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バックナンバー 2010年 8月

 山形県鶴岡市では、まず、水道ビジョンと水道事業ガイドラインについて学んだ。鶴岡市は昭和の合併や産業発展の影響で、給水量が取水量を大きく上回り、水源が地下水ということから、気象にも大きく左右され、地下水に頼らない安定した新しい水源確保が課題であったとのこと。

 昭和56年にダム建設が始まり、平成13年から月山ダム水源とする庄内広域水道事業から受水開始。平成21年4月からは、鶴岡市の5上水道事業と17簡易水道事業に月山水道企業団の上水道事業を統合して、鶴岡市水道事業が発足。(鶴岡市人口147,160人、給水人口146,227人、普及率99.4%、水源(広域水道87%、自己水源13%・・・全市))

 水道を取り巻く現状としては、○水道施設の老朽化、○人口減少時代突入、○官民・地方国の役割分担の見直し、を挙げておられます。

 平成17年の市町合併で料金格差は1.4~1.9あったとのこと。8回にわたり料金統一の協議を行ったが、藤島地域のみが高く(月山水道企業団)非常に調整困難だったが、鶴岡市水道事業と月山水道事業を統合し、料金統一が実現(水道、簡易水道とも統一)。

 大きな課題は、水質管理の強化。簡易水道について自動で水質管理ができる設備を整備したとのこと。クリプトスポリジウム対策(汚染対策)(紫外線強化)は4箇所。

 合併して、設備の充実などお金をかけても、「(合併前より数段に)水が美味しくなった」等の効果が現れるものではないので、市民に対して効果のPRがしにくい・・・、との本音も。

 また、もう一つの課題は、水道設備の老朽化対策(温海地域が主)。石綿セメント管の更新はほぼできたが、鉛製管の更新はできていない。1件、15万円位が必要であり、できても200件位であるという。

 併せて、配水池の老朽化改修も大きな課題。人口減少、取水量減少の中で、現在と同等の大き目の施設を造ることができない。特に、簡易水道は100人を下回ると飲料水供給事業(衛生部門、水道より格下)となるため、簡易水道を維持しての改修が難しい。中でも課題は、少人数配水地の改修で、現配水池の中に、より小さい配水池を造るという手もあるとか・・・。

 漏水の検査については、市街地を2~3年で1周回するペース。外部委託をしている(県内4~5社、入札)。最近、漏水が増えている(鶴岡市内)。鶴岡市内は、鉛製管の関係で水圧を下げていた(家庭内で1箇所蛇口を開くと、他所では水が出ない位)が、鉛製管の更新で水圧を上げた結果、漏水が増えた格好となっている。

 安心、安定、持続の水道、災害に強い水道を目指して、取り組んでおられることが良くわかり、参考になりました。昨年の山口市朝田浄水場の給水停止もご存知でした。

 山形県鶴岡市では、もう一つ、食育推進計画と地産地消推進計画について、鶴岡市藤島ふれあい食センターを訪問。地元の食材を多く使い、安心・安全な美味しい給食を、小さな子どもから高齢者まで提供されていることを、学ばせていただきました。

 一日1,500食、中学校、小学校、保育園、幼稚園、福祉施設と実施をしている。平成16年に内閣府より「構造改革特区(地産地消で育つ元気なこどもの楽しい給食特区)」の認定を受け、学校給食センターではなく、総合給食センターとして実施運営されている。給食費は、中学校290円、小学校250円(公私とも)。搬送業務は、業務委託をしている。

 給食は週5日の完全給食、米飯給食は週4回、パン給食は週1回。米飯学校給食促進事業により、パン給食(月1回)を米飯給食にしている。(米飯は委託)

 また、地場産の大豆の消費拡大事業を行っている(外国産と地場産の価格差を市で補填している(30万円位))。

 地元産の農産物は、生産者組織「サンサン畑の会(17個人、4団体、6,000ha.)」が納入している。平成21年度の地場産野菜の使用割合は地場産(藤島地域)52.7%、庄内産14.5%で67.2%となっているとのこと。

 ちなみに、配送する車両の燃料は、天ぷら廃油を使用し、100%バイオエタノール。

 昭和50年代、JAを仲介に地産地消をするも失敗。理由①規格外野菜を出してしまう、②もったいなくないように、③農家側もJAに出せばそれで終わりの意識、結果として欠品が発生し、JAも割に合わぬ、となってしまった。

