平成27年12月定例会一般質問
12月16日 6番目 「マイナンバー制度について」 公明党 吉田章浩
今回は、「マイナンバー制度」について、午前中も「マイナンバー制度の円滑な運営に係る財源確保等自治体の負担軽減を求める意見書」が賛成多数で可決されましたが、郵送業務が展開される中、来年の1月からの運用開始も踏まえて、本来は国の事業ではありますが、キーの窓口となる市に対して、市民相談を通じて取り扱いでの不明点や不安・心配をされるお声を多くお聴ききすることがありますので、一般質問として取上げさせて頂きました。
9月定例会でも、賛成の立場から「市民課国民年金管理事業のマイナンバー改修について」質問と要望をさせて頂きました。
市の方から、改修事業における市民のメリットや国が基礎年金番号の連結を延期することでの影響、また、関連事項として郵送での返戻対応、DV被害者等への配慮のあり方、市民課の体制と情報漏えいや不正利用に関する認識を示して頂き、10月からの郵送開始と認識しておりましたが、後日、市のホームページには、郵送を11月中旬から12月中旬と記されており、国からのチラシも頂きましたが、通知は、10月20日頃から概ね11月中に届くと案内されていて、この不整合さは、どうなのかと感じた次第です。
基本的には、国の責任と思いますが、スケジュールは大幅に遅延、報道等によると通知カードをつくる国立印刷局から郵便局への搬入が1週間遅れ、郵便局においても11月末では、全国で配達する5,684万7千通のうち23.7%に届いていないと発表された後、12月9日現在では99.3%を配達し、そのうち5,034万7千通は、本人や家族らが受け取ったが、一方で、受取人の不在などのために8.9%に当たる500万9千通は各市区町村に返送され、郵便局で保管中も110万通あり、1週間の保管期間中に再配達や郵便局に取りにくることがない場合は市役所等に返送されると記事は伝えていました。
政府は当初、全世帯への1回目の配達を11月中に終わらせる計画でしたが、12月にずれ込んでいる現状と、さらに一部地域に住む世帯の通知カード5,000通が作成されていなかったり、高齢者が詐欺に遭うトラブルが相次ぎ厳しい状況となっています。
また、郵便局においても別人の通知カードを渡したり、誤って他人の分と2通重ねて渡したりと誤配があったとニュースは報じていました。記事を見る限りでは、計画性や仕事への責任感に甘さを感じると言わざるを得ない状況にあると感じます。
そもそも、何故、マイナンバーを導入するのか!?
これまでも、例えば福祉サービスや社会保険料の減免などの対象かどうかを確認するため、国の行政機関や地方公共団体などの間で情報のやりとりがありましたが、それぞれの機関内では、住民票コード、基礎年金番号、医療保険被保険者番号など、それぞれの番号で個人の情報管理をしていたため、機関をまたいだ情報のやりとりでは、氏名、住所などでの特定に時間と労力を費やしていました。社会保障、税、災害対策の3分野について、分野横断的な共通の番号を導入することで、個人の特定を確実かつ迅速に行うことが可能になり、これにより、行政の効率化、国民の利便性向上、さらに公平・公正な税・社会保障制度を実現するとされています。
実施する内容については、重要なことですので、国や自治体、関連機関においては、しっかりと取り組んで頂きたいと感じるところですし、自治体においては、法令上、委託を受けた「法定受託事務」ですので、その責任はしっかり果していかなければなりません。
特に、高槻市では来年の12月から住民票などのコンビニ交付も計画していることから通知カードの着実な配達は勿論のこと、マイナンバーカードの位置付けを明確に、コンビニ交付による費用対効果の検証や、利便性向上と今後の事業仕分けのあり方を明確に示していく責任があると思います。
そのような状況の中で、市民の方々からのご相談内容は、通知カードが、まだ届いていないが、いつ届くのか? 届いているが、マイナンバーカードの申請はどうすればよいのか? いつまでに申請しなければいけないのか? 障がいをお持ちの方で寝たきりの場合、制約のある写真撮影はどうすればよいのか? コールセンターに電話をするが中々つながらないがどうすればよいのか?等々、様々なご相談が寄せられています。
《1問目 質問要旨》
1点目に、今まで市民からの問合せは、どの程度あったのか? また、あったとすれば様々な相談に対して明確な対応はできているのか?
