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岡山市 竹之内則夫
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 —2012年4月1日 新年度のスタートにあたり、今を点で切り取った「議論」の危うさを憂い、「マニフェスト=主権を預かる国民との契約」は連続した線であることを確認しておきたいと思います。—
今、国を挙げて消費税増税の喧騒の最中ですが、大きくは二つの気分に支配されているように思われます。
一つは、「与党も与党なら、野党も野党だよ」との、共に見限った「どっちもどっち」の気分。もう一つは、「少子高齢化と多額の財政赤字の中、持続可能な社会保障には消費増税も止む無し」という気分です。
でも、その「一刀両断」や「物分かりの良さ」、ちょっと待ってください。

 1.本当に “どっちもどっち”

◆消費税増税
民主党は、「消費増税しなくとも、予算の組み替えや仕分けで16.8兆円を捻出できる」と言ったのに、消費税を上げると言う。
一方、自公は麻生政権の時に、消費増税を上げる法案を成立させているのに、今は、民主党から出た増税法案には反対だと言う。
どっちも、「言ってたこと」と「やること」が違うじゃないか。「与党も与党なら、野党も野党だよ」との論調をよく耳にします。しかし本当に「どっちもどっち」なのでしょうか。
確かに、2009年8月総選挙に向けて、麻生政権は消費税増税を政権公約に掲げました。これに対して民主党は反対し、2013年秋までの4年間、消費税問題を封印することを政権公約に掲げたのです。そして総選挙で自民党は(公明党も)惨敗です。表にすると次のようになります。

自公政権 ●経済の回復を図ったうえで、2011年度までに消費税増税を含む税制上の措置を講じる。(2009年)
マニフェスト等、民主の主張 ●消費税増税に反対。●2013年秋までの4年間、消費税問題を封印することを政権公約に掲げた。(2009年)
政権交代後 ●消費税増税関連法案を国会に提出(2012年3月)

実はこの構図、消費税だけではありません。

◆普天間
一番判りやすいのが普天間飛行場です。

自公政権 ●辺野古移設案
マニフェスト等、民主の主張 ●「沖縄県民の負担軽減」、「最低でも県外移設」、「沖縄県民の理解を得る」、「辺野古現行案は自然への冒涜だ」
政権交代後 ●辺野古移設案

◆こども手当
判りやすいのが普天間とすると、民主党が政権交代を果たした目玉政策=マニフェストの象徴が、この「こども手当」です。

自公政権 ●児童手当を順次拡充
マニフェスト等、民主の主張 ●従来の児童手当制度を廃止し、中学卒業まで月26000円の「こども手当」を支給。●費用の全額を国費で負担する。
政権交代後 ●財源確保に失敗し、児童手当の枠組み(国、都道府県、市町村の3者が負担)を残してスタート。●住民税を含む15歳以下の年少扶養控除を廃止したが、10年度、11年度とも満額支給できず、12年度以降は、「こども手当」を廃止して「児童手当」に戻ることになった。

こども手当だろうが児童手当だろうが、各政党は名称にこだわり過ぎなのではないかという意見がありますが、これは、二つの理由で重大なことなのです。
・ひとつは、マニフェスト最大の目玉政策だった「こども手当」が名実ともに完全に崩れ去ったということ。
・もうひとつは、「こども手当」というのは財源の裏付けのない非現実的な約束だったが、「児童手当」は安定した恒久的な制度だということ。
つまり民主党が、できもしない「こども手当」で迷走を重ね、子育て世帯や自治体を混乱させてきた責任は極めて重いのです。率直に謝罪すべきなのです。
「こども手当」という名称こそ、崩壊したマニフェストの象徴として怒りを持って明確にしておくべきです。

