条例を制定する目的は
総務消防委員会での質問
13日(金)10時、「総務消防委員会」が開催され委員として出席いたしました。案件は10件。
私の方からは「議案第18号 高槻市職員等の損害賠償責任の一部の免責に関する条例制定について」と「議案第42号 損害賠償請求の訴えの提起について」の2項目を質問いたしました。
まず、議案第18号 高槻市職員等の損害賠償責任の一部の免責に関する条例制定については・・・
平成29年の地方自治法の改正は、人口減少社会における地域社会の持続可能性についての危機意識が急速に高まる中で、人々が快適で安心な暮らしを営んでいくための地域社会の形成が求められている社会背景を踏まえて見直しがされたものです。
特に、住民に身近な行政サービスを総合的に提供する役割を担う 基礎自治体においては、人々の暮らしを支える行政サービスを持続させていく責務があります。
今般の地方自治法の改正は、地域社会の課題解決を図り、地方公共団体の事務執行の適正を確保することを目的として、主に、損害賠償責任の見直しのほか、内部統制の整備、監査制度の充実強化、決算不認定の場合における報告規定の整備の大きく4つの取組が改正されたものです。
これらの法改正を経て、行政サービスの複雑化や多様化とともに、行財政改革の進展に伴い地方公共団体が住民サービスを提供していく組織体制そのものが変化していくこれからの時代においても、 常に住民の福祉の増進に努め、最小の経費で最大の効果を挙げるよう、行政運営を適正に執行していくことが求められています。
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(1問目答弁を受けて)住民は、地方公共団体の事務が適正に行われていることをチェッ クする重要な主体であり、住民訴訟制度についても、住民自らが 地方公共団体の財務の適正さの確保を図ることを目的とした仕組 みですが、制度運用の中で生じた影響や他の法律との均衡などの課題についても、地方制度調査会で議論されてきたようです。
地方自治法の改正は、持続可能な住民サービスの実現を目的としたものであり、地方自治体が事務を適正に行うための見直しの中で、住民訴訟制度等を巡る課題についても解消に向けて検討され たものと理解しています。
また、市が持続可能な住民サービスの実現を図るためには、まずは、市役所が市民との信頼関係を築いていくことが何よりも重要であると考えますし、そのためには職員一人ひとりが仕事への使命感と、基礎自治体の職員としての責任感を持ち、日々の業務の中で緊張感を保ち続けることが必要不可欠と考えます。
一方で、本市における住民訴訟の実績において、他市と比較して突出した件数とのことでしたが、人口 減少社会において、財源も社会的資源も限られてくる中で、市は 創意工夫をこらした施策を積極的に講じることが求められています。
しかしながら、裁判所の事後的な判断により、過失の程度に関わらず、職員等が無制限で賠償責任を負う可能性があること は、職員が積極的な住民サービスや施策立案だけでなく、本来行うべき施策も行わないことになる懸念は、法改正における議論に おいても指摘されているところです。
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(2問目答弁を受けて)改めて、住民訴訟を取り巻く他市とは異なる本市特有の事情と、これらを踏まえて条例を制定する趣旨は理解しました。
基礎自治体の責務としては、やはり地方自治の主体である市民の信頼を得ることが何よりも重要であり、そのためには、職員一人一 人が創意工夫を凝らしながら、新たな行政課題にも積極的に取り組んで行かなければなりません。
本来は、このような条例を制定せずとも、職員が各自の業務に精通し、組織的なリスク管理の徹底を図った上で、不測の事態においては、個別の事案ごとに責任の所在等を精査すべきと思いますが、職員の軽微な過失においても、極めて高額な賠償責任が個人に求める訴訟を提起する制度が、日々の業務に内在することは、地方自治体特有のものであると思われます。
これからの時代において、更に複雑多岐に及ぶ行政サービスを持続するためには、法が地方自治体に委ねた裁量の範囲において、市が条例を制定することは、本市が組織的なリスク管理や事務の適正執行の体制をより一層充実させていくことを前提として、当該制度についても整備する必要があると思われます。
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〈1問目質問〉
