待機児童の解消について (平成28年6月 第2会定例会 代表質問)
平成28年 6月 定例会(第2回)-06月09日-05号 代表質問
質問の第9は、待機児童の解消についてです。
新宿区では、これまでに賃貸物件を活用した機動的な保育施設の整備や施設改修による区立園の定員拡充、認証保育所の認可化、保育士確保のための宿舎借り上げ支援や資格取得支援など、さまざまな施策により積極的に待機児童の解消に努めていただいたことを高く評価いたします。その結果、平成27年4月では1,830人の申込者に対して9%に相当する168人の待機児童数が、平成28年4月は1,936人の申込者と、年々申し込みが増加しているにもかかわらず、全体の3%に相当する58人にまで減少いたしました。待機児童数で見ると、集計中の1区を除き、22区中2番目に少ない数となっています。また、昨年は、待機児童が東南地域に偏っていましたが、この58人は特定地域に偏らず、新宿区全域にまたがっている点から見ても、新宿区が待機児童解消に向けて努力されている結果だと思います。とはいえ、この58人の方は現在も大変に困っているのが現状です。
私たち新宿区議会公明党では、待機児童ゼロを目指し、平成28年3月に国から提示があった待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策を活用し、具体的な対策を3点にわたり緊急要望として平成28年4月8日に吉住区長に提出いたしました。以下、この3点にわたり質問させていただきます。
1点目の質問は、小規模保育事業の充実について伺います。
国では、待機児童の8割以上を占めるゼロから2歳児の受け皿を確保するために、小規模保育所の定員を19人から22人まで拡大しました。そして、3歳児になると預け先がなくなる「3歳の壁」対策では、3歳児の受け入れも促し、連携施設の確保に自治体が積極的にかかわるとしました。新宿区でも、このたびの58人の待機児童のうちゼロ歳児32人、1歳児26人となっていることからも、毎年の傾向としてゼロから2歳児枠で待機児童が多いのが現状です。
私どもの要望の第1に、小規模保育、家庭的保育等の受け入れ枠の拡大等、小規模保育サービスをさらに充実することを挙げました。これを踏まえて、今ある小規模保育所で定員を19人から22人に速やかに拡大して現在の待機児童を受け入れることについて、区のお考えをお聞かせください。
また、この小規模保育所から3歳児以降の受け皿としての連携施設の確保についても、どのようなお考えか、お聞かせください。
2点目の質問は、緊急的な一時預かり事業等の活用について伺います。
国の緊急対策として、待機児童を緊急的に預かるため、一時預かり事業を活用・拡充して、保育園等への入園が決まるまでの間、地域の余裕スペースなども活用しながら定期利用による保育サービスを提供することが打ち出されました。これを受けて、新たに開設された保育園等で幼児クラスの定員に余裕のある園で定期利用保育の定員拡充等の事業を検討することを申し入れました。
区内の新規開設園で幼児クラスの4・5歳児の空き室を活用して定期利用保育を実施し、待機児童解消につなげることについて、区のお考えをお聞かせください。
3点目の質問は、未就学児を持つ保育士の子どもの優先入園を推進することについて伺います。
待機児童解消に向け、新宿区でも受け入れ枠を拡大するため、保育施設を新設しました。また、施設改修により定員も拡充しました。受け入れ枠の拡大に伴い、保育士を確保することも重要課題です。
子どもの幸福を目的として保育の質の維持向上を目指しつつ、保育の量を拡大し、もっと女性の活力を活かす社会づくりを進めていくことが肝要です。新宿区では、保育士確保のための宿舎借り上げの支援や資格取得支援をしてきました。また、質の向上のため、保育士のキャリアアップに向けて研修会等の実施などもしてきました。さらに、保育園、子ども園、幼稚園などの多様な施設における保育のサービスの質の向上を図るための保育士に対する各種研修会の実施や、安定した教育・保育環境を提供するための区による指導、検査、巡回相談などや、また、区内の保育施設を対象とした利用者評価、事業者評価、第三者評価などの実施を充実していくとしています。
保育士の人材確保に向けて、国の緊急的に対応する施策にもあるように、保育士の子どもの優先入園が不可欠であります。現在の保育園等の利用調整基本指数の見直しにより、特例で保育士の子どもが優先入園できるようにしてはいかがでしょうか。区のお考えをお聞かせください。
以上、答弁願います。
◎区長(吉住健一) 待機児童の解消についてのお尋ねです。
初めに、小規模保育の定員を19人から22人に拡大することと連携施設の確保についてです。
現在、区では、小規模保育事業として5カ所の保育ルームを委託により運営しています。保育ルームは主に保育需要の多い1歳児と2歳児を対象とした保育施設で、待機児童の解消に効果を発揮していると認識しており、面積基準を満たす施設について弾力的な定員の拡大を検討し、来年度の入園に対応したいと考えています。
また、小規模保育事業のほか、家庭的保育事業、事業所内保育事業を含めた連携施設の整備は、3歳以降の保育の継続性の観点からも重要と認識しています。子ども・子育て支援新制度では5年の経過措置の期間が設けられていますが、連携施設をできるだけ早く確保できるよう、各施設の近隣にある区立・私立の保育園、子ども園を中心に、3歳以降の定員の見直しと対応策を検討しているところです。
次に、新規開設園の4歳・5歳児の空き室活用による定期利用保育実施についてです。
定期利用保育は、区立子ども園や私立保育園の一部で既に実施しており、パートタイムや居宅で仕事をするなど比較的利用調整指数の低い方にも活用されています。このため、定期利用保育の拡大は、指数が低く待機となっている方の受け皿となり、待機児童の解消にも効果を発揮すると考えています。現在、新規開設園では4歳・5歳児の定員に余裕があることから、認可保育所に入る間の臨時的対応として、こうした保育室の活用による定期利用保育の実施を検討してまいります。
次に、未就学児を持つ保育士の子どもの優先入園についてです。
保育施設がふえることに伴う保育士不足が、特に待機児童問題が深刻な都市部において大きな課題となっていることから、新宿区でもさまざまな施策を行っています。保育士を確保するためには、保育士資格を持っているものの子育て等の理由で働いていない、いわゆる潜在保育士に再び保育に従事してもらうことも重要です。このため、子育て中の保育士の子どもが保育園に入りやすい環境を整えるために、保育士の優先入園も有効な手だてと考えております。
こうした認識のもと、来年度の入園に向けた利用調整基本指数等の見直しの中で、保育士であることを指数の項目に加える等の検討を行ってまいります。