バックナンバー 2013年 11月
11月29日、世田谷区議会第4回定例議会 本会議にて質問に立ちました。
内容は、1、母子生活支援施設とひとり親家庭の支援について。2、認知症高齢者の介護家族の支援について。3、バス交通ネットワークと道路ネットワークについて。
質問全文は以下の通りです。
○ ひとり親家庭の支援と母子生活支援施設について質問します。世田谷区内の母子家庭、世帯数はここ10年2500世帯を上回り、高止まりしています。そのうち、生活保護の母子家庭が19年度、247世帯から現在約400世帯に5年間で倍増していることを踏まえると、母子家庭の生活や子どもの学習環境への支援が何より求められます。さて、母子家庭を保護し、生活と自立を支援する母子生活支援施設は全国に約270か所、1万人以上がそこで生活をしています。以前は、母子寮と呼ばれていましたが、現在は家庭内暴力、いわゆるDVの被害者や児童虐待など生活課題のある世帯の利用が増加してます。今、この施設を運営するにあたって大きな問題が生じています。民間の施設の場合、運営費は国と都と区が負担していますが、その際原則として、利用者数ではなく、施設の認可定員数に応じた額が支払われるようになっています。それが、現実の利用者数と認可定員に10%以上の開きがあった場合は、暫定定員が設けられ運営費が削減されます。先日、所管の担当者からは「措置委託費として認可定員20世帯分を支払っているが、このまま定員割れが続くと過払い金として委託料の返還を求めることになる」と施設側は言われたそうです。しかし、定員割れをしている責任は施設側にはありません。23区の場合、福祉事務所がどの施設に入所させるかを措置決定するものであり、施設側が関与する余地は全くない。また、施設は利用者の自立した生活に向けて取り組んでいます。その成果として、新たな生活に自信をつけ施設を去っていく。これは、利用者の自立に取り組めば取り組むほど、施設運営が厳しくなる制度。運営費の削減とは、24時間365日、母子を支援する職員を削減するしか施設側には方法がない実情があります。ひとり親家庭の相対的貧困率は51%に及ぶ。利用者の生活と母子家庭の子どもたちの将来のために、この制度は改善する必要があります。
そこで、3点伺います。1点目は、今触れました母子生活支援施設の暫定定員についてです。区内3か所ある施設ですが、施設自らが入居者を募集することはできず、入居者の自立に手厚く取り組めば運営が厳しくなる。この制度について区はどのように考えているのか伺います。2点目は、このような国の制度の中で、入居者の心の傷を癒し、そこから新たな人生をスタートするためにも施設としての職員資質の向上は重要です。そのうえで区は、ここを必要不可欠な施設と位置付けるならば、区として運営支援にも踏み込むべきと考えます。施設への支援のあり方、区の考えをお聞きします。3点目は、区内2500世帯にのぼる母子家庭への区の支援のあり方です。母子への支援は、就労と子どもの学習の両面であると思います。現在区では、母親に対する就労支援セミナーや子どもへの学習支援事業を行っていますが、回数も規模も小さく、本当に自立できるのか、貧困からくる学力の格差はどうするのか。区の本気度が見えません。見解を求めます。
○ 次に、認知症高齢者を抱える家族支援について質問します。
介護疲れによる事件が増加しています。過日も60歳の男性が認知症を患う92歳の母親の首を浴衣の腰ひもで絞めて殺害するという痛ましい事件が報道されました。男性と母親は二人暮らし。約2年にわたり、寝たきりの母親をほぼ一人で介護した。認知症が進んで昼間は目が離せず、夜中に大声を上げることも。男性は外出できず夜も眠れなかったと。介護、看病疲れが動機となった殺人・傷害致死事件は2007年の2件から毎年増え続け、2011年には59件と介護による心労があまりにも深いことを示しています。同じ立場で悩みを語り合い、専門家から助言を受ける場をつくるなど、介護者の孤立を防ぐ取り組みは広がりつつあります。自らSOSの声を上げられない家族は相当いると言います。現代社会の残酷さが浮き彫りになってきています。さて、厚労省は、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供され、重度になっても、住み慣れた地域で暮らす。今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築が重要と方針を示しています。加えて、今年5月に開催された、日本自立支援介護学会での報告では、「家族が直す認知症」として岡山での認知症の重度化予防実践塾と川崎市の認知症あんしん生活実践塾での取り組みが紹介されています。介護者は認知症の症状にどのように対応してよいか、今後どのように進行していくのか、不安を抱いている。実践塾では、症状をとることを目的に、学んだケアを日々実践し、症状が改善していくことで介護の喜びと自信につながっているとあります。
そこで、3点質問します。1点目は、認知症高齢者が地域で暮らすための取り組み。地域包括ケアシステムの構築が重要です。世田谷区の目指す具体的な地域包括ケアをお聞きします。2点目は、認知症高齢者を抱える家族への支援です。介護疲れに陥らないためにも、携わる家族へのバックアップ、支えが在宅介護には何より重要です。区の考えを伺います。3点目は、家族への実践塾の実施です。認知症は良くなるとの希望を持ち、家族介護ができるように、川崎市などが始めた実践塾の実施が必要です。早急な体制作りを求めます。見解を伺います。
○ 次に、道路ネットワークとバス交通ネットワークについてです。
世田谷区内の65歳以上の人口が168,524人。約20%の高齢化率。これから10年先、20年先の世田谷区を見据えたとき、元気で外で活動しやすい環境づくりが重要であります。新たな基本構想にも「駅周辺やバス交通、商店街と文化施設を結ぶ道路などを整えます」と明示されている意味もこのためと思っています。さて、そこで南北交通の軸であるバス路線の実施についてであります。小田急線経堂駅から京王線を結ぶ南北交通は地域住民の悲願でもあり、これまで、議会でも議論してきたテーマであります。本来、桜上水駅への路線を検討してきたものが、道路事情もあり八幡山駅への路線として約2年前に実験運行をしたものであります。ようやく、明年1月から運行開始と聞いていますが、運行時間が不自然です。9時台から16時台までに至った経緯と通常の時間帯での運行への実施についてお聞きします。
高齢社会の進捗に呼応し、バス路線の計画は最も大切です。区は、基本構想、基本計画と時代に即した将来ビジョンを策定しているこの時に、これまで以上に踏み込んだ区のバス交通ネットワークの将来像を示すべきであります。コミュニティバス拡大のこれまでの区の手法の見直しも視野に入れ、移動しやすい魅力ある世田谷の交通政策を構築すべきであります。考えを伺います。
バス交通の為には、南北を結ぶ道路整備はさらに重要です。その中でも、40年以上の月日が経過しても整備が進まないのが恵泉裏通りであります。議会で何度も取り組み状況はお聞きしていますが、土地収用の状況も進んできたとお聞きします。いつ開通ができるのか。進捗状況をお聞きします。
道路整備について、もうひとつお聞きします。平成31年開設へ梅ヶ丘跡地の福祉拠点整備がいよいよ本格化します。それに伴い、目の前の赤堤通りの渋滞の影響が懸念されます。現在でも朝夕は渋滞が発生しているところに、今後、補助154号線の整備に加え、梅ヶ丘拠点ができたときには、一層の渋滞が激しくなると心配しています。隣の都立光明特別支援学校の改築も同時に進められると聞いています。梅ヶ丘整備にあわせて赤堤通り渋滞への対策を講じるべきであります。見解を伺います。