テロ等準備罪法についての討論「6月本会議最終日」

討論

【反対討論】議会案第7号

 

公明党山形市議団を代表し、議会案第7号「改正組織犯罪処罰法」の強行可決に抗議し廃止を求める意見書ついて「反対の立場」から討論いたします。

 

初めに、世界各地で発生している許し難き卑劣なテロ行為を強く非難すると伴に、その犠牲者と御遺族の方々に心からの哀悼の意を表します。そして、今尚、苦しむ大勢の負傷者の方々の一日も早い回復を心からご祈念申し上げます。

 

さて「テロ等準備罪法」を新設した理由は、テロなどの組織的「重大犯罪を未然」に防ぐためです。日本では、2年後にラグビーワールドカップや3年後に東京オリンピック・パラリンピックが控えております。こうした国際大会は、世界中から注目が集まり、多くの外国人が日本を訪れ、テロへの脅威が高まることから、未然防止に万全の態勢を整える必要があります。テロの未然防止には、情報交換や捜査協力など、国際社会との連携が必要です。

 

これまでもテロ犯罪防止のために13の国際条約を締結し、未然防止に努めてきましたが、世界各地で頻発している多様化したテロを防止することは極めて困難です。このことから、政府は、すでに187カ国・地域が締結している国際組織犯罪防止条約、いわゆるTOC条約の早期締結をめざしてきました。

 

TOC条約が採択された2000年の国連総会では、テロ関連条約の重要性が指摘され、国連加盟国に対し、条約加盟を強く求めてきました。現在、同条約に187カ国・地域が加盟しておりますが、未加盟国は日本を含め11カ国のみ。主要国では日本だけであり、テロ集団は、この付け入る隙を見逃してくれる訳がありません。

 

TOC条約は、重大な犯罪(長期4年以上の懲役・禁錮刑の罪)を行うことの「合意」、または、組織的な犯罪集団の活動への「参加」の少なくとも一方を犯罪とするよう求めています。日本の現行法には、条約が求める「重大な犯罪の合意罪」に当たる罪は一部の犯罪にしか規定がなく、「参加罪」は存在しません。

 

TOC条約締結に当たって国内法を新設した国は187カ国のうち2カ国しかないと批判する人もいますが、もともと英米法系の国であれば「合意罪」、大陸法系の国であれば「参加罪」が整備されており、187カ国は基本的に、元々どちらかの法律を持っており、新しく法整備をする必要がなかったのです。

 

今回の「テロ等準備罪」法案に反対している人の論理から言うと、この187カ国は著しく人権を侵害している国となってしまいますが本当にそうでしょうか。

 

また、一部からは、国内法を整備しなくても条約を締結できるという意見があります。そうだとしたら、なぜ2009年発足した民主党政権は、この条件を満たすことなく、政権に就いた3年3か月の中で加盟実現に至らなかったのでしょうか。国民の命を守る責任に欠しかったと言わざるを得ません。結局は、日本の現行法では条約を締結するのは難しいと思ったからではないでしょうか。これらのことをハッキリと国民に説明しないで反対・反対と言うのは反対が前提の姿勢のなにものでもありません。

 

TOC条約加盟には、必要な条件をみたす国内法として「テロ等準備罪法」を成立させなければなりません。そして、条約加盟が実現すれば、捜査共助の迅速化、日常的な情報交換の促進、逃亡犯人引き渡しが可能となり、テロなどの重大犯罪を発生前に未然に防止することが可能となります。

 

今回成立したテロ等準備罪法は、まず、犯罪主体を、テロ組織、暴力団、薬物密売組織、人身売買組織等といった「組織的犯罪集団」に限定しております。そして次に、その犯罪集団が犯罪の遂行を、2人以上で具体的・現実的に「計画」することに加え、「その計画」に基づいて、資金や物の手配、関係場所の下見といった犯罪を実行するための「準備行為」が行われることで、犯罪集団全員を取り締まることができます。尚且つ、対象犯罪を、死刑、無期または4年以上の懲役・禁錮が定められている罪のうち、当初の676から、現実的な脅威である277の犯罪へ限定いたしました。