2点目に、本市における通知カードの配達状況はどうなっているのか? 先ほど申し上げた報道の状況等では、市民の方が長期不在などで受け取れず、市町村に返戻され、苦慮していると聞くが、本市にはどの程度戻っているのか?
3点目に、通知カードが大量に返戻された場合、来月1月からのマイナンバー利用開始に支障が出る可能性があると思うが、通知カードの返戻対応など現状と課題として、どのようなものがあるのか?
《1問目 答弁要旨》
◎市民課における市民からの問合せ数と相談への対応は、11月21日から通知カードが郵便配達され、1日あたりの電話応答及び窓口来庁者の総数は、概ね週始めの月・火曜日が約250件程度、水曜日から金曜日が150件程度で推移。郵便局が土日・祝日を中心に配達しているため問合せが週初めに多くなっている。市民からの相談に対しては、国からのQ&Aに基づき大半は明確に回答。1日に数件程度は、市民課で判断しかねるものもあり、国等の関係機関に問合せを行い、適切に対応している(1点目)
◎通知カードの配達状況及び通知カードの返戻数は、高槻郵便局管内では12月9日に初回配達が完了、高槻北郵便局管内では12月10日に初回配達が完了。なお、不在票の保管期間が7日間なので、今週中に不在郵便対応が終了する予定、市に返戻された通知カードの総数は、12月11日現在で、10,086通が返戻。郵便局の不在対応が3,115通、併せて約8.3%受取りされていない(2点目)
◎通知カードの返戻対応などの現状は、来年1月からのマイナンバー利用開始には、国や地方公共団体情報システム機構の手続き遅延により、全市民に通知カードをお渡しするのは困難な状況となっている。通知カードをできるだけ早くお渡しできるように、市民課ではお受取りができなかった全世帯宛に受取り方法を記載した案内文書を普通郵便で送ることにしている。ただ、最終の郵便局からの返戻分が12月21日頃なので、仕分け、発送作業から、案内文書の送付が1月中頃にずれ込むことが確実な状況となっている。市としては、早期に通知カードが行き渡るよう業務を行なっていきたいと考えている。なお、市民の皆様においては、来年1月以降はマイナンバーの提示を求められる機会が増えるので、お持ちでない方も多数おられることから、市役所では、その旨を窓口で伝えれば、不便をかけないように対応していく。また、民間事業者の雇用主などからマイナンバーを求められた場合、どうしても必要な場合は、住民票にマイナンバーを記載してお渡しすることとなる(3点目)
《答弁を受けて》
市民の方々からの、お問合せやご相談など、今後、増加する可能性も多くあると思われます。そのための、国のコールセンターなどで電話料金を無料にされたことは評価できますが、つながらないことには話しにならず、後手に回らないようにして頂きたいところです。本市としても補完的にはなると思いますが、丁寧に対応して頂きたいと思います。
また、本市での返戻状況ですが、10,086通で、郵便局で不在対応しているものも含め、約8.3%とのことで、全国の8.9%より、下回っている様子。しかし、全体のスケジュールが遅れている中で約1万件以上は届いていないということですので、今後の対応については、しっかりお願いしたいところです。
現状の課題の一つとして、マイナンバー制度は1月からはじまることには変わりなく、会社などから、早目、早目にマイナンバーの記載を求められたり、中途退職者の方などは、源泉徴収票への記載が必要になるなど、税務署に提出する書類で事前に自分の番号を把握し、すぐに記載が必要になる場合があります。
そのためにも、ご答弁では、民間事業者の雇用主などからマイナンバーを求められた場合で、どうしても必要な場合は、住民票にマイナンバーを記載し、有料で入手できるとのことですが、他市ではシステム改修の不備などで、本人の意思を確認しないまま住民票に記載して発行したこともあり、取り扱いには十分注意と検証をお願いしたいと思います。
そして、長期不在等で通知カードを受け取れていない市民の方々などへ、市民課より案内文書を普通郵便で送ることとされています。1問目であった通知カードの返戻分も、3ヵ月が保管の期限ですので、遅延なく適切に対応をしていかなければいけません。
また、平成27年度の国の予算では、国庫補助として個人番号カード交付事業費補助金として10/10の補助率として措置され、市町村についてもカード交付事務については、個人番号カード事務費補助金が措置されたところですが、しかし、本日の意見書でもありましたが、非常に低い補助上限額であり、おのずと市区町村の財政は大きな負担を強いられることになります。
意見書の内容の通り、私たちも、しっかりと国へ要望していかなければいけないと思います。
《2問目 質問要旨》
1点目は、10,086通の通知カードが返戻されているとのことだが、スケジュール的に厳しい状況の中で、仕分けなどの事務作業だけでも大変な仕事量だと思うが、市民課における職員体制や業務体制はどのようになっているのか? また、他の業務に支障をきたすことはないのか?