 現在は、農家も意識が変化した。旧町長のリーダーシップも大きく、農家に儲けは少ないが、美味しく安全な産物を子どもに食べさせたいとの意識に・・・。

 鶴岡市の学校給食は、センター方式の施設が5施設で12,034食、自校方式が5校で664食。市全体で地産地消率を上げていこうとの動きがあるようである。

 給食費未納の課題では、現在は200万円(これは、給食費だけでなく、税金や保険も未納となっている家庭)、古い家庭で平成11年から。件数は10数件、1件につき高額な家庭は70万円位(子だくさん、小・中)、20万円台が数件あり。不能欠損できないので、帳簿に残ってしまう。

 行財政改革の流れの中、職員の処遇についての議論があるが、直営は厳しくなってきているが、委託では食材に何を使用しているか見えない(チェックが難しい)。PFI方式もあるが、どこまでは直営で、どこからが委託なのか、行政自治体によりまちまちである。本来の目的は、子どもに安全な良い食事を提供することが狙いであり、「献立と食材提供は、絶対に委託はさせない」と言っている首長もおられるそうだ。

 お昼の時間となり、当日作られた給食を、視察団も食べさせていただいた。美味しい地場産の作物を、心を込めて美味しく作って下さった、スタッフの「優しい心」も味あわせて頂いた。このセンターで使用される食器は、プラスティック製ではなく「陶器」である。少々高いそうだが、子どもたちに「落としたら割れてしまう、モノを大切にする心(プラスティックでは乱雑に扱ったり、投げたりしてしまう)」を学んでもらいたいとのこと。

 野菜を運ぶ、アルミケースもケースを冷蔵庫でまず冷やし、冷えたケースの中へ野菜を注ぎ配送。子どもたちに冷たい新鮮な野菜を食べてもらいたいと、優しい心・愛情のこもったおもてなし、本当に感動をした次第である。

 

 山形県酒田市は、アカデミー賞受賞の映画「おくりびと」のロケ地のある街。ロケ地誘客事業で観光活性化のヒントを得ようと訪問した次第。ロケが行われた建物内で、市の担当者から話を聞かせていただくことができ、感激もひとしおであった。市内は「おくりびと」ロケ地として、「おくりびと」ゆかりの地が随所にあった。

 このロケ地建物は、元々は料亭・進駐軍のレストラン(個人所有物件)であったとのこと。ロケ地となった経緯は、庄内映画村にTBS・松竹よりオファーがあり、脚本の小山薫堂氏が山形の大学の客員教授であったことから、脚本を書くのに庄内が適しているとのことで、ほとんどの撮影を酒田市で行ったとのこと。

 ロケの2ヶ月間、エキストラの手配からロケ弁当の用意に至るまで、「NPO法人酒田ロケーションボックス」を立ち上げ、このNPOが担った。現在はロケ地建物を管理している。

 特筆は、NPO法人とタイアップしてロケーションコミッッションを行ったこと。行政、NPO、民間の役割を明確化して行ったので、市で特別に予算化するものはなかった。

 建物内のセットの机や什器などは、廃校した市内小学校の備品を市長や職員自ら、トラックで運び入れたものとか・・・。建物内の随所に、市長や市職員を挙げて懸命に「盛り上げよう!」という心を感じることができた。

 建物の一般公開は当初期限を設けていたが、ロケツアーなどの旅行客が増加し、延長している状況であるが、今後の運営や管理について検討しているとのこと。現在は、NPOを通じて映画関係者に「ベストなロケ地」宣伝を実施展開中。

 100円の入館料を取っており、清掃協力金として市が助成をしている。

 興味のある経済効果については、数億円とのこと。年間で、観光人が30~40万人増となり、宿泊も15%増えたとのこと。アカデミー賞を受賞した後に、市内観光関係者やタクシードライバーらは、観光研修会を開いたとのこと。我々が視察をしていたその時にも、福島県からバスガイドの一行が観光研修に訪れていた。

 全国各地のナンバーの自動車をよく見ることからも、増加したことがよくわかるそうだ。受け入れる駐車場が少なく、向かいの神社前のデッドスペース(車止めされていた部分)の縁石を、道路担当と削り、スペースを確保したとか・・・。

 国の登録有形文化財の「山王くらぶ」にも訪問することができた。料亭文化や商人のまちづくりなど、肌で触れることができた。

 

