愛する人を助けるために今日からできる5つのこと
28日に「知って安心! 逗子葉山の救急医療」セミナーが
逗子・葉山地域医療を考える会主催で開催されました。
最初に逗子消防署から、逗子市の救急医療の現状のお話があり
救急車に乗ってからの救急救命士の救命処置について説明がありました。
逗子市の2017年の救急搬送は3000件、搬送時間の平均は43.2分でした。
全国平均は39.3分で若干時間がかかっているようです。
救急救命士とは、半年間の研修後国家試験に合格し
厚生労働大臣の免許を受けて医師の指示の下、救命処置を行える者です。
救命処置とは
気管挿管(チューブを気管に入れ気道を確保する)
静脈路確保(点滴処置)
薬剤投与(強心剤)
血糖測定&ブドウ糖投与(低血糖の判断)
心肺停止前の静脈路確保(点滴処置)
救急車1台につき3名が乗車し、その内1~2名が救急救命士です。
病院を探し到着までは救急救命士が救命処置を行います。
乗った時から治療は始まっているのです。
また、救急車を呼ぶべきか迷う時のために
消防庁では、住民の緊急度判定を支援し、利用できる医療機関や受診手段の
情報を提供するため、家庭自己判断基準をもとに
全国版救急受診アプリ「Q助」を作成したそうです。(無料)
葉山ハートセンターER型救急について
葉山ハートセンター救急総合診療科 廣瀬医師の講座もありました。
題して「愛する人を助けるために今日からできる5つのこと」
救急車が到着するまでの全国平均は8.5分かかるそうです。
それまで回りにいる人がどう手当てをしたかで救える命があります。
私たちができることを5つ教えていただきました。
①出血の場合
用手的直接圧迫止血法
出血部位をしっかり確認してから5~10分程度圧迫する
顔面や頭部は血流が豊富で出血量も多くなりやすいが
骨が下にあるので圧迫しやすく止血効果は大きい。
鼻血の止血方法は尾翼の圧迫による止血方法が効果的で
下を向いて5分が正解です。
よく聞く上を向かせたり、首の後ろをトントン叩いたりする方法は、
鼻血が喉をつたって食道に流れてしまいます。
絶対上を向かせてはいけません。
②失神の場合
血圧低下が原因で頭に血がいかなくなっているので
横にして、足を挙げる体位で救急車を待ちましょう。
③痙攣の場合
突然痙攣をおこして倒れた方に遭遇した時にあわててしまうが
安全確保と気道確保をします。
回りのものをどかす、公道だったら危険のない場所に動かすなど。
頭部後屈あご先挙上法(あごを挙げさせ、気道確保)
絶対やってはいけない事
身体を揺する、抱きしめる、叩く、大声をかける、薬や水を飲ませる
④窒息の場合
軽度→強い咳を促す、自力排出を試みる、そばで状態を監視
改善がなければ救急要請する。
重度→チョークサイン(イラスト)、声が出せない
すぐに救急要請し窒息の解除を試みる。(腹部突き上げ法、背部叩打法)
意識がなくなれば心肺蘇生開始する。
⑤心肺停止の場合
死亡率は
多量出血後約30分で50%死亡
呼吸停止後約10分で50%死亡
心臓停止後約3分で50%死亡
救急車到着までの心肺蘇生法が命を守ります。
1⃣意識の確認
呼びかけても反応がない→応援を呼ぶ(AED・救急車)
2⃣呼吸の確認
呼吸もしていない→すぐに心肺蘇生開始
3⃣胸骨圧迫
硬い床の上で、胸の真ん中を手の平で押します。
両方の手のひらを下に向けて重ねる。
肘を伸ばし胸に向かって真っすぐおろす。
強く:約5cm(胸の厚み1/3)押した分戻す
早く:一分間に100~120回
絶え間なく:中段10秒以内、疲れたら交代
4⃣人工呼吸
あごを持ち上げ気道を確保したまま行う
鼻をつまみ、1秒間息を吹き込み、いったん口を離す。
胸骨圧迫:人工呼吸は、30:2(二人なら15:2)
人工呼吸は難しければ省略可能
5⃣AED到着
AEDパッドに描いてある通りに電極を貼る。AEDの指示に従う。
付けている間も心肺蘇生は続ける。
救急隊に引き継ぐか傷病者が動き始めるまで継続する。
救急隊や救急診療科医師の生死に直面している実態と、
私たちも覚えておかなくてはならない貴重な内容で
素晴らしいセミナーとなりました。
参加者58名、
反響が大きく、医療についての関心の高さが感じられました。