令和2年度高槻市一般会計補正予算(第5号)
15日(月)、3密対策を行いながらの本会議2日目、私の方は令和2年度高槻市一般会計補正予算(第5号)「水害・土砂災害ハザードマップの更新について」の質疑を行いました。11日(木)、本会議1日目の提案理由説明分の質疑です。
(1問目)
これまでのハザードマップは、河川整備の基本となる100年に1度の降雨量を前提に策定されてきました。
近年、河川氾濫等での甚大な水害を受け、「水防法の改正」が行われ、大阪府が府の管理河川において、1000年に1度といわれる「想定最大規模降雨」の浸水想定区域図を本年3月末に公表されたところです。
本市でも、浸水の深さや浸水範囲が大幅に変更となったとのことで、このことから、ハザードマップを更新し開設避難所等の見直しを行い、前回同様に全戸配布される水防費3,100万円の予算案です。
- 予算 3,100万円 18万部
- 印刷製本費 2,100万円
- 通信運搬費 630万円
- 委託費 370万円
- 令和3年3月までに配布
1問目として6点お聞きします。
まず確認となりますが、水防法が改正され1000年に1度といわれる「想定最大規模降雨」に変更・公表された計画に至る経緯や進捗状況の説明を。
また2点目に、100年に1度の降雨量規模を前提とした河川整備が進められてきましたが、1000年に1度の規模では、その降雨量にどれだけの違いがあるのか。わかりやすく、具体の数値と過去の水害例、想定される被害状況の説明を。
3点目に、本市においても、浸水の深さや浸水範囲が大幅に変更になったとされますが、対象河川や変更箇所など具体に説明してください。
さらに4点目は、令和3年3月までに18万部が印刷・配付される予定ですが、配布先はどのように計画しているのか。
5点目に、3,100万円の予算が計上されていますが、コロナ禍における支援策等を重点的に行っている状況の中、この時期の提案とされた理由をお示しください。
そして6点目ですが、開設避難場所が見直しをされることになっていますが、その理由と現状の避難場所数、今後の見通しをお聞かせください。
(答弁)
1点目
・浸水想定区域の指定については、住民の円滑かつ迅速な避難の確保を図ることを目的に、平成13年の水防法改正において新設された。
・当初は河川整備の基本となる計画降雨、概ね100年に1度発生すると言われる降雨を前提とした浸水想定区域を指定することとなった。
・その後、近年の計画降雨を超える豪雨の多発、被害の激甚化を背景に、水防法が適宜、改正。
・平成27年には、想定し得る最大規模の降雨、概ね1000年に1度発生するといわれる大雨を前提とする降雨に改正された。
・これを受け、平成29年6月に国が淀川について、また本年3月に大阪府が芥川などの府管理河川について、想定最大規模の浸水想定区域を指定、公表された。
2点目
・降雨量については、河川によって異なるが、芥川、女瀬川においては、河川整備の基本となる100年に1度の降雨は24時間で290ミリ。
・1000年に1度と言われる想定最大規模降雨は24時間1,070ミリ。
・このような規模の降雨による災害事例は、昨年、神奈川県箱根町で24時間942ミリを観測した台風19号によって、長野県の千曲川ほか多数の河川の堤防が決壊、未曾有の浸水被害が発生している。
3点目
・浸水深及び浸水範囲については、今般、新たに大阪府から公表された想定最大規模降雨の浸水想定区域図では、大半の区域で浸水深が増加している。
・浸水範囲については、芥川はこれまでの約1・4倍、檜尾川は約2・6倍、女瀬川は茨木市域も含め約6倍に拡大している。
4点目
・配布先については、広報誌と同様、市内の全戸及び事業所への配布を予定している。
・効率的、効果的な周知の手法を今後、検討いきたい考えている。
5点目
・今議会に提案した理由は、本年3月末に大阪府において、想定最大規模の浸水想定区域図が公表。
・本市域においても、浸水深や浸水範囲が大きく変更されていることから。
・一日でも早く、市民の皆さまに浸水リスクを周知し、適切な避難行動をしていただくため今回提案したもの。
6点目