 秋田県秋田市は、市勢活性化推進本部を設置し、計画を実行している。中心市街地活性化基本計画は、平成19年に作成、平成20年5月に内閣総理大臣へ申請していたものが、同年20年7月に認定を受けたものである(計画期間は平成20年7月~平成25年3月までの4年9ヶ月)。山口市は、同計画を平成19年5月に認定を受けたものであり(計画期間は4年11ヶ月)、ほぼ秋田市と山口市は同時期に中心市街地活性化に向けて、実行しているものといえる。また、JR駅前から商店街、居住エリア、文化・歴史財と、基本的な形についてもほぼ同じような感じを覚える。

 同計画作成の背景には、地価下落や居住人口減少、事業所数減少、大型店の郊外進出などにより、歩行者通行量や小売業の商品販売額の衰退傾向に歯止めがかからなくなった状況があったようである。また、同計画を作成するにあたり、国のまちづくり三法の改正に基づき、商店街などでアンケートを実施しして計画策定。パブリックコメントでは、予想を大きく上回る53名からの回答が寄せられたようである。

 また、中心市街地を活性化する根拠としては、秋田市全体としては人口が年間2,000人減少している中、同市中心地は10年間で人口・世帯ともに微増をしていること。マンションが増えてきており、中心市街地居住者のうち、マンションは40%(平成19年は20%)を占める状況となっている。(特徴としては、14棟。1世帯あたり1.82人。単身世帯が80%。特に高齢の女性単身世帯が多い)

 具体的な目標としては、歩行者・通行量の増(1.3倍)、定住人口の増(1.1倍)、小売販売額の増(1.2倍)、空き店舗数の減(18店舗減)である。

 同計画の事業は40事業。分野別には「市街地の整備改善のための事業」、「商業の活性化のための事業および措置」に加え、「都市福利施設を整備する事業」、「街なか居住推進のための事業」、「公共交通機関の利用者の利便の増進を図るための事業」の計5つの事業分野でカテゴリー分けされている。

 中でも大きな事業は、仮称・秋田市にぎわい交流館の建設。市街地再開発事業として、住宅棟(ケアハウスも併設)・商業施設・公共駐車棟・県立美術館なども集合し、文化と交流の拠点を造ろうとしている。また、県産材として秋田杉を使用した街並みづくりや、街なか居住支援、中心市街地出店促進事業、公共交通タウンビークル運行など、盛りだくさんの内容と成っている。

 進捗状況としては、40事業のうち9事業は完了しているとのこと(単発的なイベント事業であったりなど)。

 また、目標に対しては、歩行者・通行量はイベント等の効果もあり2年で2,300人の増、居住者数は同じく120強人の増、空き店舗は同じく6減となっており、事業の効果が表れているようである。ただし、イベント事業は完了しており、歩行者・通行量は頭打ち状態。あとは、っ中心市街地再開発による定住人口の増で増やしていきたいとのこと。

 懸案事項として、イトーヨカドー秋田店が撤退するとのことであり、市を挙げて賑わいが途切れぬよう努力していくとのことであった。

 いずれにしても、山口市においても同じような状況があり、市と市民の協力なくしては成し得ない事業であると強く感じた次第。

8月11日、帯広市を訪問し、十勝産業クラスターの形成について視察研修を行いました。

北海道帯広市では、十勝産業クラスターの形成について学んだ。産業クラスターとは、限られた地域の産官学が互いに競争、協力しながら技術革新(イノベーション)を重ね、新たな商品やサービスを生み出すことで産業育成と地域振興を目ざす概念で ある。ここでは、農業を中心とし、これに関する産業、公共事業及び商業・サービス業の集積等により民間レベルでの新産業創造活動の誘発をさせていくことで ある。平成19年3月には帯広市中小企業振興基本条例が施行されており、中小企業に対する独自の融資制度や工業団地立地奨励金など、行政レベルでの後押し が充実している。また、平成21年2月には、帯広市産業振興ビジョンが策定されている。

このような背景のもと、産学官の連携・地元企業の育成などが相まって、「とうふくん」「ながいも酢」「鮭節だし醤」などのヒット商品も生まれた。

産業クラスターへの取り組みについては、今後のあり方について議論されているようで、永続的なものではない。しかし、農業を中心にわが街を活性化していくという方向性にブレはなく、新たな施策展開への足掛かりになっていることは間違いないと感じた。