 

これに対し過去3度廃案となった「共謀罪」は、対象主体を「単なる団体」としており「組織的犯罪集団」に限定しておりませんでした。また、計画に基づいた準備行為なしに「単なる合意」のみで処罰ができるとしておりました。これは内心の自由を著しく侵害する恐れがあり、憲法に違反する可能性があります。

 

この様に「テロ等準備罪」と「共謀罪」を比較すると、全く別物であることは明らかです。法案成立に反対する野党が、本来、国民の安全と安心を守るべき立場でありながら「共謀罪と同様である」との主張を繰り返し国民に不安を与えたことは“あまりにも無責任”ではないでしょうか。

 

今法案成立により、民間団体や労働組合を含め「一般人が捜査対象となること」や「内心の自由が侵害される」との批判は全くあてはまりません。また、テロ等準備罪は、通信傍受法の対象犯罪ではないことから「警察の捜査が広がり、LINEやメールが傍受され監視社会になるのではないか」といった国民の不安を煽るような主張もあてはまりません。仮に、捜査機関が国民全体を監視するとしたら、どれだけのコストとマンパワーが必要になるのかを考えただけでも、あまりにも現実からかけ離れています。

 

また、どのような犯罪でも嫌疑がなければ裁判所が令状を交付することができないことから、逮捕や家宅捜索などの強制捜査をすることも不可能であることは明白です。また、成立廃止を求める野党は、戦前の治安維持法と同視するような滑稽な主張を繰り返しておりますが、そもそも、旧憲法下の治安維持法は、国体を変革することを目的とした結社に、拷問や拘束などの処罰を加えた悪法であり、成立した法案の比較対象として根本的に内容が異なるうえ、成熟した民主主義と司法手続、マスコミ等により監視が行き届いている現在、治安維持法と同様の問題が生じる可能性は皆無であり“不見識きわまりない主張である”と断じざるを得ません。

 

次に、国会審議と採決についてです。

参院法務委員会での採決を省略するような手続きを行ったことに対して、「乱暴ではないか」との指摘がありますが、そもそも参院法務委は、秋野公造委員長(公明党)の下、野党の質問機会を十分に確保してまいりました。丁寧に審議を進めるため、6月13日の委員会でも、野党に4時間の審議時間を与え審議をおこなってきました。

 

しかし、民進党と共産党は自分たちだけの主張を述べた直後、有ろうことか、日本維新の会の議員の質問中に、金田大臣への問責決議を提出し審議が途中で取りやめになりました。本来であれば、その後に、沖縄の風と無所属の議員の質問時間が、およそ2時間10分残っておりました。散々審議時間が足りない、審議を尽くしていないと主張しているにもかかわらず、自分たちの質疑が終わって他党の質疑時間になってから、審議を妨害する行動をおこししたことは、身勝手な“卑劣極まりないと行為ではないでしょうか”この様に、民進・共産の野党両党は最初から徹底して「廃案ありき」に固執し、委員会審議を無理やりストップしてきました。また、「法務大臣の下で審議することは不可能」とまで言い切り、事実上の“審議拒否”をする中、混乱なく採決を行う状況は望めませんでした。このため、委員会での採決を省略して、本会議で採決を行う場合に用いられる「中間報告」という手続きを取った訳です。中間報告は、過去にも参議院で18回行われており、決して異例なことでも“禁じ手”でもありませんが、今回、中間報告という手段を用いなければならなかった状況を作り出した野党勢力を大変残念に思います。

 

最後に、改正組織犯罪処罰法は、国際社会との連携を深め、人権を守り、重大犯罪を絶対に許さない揺るぎない決意のもと、国民の生命と財産を守るために必要不可欠であると強く申し上げ、廃案を求める意見書提出の反対討論といたします。

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