・開設避難場所については、河川別に開設対象となっている現状の避難場所は芥川69か所、女瀬川29か所、檜尾川17か所、安威川35か所、水無瀬川6か所となっている。
・大阪府において、想定最大規模降雨における浸水想定区域が大きく変更されたことから、水害・土砂災害ハザードマップの更新に合わせて、開設対象となる緊急避難場所を見直していく。
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(2問目)
浸水想定区域の指定制度は、住民の円滑かつ迅速な避難の確保を図ることを目的に水防法が新設され、近年の計画降雨を超える豪雨の多発、被害の激甚化を背景に改正されてきました。
今までの水害等、被災地では生命と財産の危機に至る大変な思いをされてきたと改めてお見舞いを申し上げる思いです。
本市においては、芥川や女瀬川では、河川整備の基本となる100年に1度の降雨は24時間、290ミリとされていましたが、1000年に1度の規模となる想定最大規模降雨は、その約4倍に拡大される1,070ミリの降雨量と考えられているところで、それぞれの河川においても浸水範囲は拡大され、近隣市まで及ぶ状況とのことです。
本市には、国管理の淀川もあり、河川周辺の方々からは、どこに避難すれば良いのか、防災行政無線が聞こえづらく、市はどのように考えているのかと不安や危機感を感じる、お声をいただくところです。
事前に確認しますと、淀川ではこれまで、2日間で500ミリ、24時間にすると250ミリと想定されていましたが、想定最大規模降雨だと360ミリとのことで、現在のハザードマップでも被害想定としてはJRまでは浸水する想定となっています。
本市も大正6年の「大塚切れ」の外水氾濫から100年以上となり、平成24年などの集中豪雨の内水氾濫により、市域では大きな被害に見舞われました。
市では、高槻市総合雨水対策アクションプランより、降雨量の最大のピークをカットすることを目的に、2万リューベ―の雨水貯留施設の建設をはじめ、雨水流出抑制施設等の取り組みを行っています。
今回のハザードマップの更新や避難所の見直しについては、府が管理する河川の計画降雨の変更に伴うものですが、1000年に1度とは、数か月先なのか、1000年後なのか。危機感だけをあおったり、まだ先のことだとならないように、万が一に備え、準備していくことが大切なことだと感じ、周知・徹底に努める必要があり、市としての災害対策の役割をしっかりと果たしていかなければなりません。
また、これからの出水期として、台風シーズンを目前に控え。今、速やかに進めていかなければならないと強く感じます。
被害想定としては、答弁でもあったように、甚大な被害になることは間違いなく、このことから、ハザードマップの更新は、水防法改正が基本であり、2問目でも、いくつか確認をさせていただきたいと思います。
水防法第14条には、国土交通省令で定めるところにより、大臣が定める基準に該当する「想定最大規模降雨により当該河川が氾濫した場合に浸水想定される区域を洪水浸水想定区域として指定するものとする」とされています。
また、水防法施行規則には、印刷物の配布その他の適切な方法により、各世帯に提供すること。インターネットの利用その他の適切な方法により、住民等がその提供を受けることができる状態に置くこととされています。
そして、避難場所または、避難経路が変更になった場合にはハザードマップ等を適切に作成し見直し、住民への周知を徹底するよう努められたいともいわれています。
現在の「高槻市・水害・土砂災害ハザードマップ」も、詳細に、浸水する水位、範囲を示し、危険個所や避難場所、避難経路等はマップに記入でき、マイマップを作成することができるようになっており、評価できるものであると思います。
しかしながら、ハザードマップを「配る」ことで終わりではなく、この環境を多くの方々に認識していただき、万が一の時には確実に行動でき、適切に、混乱なく避難できることが重要なことだと感じます。
「自分の身は自分で守る」という意識を持っていただくことが原点ですが、その上で、どのように整備を進めていくのかが重要なことです。
