市民への説明責任を果たすために
今年度最後の「公会計による行政経営」の研修を受けて参りました。
私は、この企業会計のような複式簿記の新公会計を
進めるべきとの立場で議会で要望してきました。
今回は、2012年から導入している町田市の施設運営マネジメントを
進めてきた町田市財政課長から具体的に伺ってきました。
本市が緊急財政対策となってしまった根本原因は
中期的な財政負担の見通しができなかったことだと考えます。
一般企業では複式簿記を使って資産、負債の管理をして
中長期的な財政管理をして黒字経営を維持するとともに
投資的事業などの必要性やタイミングを図ります。
自治体の会計は古くから単年度会計、現金主義です。
税金を市民のためにどのように使うかを細部にわたって
細かく管理し、予算、決算も議会の承認を受けています。
ところが、今回議会も見抜けなかった財政破綻がおこりました。
単年度会計の報告だけでは、
増えた負債の支払時期の予定が議員にもわかりませんでした。
財政健全化のために国は新公会計制度の整備促進を通知しました。
きっかけともなった夕張市の財政破綻の原因には3つポイントがあります。
① 人口減少 炭鉱が閉山となり著しい人口減少があった
② 資産の取得 投資をして雇用の場を作り続けたが失敗した
③ 不適切な会計処理 赤字を不適切な会計処理で隠そうとした
これは単年度に出た負債を第三セクターとの借入金、貸付金を計上して
表面上の赤字をわかりにくくし、結果赤字を増大させました。
本市の場合は、年度末の財政調整基金は維持し
決算書には財政調整基金に残金があるとしながらも
翌年当初には財政調整基金を使って財政運営を行っており
29年6月の緊急な出費で回らなくなりました。
企業会計のような複式簿記の利点は
資産・債務の明確化です。
建物を建て資産を取得してもその後にかかってくる
債務返済費用、維持費、人件費、修理費用などが
どの程度になるのか、人口減少に伴う収入の減少にはどう対応できるのか。
市民サービスの充実という大前提がありますが
コストパフォーマンスも同時にデータによって検討しなければならない。
今回のような事業の削減にも分かりやすい納得できる資料が必要でした。
町田市ではこのような内容が明確にわかる
「施設別行政評価シート」を作成しています。
市民への説明責任を果たすためにダイジェスト版を作成し
自治会や自治会連合会、市政懇談会などにおいて
事業の成果やコストを説明し評価を得ています。
新公会計を新たに取り入れるには費用がかかる、職員の理解のための研修など
ハードルはありますが、健全経営のために引き続き要望してまいります。