今般、職員等の損害賠償責任の一部を免責する条例が提案されましたが、条例を制定する根拠となる地方自治法に新たな制度が加 えられた趣旨と、本市が法の改正を受けて免責制度を導入しようとする理由について。
〈2問目質問〉
本市の住民訴訟において、職員個人に請求された最も高い賠償額はいくらになるか、そして、今回 の条例制定の目的は住民サービスの向上に寄与することが前提になると考えられますが、市が条例を制定する目的とその効果をど のように考えているのか。
また、条例制定により職員の職務に対する責任感等に影響は生じないのか市の見解をお聞きします。
〈3問目質問〉
条例の必要性は理解しましたが、それはあくまで職員等のためではなく、市民の皆さんのために、持続可能な行政サービスの実現を図るためのものであると認識しております。今後、市民の信頼を得るための行政運営に向けて、市のお考えや決意などがありましたらご答弁をお願いします。
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〈1問目答弁〉
賠償責任に係る地方自治法の改正趣旨につきましては、第31次地方制度調査会の答申においては、住民訴訟制度等を巡る課題について様々な観点からの意見が付されていますが、「全体のガバナンスの見直しにより不適正な事務処理の抑止効果を高めるとともに、長や職員の損害賠償責任については、長や職員への萎縮効果を低減させるため、軽過失の場合における損害賠償責任の長や職員個人への追求のあり方を見直すことが必要である」などの見直しの方向性が示されており、これに基づき、平成29年に地方自治法が改正されたものと考えております。
本市において条例を制定しようとする理由については、本市では過去十数年の間において、およそ40件の住民訴訟が提起されており、正確な統計はございませんが、近隣市と比較する限り、突出した訴訟件数の規模と認識しております。
このため、地方制度調査会において審議された、過去の程度に関わらず、組織の責任を個人の責任として追及するなどの住民訴訟制度の諸課題は、本市に内在する課題と同様と考えることから、本年4月の改正地方自治法の施行に合わせて条例を制定しようとするものでございます。
〈2問目答弁〉
本市のこれまでの住民訴訟における職員個人への請求額では、特定の職員に対して、約13億円の支払いを請求するよう、市に求められたものがございます。なお、当該事案については本市の勝訴が確定しております。
また、条例制定の理由といたしましては、平成29年の地方自治法の改正は、行政サービスの持続可能な提供のために、地方自治体の業務の執行体制を強化することを主眼に置いており、適正な事務処理等の確保を図る政策の一環として行うものであります。
また、条例が適用される条件としては、善意でかつ重大な過失がない場合に限定されており、故意または重大な過失を原因とする場合は、損害額に応じて職員が責任を負うことが原則であり、違法な職務行為に対して、個別の事案に応じた責任を負う事は従前と変わるものではございません。
なお、過失の程度は事後の評価であり、行為時には明らかでないことから、条例の制定により、住民訴訟等による違法行為に対する抑止効果を低減させることにはつながらないと考えております。
〈3問目答弁〉
本市においてはこれまでも、高槻の発展と未来の創生のために、適正・公正な行政運営に向けて、内部事務の管理強化や組織の見直しにも取り組んでまいりました。その上で、多様化・高度化する市民ニーズによる新たな行政課題に的確かつ迅速に対応するために、法に示された新たな仕組みも導入しながら、20年後、30年後の本市の「みらい創生」に向け、市民の皆さまの信頼に応えることができるよう、引き続き、適正・公正な行政運営を推進してまいりたいとと考えております。
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議案第42号 損害賠償請求の訴えの提起については後日ご紹介させていただきます。
常任委員会は、10日(火)の福祉企業委員会をはじめとして、11日(水)市民都市委員会、12日(木)文教にぎわい委員会、そしてこの日の総務消防委員会が開催され、付託案件の審査をさせていただいたところです。委員会協議会も。いずれも24日(火)の本会議4日目において委員長報告が行われます。
この日も、委員長からも新型コロナウィルス感染症の蔓延防止の一環として、マスク着用の推奨とアルコール消毒液設置などの対応について、ご協力のお願いがありました。
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