◆年金制度

自公政権 ●2004年に制度改革「百年安心プラン」。●その後、2007年に被用者年金(厚生年金と共済年金)の一元化、パートの厚生年金適用の拡大の両法案を国会に提出。しかし民主党の反対で廃案に。●2009年8月に自公共通マニフェストで、基礎年金の受給資格期間を現行の25年から10年に短縮と発表。●また、公明党は、低所得者に対する基礎年金加算制度の創設、保険料の事後納付期間を2年から5年に延長などをマニフェストに。つまり、取り組まなければならない課題は明確になっており、実現へ向け動き出していた。
マニフェスト等、民主の主張 ●「国民年金制度は壊れている」(民主党岡田克也代表当時の発言 05年4月)、「(現行の公的年金制度は)間違いなく破綻して、5年以内にはまた変えなければならない」(同党の枝野幸男衆議院議員 04年4月)など一貫してネガティブキャンペーンを繰り広げてきました。●国民年金、厚生年金、共済年金を一元化し、月額7万円の最低保障年金を実現します(マニフェスト)。
政権交代後 ●「年金は破綻しません」(長妻昭厚労相 フジテレビ新報道2001:2009/11/1放送分)などと変節。●被用者年金(厚生年金と共済年金)一元化法案については「4月上旬の提出に向けて精力的に調整しており、自公政権当時の2007年に提出された一元化法案が基になるとの認識を示した。●パートなど非正規雇用労働者への厚生年金の適用拡大の方針。●提出予定の社会保障改革関連法案に受給資格期間を現行の25年から10年に短縮、低所得者の基礎年金加算を明記。

民主党案は、自らが5年前に反対した自公法案ということがはっきりしました。結局、年金制度改革が遅れただけであり、もし2007年に改正案が成立していれば、パート・非正規などの差別は解消されていたことになりますし、必要な制度改革もなされていたことになります。(年金を政争の具にした民主党の罪はあまりにも重いのです)

◆後期高齢者医療

自公政権 ●後期高齢者医療制度
マニフェスト等、民主の主張 ●後期高齢者医療制度は「うば捨て山」。●高齢者の医療負担は増え、病院にもかかれなくなると批判。●同制度の廃止を明言。
政権交代後 ●「後期高齢者医療制度の廃止」に向けた見直し法案を今国会に提出するということだけです。●素案では、75歳(もしくは65歳)以上を現行制度から国民健康保険(国保)と被用者保険に移行させるとしていますが、75歳以上は国保に加入しても別会計です。現行制度が導入された当時年齢による区分を「うば捨て山」と批判しましたが、新しい制度案でも高齢者は別枠扱いです。

◆障がい者支援

自公政権 ●障害者自立支援法を制定し順次改正
マニフェスト等、民主の主張 ●障害者自立支援法を廃止する。●利用者負担を応能負担とする障がい者総合福祉法を制定する。
政権交代後 ●一昨年末に、負担軽減のために公明党が提出した障害者自立支援法改正案に、民主党は対案も示せず相乗り。●現在も、新法制定ではなく、現行の障害程度区分を維持したまま、部分修正する一部改正案が浮上。

◆ガソリン暫定税率
随分むかしのようですが、こういう約束もありました。

自公政権 ●自動車重量税の軽減など暫定税率を含む税率の在り方を総合的に見直し、負担の軽減を表明(公明党)
マニフェスト等、民主の主張 ●暫定税率を廃止し、2.5兆円の減税を実施する。●議員が「ガソリン値下げ隊」と銘打って全国を行脚。
政権交代後 ●現行税率を当分の間、維持することとした。

「最低でも県外」をはじめ消費税と同じ構図の代表例を挙げましたが、この他にも、「八ツ場ダム建築中止」、「天下りは許さない」、「情報公開(官房機密費)を積極的にします」、「企業・団体献金を禁止します」なども同じ方程式でした。

いまや民主党マニフェストが崩壊していることはみんな知っています。しかし、マニフェストはウソだったとかサギフェストだとか、そんな貶め方で済ませてはならない民主党の「あくどさ、あざとさ」は、お示ししたように、民主党が自ら批判しぬいた「自公の政策」に戻り着いて、臆面もなく(もちろん謝罪もなく)主張していることです。

ご存知のように、民主党マニフェストは、当時の自公政権の政策への対案として世に出されました。もっとはっきり言えば、当時の政策への猛烈な批判の裏返しとして掲げられたのです。
当時は、小泉氏とその後継による財政再建を軸とした改革が推し進められており、福祉を中心に「痛み」が噴出していました。自公政権は、これらの痛みに対し修正や改善法案により課題解決を図ろうとしましたが、「破綻」あるいは「抜本改革」の名のもとに民主党に一蹴され廃案に追い込まれました。
それを与党になったら、批判し否定し廃案にしてきた「自公の法案」を民主党(政府)案として提出するなど、決して許される所業ではありません。
なぜ野党が協議に応じないのか、民主党にマニフェストの撤回表明と謝罪を求めるのか。それは、民主党には議論のテーブルに着く資格がないからです。

