Archive for 2016年 12月

本日より、12月定例会議が始まりました。

桜井雅浩市長より所信表明がありました。

IMG_0030

【所信表明】
柏崎市長 櫻井雅浩

はじめに

改めまして、今般、第10代柏崎市長を拝命いたしました櫻井雅浩であります。
「強く やさしい柏崎」をつくりあげるため私が持ち得る全ての力を、時間を振り向ける覚悟でございます。市民の皆様、議員の皆様におかれましては、何とぞよろしくお願いいたします。

政治認識

第10代柏崎市長であります。
1940(昭和15)年7月1日、柏崎は市制を施行いたしました。初代市長は原吉郎(きちろう)さんでありました。ちなみに同年9月27日 日独伊三国同盟成立、10月12日 大政翼賛会発会、と正に太平洋戦争前夜に近いところでございました。第2代 三井田虎一郎さん、第3代 洲崎義郎さん、第4代 吉浦栄一さん、第5代 小林治助さん、第6代 今井哲夫さん、第7代 飯塚正さん、第8代 西川正純さん、第9代会田洋さん、と続くわけであります。この間、76年、柏崎市は、新潟県は、日本は、世界は大きく変わりました。

今年は、イギリスがEUから離脱することを決定いたしました。アメリカ合衆国では大方の予想を覆し、トランプ氏の大統領就任が目前です。実にダイナミックな政治です。単純に、イギリス、アメリカという国の厚み、間口の広さに驚き、感嘆するとともに、正直なところ不安をも抱くわけであります。

同時に、日本は漸進主義、徐々に進むという温和な考え方が似合うのではないだろうかとも思うわけです。英語には deregulation という単語があります。de という接頭辞は、否定の意味です。regulation 規制、「規制否定」つまり「規制撤廃」という訳語が近いと思うのです。しかし、日本人は、「規制緩和」と訳しました。霞が関の官僚の知恵でしょうか。私は、官僚を揶揄(やゆ)しているのではありません。官僚は、日本の象徴であり、日本人の象徴だと思うのです。

同様な例えとして「公益企業」という言葉があります。アメリカの友人に言わせると、「何だ?公益?企業?って。企業というのは株式会社であり、利益を求めるものであり、公益を求めるのは政府や自治体だろう?」ということだそうです。 東京電力を始めとする電力各社は公益企業と日本では呼ばれています。御存じのとおり、今年4月の電力の小売り全面自由化までは営業エリアが保証され、その一方、安定供給が求められたわけであります。別の言い方をすれば自由な価格競争が制限され、料金に競争
原理は働きにくく、親方日の丸的な体質が作り上げられたと言われています。

5年9か月前の福島の事故の際、「東電の体質」という言葉が多く使われました。もちろん私も東電の免責を容認するつもりはありません。しかし、私には、第一義的に言えばあの事故の責任は国であると思えるのです。そして、更に言うならば、その国、政府を認めてきた私を含む、国民一人一人があの事故の責任を負うべきだと思うのです。規制撤廃ではなく、規制緩和、公益企業という存在を許し、その存在に安住してきた私たち国民一人一人の意識に原因があるように思えるのです。

先週、12月15日、私は、東京電力福島第一原子力発電所を視察いたしました。改めて事故の大きさを認識しました。いまだ5年9か月前のままの姿を残しているところもございました。多くの工事車両が広いはずの構内を狭く見せるほどに行き交っていました。
1号機、2号機の中央制御室では、リアクターの周りの水位が刻々と下がっていくことを停電で暗い中、鉛筆で書き留めた現場、正に必死の思いでプラントを守ろうとする作業員の意思、心持ちを見てまいりました。
翌16日、柏崎刈羽原子力発電所を視察いたしました。防潮堤、フィルタ付きベントを始めとするハード面の対応、また、ブラインド訓練の中で現場で携わる方々の真剣な表情を見せていただきました。一方、暗闇の中で無防備に近いように思えた海岸線の警備などは、テロなどの人為的な悪意に対して不安を抱いたのも事実です。

