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「多文化共生」の社会へ
外国人材の受け入れ拡大で入管法改正
技能実習制度の運用改善 悪質ブローカー排除も
赤羽一嘉・党対策本部長に聞く
外国人材の受け入れを拡大する改正出入国管理法が8日に成立しました。深刻な人手不足に対応するため、新たな在留資格を設け、外国人材の就労分野を広げるものです。来年4月に施行される改正法の意義や公明党の取り組みについて、党「新たな外国人材の受入れ対策本部」の赤羽一嘉本部長(衆院議員)に聞きました。
生活、就労支援を充実
深刻化する人手不足の解消急務
――外国人材の受け入れ拡大の背景は。
赤羽一嘉本部長 自公政権で日本経済が大きく改善した結果、有効求人倍率は非常に高い水準にあります。一方、少子高齢化の進展で生産年齢人口(15~64歳)が減っており、人手不足が深刻化しています。
日本で働く外国人(約128万人)の4割は、技能実習生と留学生のアルバイトが占めていますが、劣悪な条件で安価な労働力として利用されている、ひどい実態もあります。
今回の法改正は、こうした反省を踏まえ、多文化共生社会の構築に向けて、国・自治体が外国人材の人権を保障し、生き生きと就労できる新たな制度を創設するものです。
――外国人労働者の増加に対して国民の不安も少なくありません。
赤羽 そうした懸念を受け止め、党対策本部では会議を11回開き、丁寧な議論を積み重ねてきました。外国人技能実習生から賃金未払いや劣悪な労働環境に関する相談に応じる施設も調査しました。
その上で、対策本部として受け入れ環境整備に向けた決議を取りまとめ、政府に対し、日本語教育の充実や、住宅確保を含む生活支援、給与・休暇・福利厚生など労働環境の改善に関する37項目に及ぶ総合的な対応策を要望。新制度の施行後も不断の見直しとフォローを行うため、自治体や住民らの意見を聞き、財政支援などを行う規定を法律に設けました。
全国に相談窓口設置
自公維3党で修正 大都市へ集中防ぐ
――国会審議では技能実習制度の課題も論点になりましたが、公明党の成果は。
赤羽 実習生の失踪問題には、悪質ブローカーの暗躍があるため、公明党は衆参法務委員会の質疑などで対策強化を重ねて主張。年内に政府が策定する外国人労働者の受け入れに関する基本方針に、悪質ブローカー排除に向けた対策が盛り込まれることになりました。
生活や教育、就労に関する情報提供・相談をワンストップ(1カ所)で行う窓口も全国に設置されます。
一方で、自民、公明、日本維新の会の3党で修正協議を行い、外国人材の大都市への集中を防ぐ規定や地域住民との共生支援などを盛り込み、より良い制度にすることができました。
――中身が“スカスカ”などとの批判もありましたが。
赤羽 今回の法律は、新制度の骨格を定めるもので、具体的な肉付けは、基本方針や分野別の運用方針、政省令などで行うことになっています。党としては、これらもしっかり審査し、適切な運用を確保します。一部の批判は、法律の仕組みを踏まえず、悪い印象を与えようとするための“レッテル”を貼ろうとしているにすぎません。
今後、外国人材から選ばれる国をめざし、多文化共生社会の構築へ生活支援策の充実に引き続き取り組みます。