研修の行われた、十勝産業振興センターはこれらの取り組みの拠点施設。研修後、施設内のバイオエタノール実験プラントも見学させていただいた。バイオマス事業を含めた新エネルギー産業への取り組みも今後の課題のようである。

8月10日、幕別町を訪問し、パークゴルフを活かしたまちづくりについて視察研修を行いました。

北海道幕別町は パークゴルフ発祥の地。駅のホームに降りると、「パークゴルフのまち幕別町」の看板。駅前にある建物は幕別パークプラザには物産品の棚にパークゴルフ用 品。駅前広場には、パークゴルフをしている三世代の銅像。駅前通りの標識にもパークゴルフのロゴがついており、徹底している。(ちなみに、この標識につい ては町の単独事業で設置しているとのこと。)

視 察研修では、パークゴルフ誕生の歴史から観光施策としての活用、産業育成への効果など、幅広く学んだ。町内のパークゴルフ場はすべて無料となっている。発 祥の地としての気概・普及促進への町の責務からだという。このため、周辺市町から町内のパークゴルフ場へ来られる方も多い。また、冬季のパークゴルフ場が 使用できない期間は、本州への「パークゴルフ・ツアー」も企画されるなど、交流人口の増加の成果もある。地元企業によるクラブとボールの開発もあり、地元 経済活性化にも一役買っている。

気になる管理費については、都市公園内に設置しているゴルフ場は全12コースで、年間管理費は18,842千円。都市公園以外に設置されている2コースについては地域住民管理としていることも特筆すべきところ。1㎡あたり9円の交付金も用意し、地域住民の取り組みを後押ししている。市民との協働のモデルを見た思いである。

何 より、町全体をパークゴルフで盛り上げていこうという雰囲気をヒシヒシと感じた研修であった。研修にはNPO国際パークゴルフ協会の常務理事と事務局長も 同席。常務理事の三井氏は27年前、町の公園管理係長でありながら、公園内に手掘りで穴を掘り、コースを作った人物。本来なら、誰が何と言おうと、公園内 に異物を設置する(公園に穴を掘る)ことに対して、誰よりも反対しなければならない立場であったはず。当時の心境を含め、様々なお話を伺うことができたの は幸運であった。

8月6日、千歳市を訪問し、千歳市子ども活動支援センターについて視察研修を行いました。

北海道千歳市では平成16年度より、子ども活動支援センターを設置している。その目的は子どもの地域における体験活動や家庭教育支援等に関する情報について、収集・提供や活動コーディネートを行い、子どもや親の活動を支援することとされている。

「子 ども活動支援センター」という呼称から、いわゆる「箱モノ」をイメージされやすいが、子どもや親たちの活動を支援する機能の総称であるということ。市教育 委員会生涯学習課内に設置はしているが、独自の施設管理などはない。組織としての運営ではなく、個人ボランティアの集合体として運営されている。支援に対 する報酬(報償費)も一日で一人1000円としており、中には受け取りを拒否する場合もあるとのこと。情報誌「マナビー」を毎月発行。小中学校を通じ、毎 月8400部。全児童生徒に行き渡るようにしている。満足度は高いようで、その点は定員充足率の高さからも推測できる。ただし、より客観的な費用対効果を 測る指標がないことは、今後の事業継続や他自治体での積極的な取り組みを足踏みさせることにもなりかねないため、今後の課題である。もう一点、これらの取 り組みを後押ししているのが、自衛隊の存在。多くの比較的若い世代の人間が、短期間で転居、入居を繰り返しており、若い世代の親子の参加しやすい活動の情 報を提供し続けていることがあるようだ。(市の人口の3分の1が、OBを含む自衛隊関係者とのこと。)

こ れらの活動の中心的役割を担っているのが、財団法人千歳青少年教育財団。千歳サケのふるさと館を経営しているほか、道の駅サーモンパーク千歳の指定管理者 となっている。ただし、その経営は非常に厳しく、議会においても多くの議論が交わされているとのこと。しかし、社会教育施設の運営に対して、どこまで経営 の理念を反映させるかは非常に難しいと感じた。

山口市において同様の機能を待たせた「センター」への取り組みを展開する場合、民間の動きと連動して動ける「集団」の存在が必要だろう。例えば、山口情報芸術センターを管理している財団法人文化振興財団に同様の取り組みを求めるのは突飛な話か。

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山口市 村上満典