あるご婦人との会話
道路の拡幅整備計画があります。
将来、住まいを移転しなければならないと心配される一人暮らしのご婦人。
もう40年以上まえからこの地域に住んでおられて、当然ながら慣れ親しみ、気心の知れたお友達もたくさんいらっしゃる。
「今晩こんなんつくったから食べて」
と今だに隣近所でおかずが行き来するような庶民性あふれる町角。
そのご婦人の家は、いわゆる文化住宅の一角。
何やら玄関の自慢の鉢植えをかたずけておられた。
「どうしたんですか」
「かたずけとるんですわ」
「まだ計画が始まるわけではないですよ」
「わかっとるんやけど、どうも気になって。市に迷惑かけられへんし。」
「・・・。」
このご婦人は、木造老朽家屋が密集するこの地域の、車が通れない狭い路地を広げる計画は防災上賛成である。
また我が家が移転対象家屋と言われれば協力しなければと思う。
ただ、住み慣れたこの地域を離れるのは耐え難い。また移転保証といって市営住宅に入れと言われても、それは受け入れ難い。
ささやかな小さい住まいで結構。
少々古くても、一人で暮らすのに事足れれば、それ以上の望みはない。
住み慣れたこの地域と、気心の知れたご近所さんやお友達がいれば、何も不満なんてありませんよとおっしゃられた。
私はこのご婦人のお気持ちを大事にするべきだと思うし、この地域性はこれからも大事にしていかなければならないと、あらためて感じました。
まちづくりには非常に難しい課題も多い。
しかし、知恵を凝らせば必ずいい方法があるはずだと思います。
まちづくり。
これからも私自身、地域を走り回って、皆さんに喜んでいただけるように、全力で取り組んでまいりたい。