対策を訴え続けてきた。映像やグラフを駆使して情熱的に語るその講演は「世界で最もエキサイティングなスライド・ショー」と呼ばれ、その回数は1000回以上にも及んだとされる。
この精力的な講演活動を題材につくられたのが、ドキュメンタリー映画「不都合な真実」(2006年)だ。世界中で大きな話題を呼び、アカデミー賞にも選ばれた。
映画の一部は科学的根拠に欠ける、ブッシュ政権を意識した政治的思惑絡みの平和賞だ――といった声も一部にあるようだが、「個人として温暖化対策への理解を広めることに最も貢献した人物」(ノーベル賞委員会)であることは間違いない。平和賞授賞は当然至極の結論と言うべきだろう。
脱温暖化へ正念場
温暖化問題は今、重要な時期に差し掛かっている。まず、京都議定書に従って先進国が排出を減らす約束期間が来年から始まる。だが、日本をはじめ多くの国で約束厳守のメドが立っていない。既に断念を表明した国もある。
13年以降の「ポスト京都」の枠組みづくりもこれから本格化する。京都議定書から離脱している米国や、削減義務のない中国、インドなどの大量排出国をどう引き込むか。乗り越えなければならないハードルは高く険しい。
今回の平和賞を弾みに、各国が実効性ある温暖化防止へ結束して乗り出すことを強く求めたい。
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