2点目に、受け取ることができなかった通知カードは、当初、来年3月末で廃棄されると聞いているが、どのように扱われるのか? 予定に変更はないのか? 廃棄された後はどうなるのか?
最後に、通知カードに同封されていたマイナンバーカード交付申請書を使用して作られるマイナンバーカードが来年1月以降、本市においても交付されることになるが、今後の予定と、市としての取り組み姿勢をお聞かせ願う。
《2問目 答弁要旨》
◎通知カード返戻対応における市民課の職員体制は、マイナンバープロジェクトチームとして正職(専任)3名、非常勤1名、臨時職員7名、来年1月からは更に10名の臨時職員を雇用する。通知カードが予想より多く返戻されたことや、1通、1通、氏名・住所のみで、仕分けをするため、休日にはマイナンバープロジェクトチーム以外の市民課職員30名程度を応援させ対応している。なお、休日出勤なので負担はあるが、他の日常業務に支障が出ないように取り組んでいる(1点目)
◎通知カードの保管期間は、国からの指示により3ヶ月で、12月末に通知カードが市役所にすべて返戻され、1月中には全市民に案内文書の配達を予定していることから、保管開始の基準日を1月から2月に変更し、4月末まで保管し、その後、廃棄する予定。廃棄後は、通知カードが必要という市民から申出があれば、有料で再発行手続きを行なうことが可能(2点目)
◎マイナンバーカードの交付は、当初の予定では、地方公共団体情報システム機構(ジェイリス)が作製したマイナンバーカードは、市民課に送付される。その後、市民の皆様に受取り方法を記載したマイナンバーカード交付通知書をお送りし、1月半ば頃から市民課で交付することになっていた。しかし、現状では、地方公共団体情報システム機構におけるカード作製時期が、通知カードの遅れなどから不明で、マイナンバーカードについては、2月初旬から中旬以降で交付することになると考えている。市の取組み姿勢については、地方公共団体情報システム機構の遅延により、マイナンバーに関する全体的なスケジュールが遅れているが、来年1月中の早期に、通知カードが全市民に行き渡るよう、休日にマイナンバー専用窓口を開設するなど、市民への影響を最小限にしていく。また、制度の基本となるマイナンバーカードの交付を迅速かつ適正におこなえるよう、窓口の体制整備及び市民への分かりやすい周知に努めていく(3点目)
《要望要旨》
今後の業務に対しての国の補助金等について、可決された意見書の通り、市議会としての一定の役割は果していると思うので、市としても国に対してしっかり要望をして頂きたいと思う。
また、相談業務についても同様に、法定受託事務としての市の責務・役割として、国との連携を密にしながら明確に答えられるようにして頂きたい。
そして、業務体制について、国の補助金等が前提になると思うが、今回の通知カードの取り扱いについては、3月から4月は、市民の転入・転出の繁忙期の業務と重なっての、4月までの保管対応となる、時限的な取り組みになることと、廃棄後については、有料としての再発行の取り扱いになるので、大変な業務状況になると思うが、市民の皆様には丁寧に、また他の業務に支障をきたさないような体制整備をして頂きたいと思う。
さらに、今後はマイナンバーカードの申請が進んでいくと思うが、市民の方々への受け渡し、受取りの際の業務も大変大事な業務になってくる。
しかし、ご答弁でもあったように、カードの受取りも当初の予定から1ヶ月遅れになる可能性が大きくあり、この点については案内や周知のあり方に注意して行なって頂きたいと思う。
特に暗証番号の設定などは、高齢者の皆様からは、わかりにくいとの声を頂きますので、丁寧に、適切に対応して頂けるように要望しておく。
最後に、部長の方からも、本市の取組み姿勢として、しっかり取り組んでいくとの趣旨のご答弁を頂いたので、宜しくお願い申し上げる。
マイナンバー(社会保障・税番号)制度 <クリック 高槻市ホームページ
*詳細は後日市議会のホームページに掲載されます。