お聞きしますが、「水防法の一部を改正する法律の一部施行等について」に記述されているように、洪水、雨水出水等のそれぞれに適した指定緊急避難場所や避難経路について、アンダーパス等の避難の際に危険な個所を記載すること。
住民だけでなく通勤者や旅行者など一時的に滞在する者も被災するおそれがあることなどから、今回のハザードマップの更新でも、しっかり反映されていること思いますが、市の考え方を聞かせてください。
(答弁)
・現在のハザードマップにおいても、水没する恐れのあるアンダーパスや内水氾濫の危険個所、河川ごとに応じた避難場所の開設等を記載しており、今回の更新にあたっても適切に反映していく。
・ハザードマップは、市民はもとより、通勤・通学者、旅行者にとっても貴重な情報であることから、
・市ホームページのわがまちガイドに掲載しているハザードマップについても同様に更新していく予定。
・今回のハザードマップの更新を通じて、市民の水防災意識の向上を図り、水害から命を守るための取り組みを推進していく。
(3問目)
これからの、ハザードマップの更新の際も適切に取り組み、ホームページでも同時に更新していく予定で、市民の水防災害意識の向上を図り、水害から命を守るための取り組みを推進していくとのことでした。
洪水浸水想定区域、雨水出水想定区域等については、水防法おいて、洪水に係る浸水想定区域制度は、適切な避難場所の確保を図ること等を目的としています。
改正前の水防法においては、「河川の《洪水防御》に関する計画の基本となる降雨」を前提として、浸水想定区域を指定するものとしていましたが、これまでの計画降雨を上回る降雨が発生しており、被害が頻発、激甚化することが想定されていることから、「想定し得る最大規模の降雨であって国土交通大臣が定める基準に該当するもの」を前提にするものとしたものであるとされており、近年、洪水のほか、雨水出水等により、現在の想定を超える浸水被害が多発しており、円滑かつ迅速な避難等のための措置を講じる必要性が高まっているとも指摘しています。
最後に要望をしておきます。
先日、公明党議員団として、出水期を目前にして、風水害に対する「災害時の分散避難などのコロナ対策の緊急要望書」を、濱田市長に提出させていただきました。
多くの項目についての要望、貴重な意見交換をさせていただいたところです。ここでは、すべて触れませんが、4点だけ申し上げさせていただきたいと思います。
1点目は、今回の提案内容について、関係機関との強力な連携により、「ハザードマップ」及び「高槻市地域防災計画」等、適切で速やかな更新をお願いします。
2点目には、ハザードマップの全戸配布とともに、住民及び滞在者に対する、高槻市ホームページ等へのわかり易い掲載です。本市ではPDFデーターを貼り付けているものと、「わがまちガイド」にも、市の方でいうWeb版があります。
神戸市では「神戸市Web版ハザードマップ」として、随時、最新情報へと更新でき、縮尺変更による詳細情報の把握も可能なハザードマップのWeb化が注目されていて、非常に見やすい内容になっています。本市のさらなる改善を望みます。
3点目に、今後の避難訓練のあり方として、地域の特性を生かしながらも、自治会等に対して、ハザードマップを使った「避難場所」「避難経路」の注意喚起や検証など、市としてのアドバイスの拡充なども検討していただきたい。
最後、避難所において、密集が予想されることから、コロナ禍での分散避難のあり方や、適切な避難所の設置と見直し及び推進が重要になってくると思われます。
浸水域が深く、広くなる想定の中で、現在の避難所が使用できないとの判断もあるかもしれません。また、3密を回避する上では、スペースの確保が重要で、収容人員が今よりも減少する可能性も高いと思われます。
今回のハザードマップの計画的更新とともに、今後の出水期を含め、避難所となる学校の体育館をはじめ、教室など。また、ホテルや旅館、民間事業者との連携協定など、しっかり図っていただきたいと思います。
さらに、あらゆる公共施設などの利用の検討も進め、取り組んでいただくことをお願いして質疑を終わります。
(詳細は後日、高槻市議会会議録検索に掲載されます。また、高槻市議会本会議映像録画配信でも概ね2週間後にご覧いただけます。)