有権者のみなさまには、歴史的政権交代を果たした、あの2009年に民主党が国民に何を批判し何を約束したのかを忘れないでいただきたい。現政権は、その言動の上に築かれているからです。
こんな民主党は絶対に許さない!というのが、消費増税が正論かそうでないかという議論以前の、あるべきスタートラインでなければならないはずです。
ですから、切って捨てるのなら、“どっちもどっち”と言う前に、野党以上に有権者のみなさまこそ、民主党に対して、「あなたたちには、消費税の議論のテーブルに着く資格がないのだ」と、けじめを求めなければならないのではありませんか。

2.本当に消費増税は “待ったなし” ?  “仕方ない”

では次に消費増税ですが、この論点は、「時期」と「手順」の二つでしょう。
「今」でいいのか。適正な「手順」を踏んでいるのか。答えはどちらもNO!です。
その理由を、上田勇・前衆議院議員の「今週の一言(3月21日)」が判りやすいので、以下ご紹介します。

◆民主党政権の消費税増税は不適切
 
 野田内閣は、何がなんでも今国会で消費税率引上げを強行しようと躍起なっています。私は以前から、本格的な高齢社会が到来している中で、医療・介護・年金・子育てなどの社会保障制度を充実・強化していくためには安定した財源を確保する必要があり、適切な時期に消費税率の10%程度への引上げは避けられないと率直に述べてきました。しかし、今の野田内閣のやり方には、以下の3点の理由から賛成できません。
①景気・雇用の先行きが不透明で、国民生活や経済活動に深刻な影響が及ぶ恐れが大きい。
②将来にわたる社会保障ビジョンが明確でない。
③国の支出の抑制を含む財政再建計画が示されていない。

1.景気・雇用に深刻な打撃

 世界的な停滞の中で、日本経済は足下で底打ちの兆しは見えてきたものの依然としてきわめて厳しい状況がつづいており、先行きもいたって不透明です。昨年、野田内閣は震災復興財源の確保を名目に、2013年度から所得税・住民税・法人税の増税を決定しています。矢継ぎ早に翌年度から消費増税を強行すれば、経済活動や国民生活への甚大な影響は必至であり、取返しのつかない事態を招く恐れがあります。当面は景気・雇用の底割れを阻止することを最優先した、財政政策・金融政策を優先するべきです。
 
2.
目的と手段があべこべ!
 
 消費増税の目的は、将来にわたる社会保障制度を持続可能なものとし、機能を充実・強化することにあります。財源をどのように確保するかはあくまで手段であるはずです。しかし、野田内閣のやり方は、社会保障制度の全体像を曖昧にしたまま、増税そのもの目的化しています。このように“主客転倒”した議論の進め方では、国民が納得する社会保障政策が実現できないのは明らかです。目指すべき社会保障の給付・サービスをどの程度にするのか、またそのためにはどれくらいの負担が必要なのかについて、しっかりとした議論を行った上で幅広い合意形成を図るのが先決です。
 
3.
歳出・歳入両面からの財政健全化の道筋を
 
 民主党政権は、“マニフェスト”に則って恒常的な歳出を無節操に増やす一方で、自公政権で進めてきた歳出削減・抑制の努力を逆戻りさせてしまいました。その結果、財政構造は一層悪化してしまいました。今のように財政規律が緩んだ状態で増税を行っても直ぐに財源不足に陥り、更なる国民負担の増加をお願いする事態に至るのは明らかです。既に、内閣・与党内の議論で2016年度からの再引上げが取りざたされているとおりです。民主党政権による際限のない財政拡大路線に歯止めをかけないと、将来の経済の活力や社会の安定も損なわれ、日本が沈没しかねません。社会保障の重点化・合理化を含めた歳出の削減・抑制方針を決定して、増税のみに依存しない歳出。歳入両面からの財政健全化の道筋を明確にするべきです。その際には、現在約40%の国民負担率の上限を50%程度に抑えることを指標とするのが一案だと考えます。

以上のとおり「今」は拙速であり、最優先はデフレの脱却。そして社会保障の全体像を示すことです。

 

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