事故を引き起こしたのは人知を超えた地震であり、津波です。自らが作り上げた技術を過信し、十分な策を講ずることができなかったのは人間であり、同時にその技術を守ろうと安全を確保すべく必死に激闘し、取り組んでいるのも人間であります。私は、現場で働く方々の使命感を感じました。誠実さを感じたのかもしれません。かなりタイトな感じがある現場の奥に広がる穏やかな海、仰ぎ見る青空は現場の皆さん、そして福島の皆さんの願い、祈りのように思えました。

憲法第十三条。すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

私も、行政府の長として改めてこの条文を重く認識したところでございます。

政治姿勢

私は、12年前初めての市長選挙で「少し変わる勇気」という言葉を作り、キャッチフレーズとして掲げました。「少し」という言葉に重みを持たせたつもりでしたが、多くの方々に「なんで大きくじゃないんだ!」というお叱りを頂戴しました。

私は、今回3回目の市長選挙に臨むに当たり、原発反対の立場の方からも推進の立場の方からもお声掛けを頂きました。

私は、この構図こそ柏崎を大きく変えることができる基盤となり得るのではないか、47年間続いてきた原発賛成、反対で何をするにも「二つに別れた政治」を、「手を携える政治」に導いていくチャンスではないのかと考えました。政治から身を引き、離れていた私の覚醒は柏崎の覚醒となり得ると考え、手を挙げたのです。9月、つまり3か月前です。

私の政治姿勢を短い言葉で表すならば、率直に、明るく、実質的に ということであります。

意見が異なる方々と率直に議論させていただきます。市民の皆様とも、もちろん市民を代表する議員の皆様とも、であります。

激しい議論があろうとも、意見の相違があろうとも一緒に酒を飲みます。お茶、コーヒーとお菓子を楽しみます。笑い声とともに時間を共有いたします。

形ばかりのものを好みません。実質的なものを求めます。

量から質の時代に入っていると思います。物質的な豊かさを求める時代から精神的な豊かさを求める時代に入りつつあると思います。

率直に、明るく、実質的な市政を運営してまいりたいと思います。
IMG_0029
主たる施策の方向性

細かな施策につきましては、新年度予算の折に申し上げます。年度途中で引き継ぐわけですから、ここでは私が考える当面の重要課題とその課題解決に関する方向性についてのみお話しいたします。

人材の育成

私は、ここに特に注力いたします。小中学校の普通教室へのエアコン設置など教育環境の整備を前倒しで行います。指導補助員の確保に努め、心身ともにハードワークを重ねる
教員の負担を少しでも軽減し、ゆとりある指導環境を創出してまいります。

教育の部門だけではなく、工業の分野、商業、農業、漁業、林業の分野で、福祉の分野で、観光の分野においても若い人材の挑戦を支援いたします。特許技術の取得を始め、新しい技術開発を応援いたします。また、若い人が企画するイベントを積極的に応援し、まちづくりへのイントロダクションとして認識いたします。イベントが出会いの場としても機能し、結婚、出産、子育てへとつながることを期待いたします。人を育てる作業は、息の長い仕事です。難儀な仕事です。しかし、人を育てることは豊かさを生み出し、安心を創出することでもあると考え、積極的に取り組んでまいります。

人口減対応

人口減の流れは、顕著です。柏崎市においても毎年約1,000人の減であります。少しでもその流れに歯止めを掛けます。U・Iターンを促進するため、攻めの姿勢で臨みます。U・Iターン情報プラザの開設やホームページ、紙媒体の配布だけでは人は戻ってきません。個別に、直接、呼び掛け、電話を架け、泥臭く働き掛けます。地元企業と連携し、柏崎の企業への就職にインセンティブを与えるべく、施策をそろえてまいります。二世帯住宅を促進し、若い世代の定住、子育て支援、高齢者の安心感醸成に寄与します。先に述べた人材の育成の過程は、人口の定着にもつながるものであると確信しております。

財政

いずれにしましても市政を支えるのは、財政であります。経済であります。人口減時代を見据えた財政運営を目指してまいります。経済の好循環から得られる税収を求め、行政は呼び水としての働きを強めてまいります。新たな財源の確保に努めます。歳出においては身の丈を意識し、しかし、時に集中的な投資も必要だと考えております。基本は「お金をかけずにアイディアを活かす」「お金をかけて一点突破、全面展開」であります。
ふるさと納税においては、積極的に対応し、あらゆる人脈を駆使し、現今の約2倍、
1億円を目指します。その使途は、人材の育成を重点的なものといたします。

原子力発電の存在、今後

原子力発電は、量の時代の象徴であります。原発を作る技術は、豊かさを作る技術でありました。これからは科学技術的な要因のみならず、社会的な要因を含んで廃炉の時代がやってきます。その中で、原発を閉じる技術、つまり廃炉という言葉をネガティブにとらえるのではなく、廃炉の技術は安心を生み出す技術、と読み替えることが大切です。柏崎は、原発を巡る地域振興においても先進でありましたが、廃炉技術を産業化させるトップリーダーとしての位置付けを得んがため、名誉を得んがため、柏崎商工会議所などとも連携してまいります。柏崎の主要産業の一つは、「安心創出産業」であると答えることができるよう基盤を作ってまいります。

首都圏につながる送電線を今後も有効に使い、原発にこだわらない新たな電力の創出、移出基地として機能させ得る方策を東京電力とともに見出してまいります。

東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号機、7号機の再稼働に関しては、5年半前から申し上げているとおり、国の規制委員会の審査を経て、私自身が国及び東京電力に対し、条件を付し、それに対する答えと一定の方向性が見出されたとき、再稼働を認めるつもりであります。もちろん、全くその対応に誠意が得られないのであれば、再稼働論議は前に進みません。その条件は、それほど低いハードルではありません。もとより嫌がらせのような壁を作るつもりもありません。

再稼働論議とは離れて、県とともに市民の安全・安心をより一層求めていくために、原子力災害対策特別措置法の改正を求め、予防措置においても国が前面に出た施策展開を求めてまいります。過日、米山隆一新潟県知事にもお目に掛かりました。県に対しては、何よりも避難計画の早期策定を求め、実効性を伴った市民の安全確保がなされるよう刈羽村と連携してまいります。避難計画の実効性を高めるためには、道路の改良、新設、除雪体制の整備においても国が前面に立つ姿勢が求められます。県と共に国への働き掛けを強めてまいります。柏崎にとって長年の懸念事項でありました核燃料税の定率配分、県50対柏崎市・刈羽村50を知事に求めてまいりました。実現に向け、精力的に対話を重ねてまいります。

使用済核燃料の保管が続いています。より一層の安全・安心を求めてまいります。また、本来置くべきところに置かれていない実態に対応するため、使用済核燃料税の経年累進課税化を目指します。

賛成・反対に分かれてきた市民力を徐々にまとめていくため、西川正純市長の時代に作られた「柏崎刈羽原子力発電所の透明性を確保する地域の会」をより一層有効に機能させ、時に「拡大版の地域の会」を設け、賛成、反対正面から議論し合う機会を作ってまいります。

結び

結びに当たり市民の皆様、議員の皆様にお願いがございます。皆様のお力をお貸しいただきたいと思うのです。企業の進出、柏崎にゆかりのある企業経営者、U・Iターン希望者、ふるさと納税の紹介、皆様の情報をお聞かせください。行政への苦言、提言、アイディアを是非お聞かせ下さい。

ドイツの文豪ゲーテは、かつて行政府の長でもありました。彼が市民に対して演説した一節です。

「家の前を掃きなさい。そうすれば市会は安泰だ」産業、教育、福祉、交通網の整備、医療、環境等、様々な分野で皆様のお声を頂き、「強く、やさしい柏崎」をつくるため、文字どおり皆様と力を合わせ、仕事をさせていただきます。皆さん、一緒に新たな一歩を踏み出そうではありませんか。私が先頭に立ちます。

以上

公明党広報
ブログバックナンバー
サイト管理者
柏崎市 真貝維義
tunayosi@cream.plala.or.jp