大津市議会議員 佐藤弘

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2月通常会議で一般質問

議会 / 2017年3月1日

2月通常会議で一般質問が行われ、2日目の今日、質問に登壇しました。

質問項目は以下の4項目です。

◆医療と介護の支援強化について

◆地域包括支援センターの就業者への介護支援の充実強化について

◆人工喉頭の埋込型用人工鼻等を日常生活用具の給付対象にすることについて

◆教科用図書採択の公正・透明性の確保について

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以下、質問内容です。


 

◆医療と介護の支援強化について
1点目は、在宅医療・介護連携推進事業の取り組み状況について
急性期の医療から在宅医療・介護まで一連のサービスを切れ目なく提供することを目指して、市区町村は平成27年度以降在宅医療・介護連携推進事業に係る取組を開始し、平成30年4月には全国の市区町村で主体的に取り組むことが求められています。
具体的な取り組み内容は、医療・介護に関して「地域資源の把握」「課題の抽出と対応策の検討」「切れ目のない提供体制の構築」「関係者の情報共有支援」「相談支援」「関係者の研修」「地域住民への普及啓発」「関係市区町村の連携」として、全部で8つの事業項目があります。

そこで、在宅医療・介護連携推進事業の8つの取り組みは、平成30年度にはすべて実施すること求められていますが、大津市が既に取り組んでいる事業と29年度に取り組む事業の概要について伺います。

また、これまでの事業推進における課題と対応策について見解を伺います。

2点目は、退院時・後の支援策について
大津市では平成27年度から、病院とケアマネジャーの連携による入退院支援ルール運用の事業をはじめています。しかし、介護認定を受けていない患者にはケアマネジャーが付いていません。このような場合には、患者・家族の退院時の調整は病院側に委ねられることになります。これまでも患者・家族の方から、退院した後の生活について病院に相談したが、対応が十分でないと不満の声を聞くことがありました。このような相談を受けた場合には、病院側から地域包括支援センターに連携を取ることが必要だと考えます。

そこで、ケアマネジャーの付いていない患者・家族の退院時の相談支援については病院側から地域包括支援センターへ連携するルールが必要と考えますが見解を伺います。

また、退院時の支援、相談先、在宅医療・介護について入院されている患者・家族の方へ説明すると共に、病院内にポスター掲示やリーフレットを置いて周知する必要があると考えますが見解をお聞かせ下さい。

次に、入退院支援ルールでは連携する病院側スタッフは患者担当の看護師になると伺っています。患者が退院する場合に相談を受けて、在宅での療養であれば看護師とケアマネジャーの連携で対応可能かと考えますが、自宅以外の病院や施設へ転院・入所を希望される場合などは看護師やケアマネジャーには対応外の仕事になると考えます。
そこで、退院後に自宅、病院、施設入所など患者・家族が希望する場に繋げられるような支援体制が必要と考えますが見解を伺います。

 ◆地域包括支援センターの就業者への介護支援の充実強化について
少子高齢化の進展と合わせて、必然的に高齢者の要介護者の大幅な増加と労働者である子どもは親の介護に直面することは間違いありません。介護離職防止を図る観点から、介護休業にかかる法改正が行われ、介護休業の日数は変わらないものの、93日間を3回まで分割取得できることや、介護休暇の取得単位が半日単位も可能になりました。他にも対象家族の範囲の拡大や要介護基準の見直しもされています。このように就労者が休業して介護に関わる機会が増えてくると、介護休暇の取り方や仕事と介護の両立など介護の不安や悩みを持つ就業者に対する相談支援の充実強化が求められることになると考えます。

そこで、1点目に、就労者のための相談時間の拡充について
就労者には平日に相談時間を取ることが難しい方も多いと考えます。そこで、地域包括支援センターを土日祝日に開所することや開所時間の延長、電話による相談体制の拡充、土日祝日の相談会を実施することについて見解を伺います。

2点目に、就労者の相談に対応できる体制について
就労者の休業の取り方、企業との連携、法的専門性など就労者ならではの相談に関する支援体制が必要と考えますが見解を伺います。

3点目に、就業者支援の取り組みと課題について
大津市の就業者に関する介護支援の取り組みと課題について見解を伺います。
◆人工喉頭の埋込型用人工鼻等を日常生活用具の給付対象にすることについて

喉頭部がん等によって喉頭部を手術で摘出すると声帯が失われ声を出すことができなくなります。
命を守るためとはいえ、自分が声を二度と発することが出来ないという選択は非常に辛いことです。「シャ乱Qのつんく」さんが、喉頭がんで声帯を失ったことを知っている方は多いと思います。
先日、滋賀県がん対策推進議員連盟の主催でがんフォーラムが開かれ、アピアランス支援をテーマに国立がん研究センターから講師を招いての講演とがん患者の体験発表がありました。講演では、がんの治療に関する取り組みは進んでいるものの、アピアランス(いわゆる外見、見かけ)については対応が不十分であり、がん患者の悩みは、治療による外観と社会との接点とにあると話されました。体験発表では、喉頭がんで声を失った湖南市の方が電気喉頭を使って話されました。聞き取りにくい声でしたが、新しい発声法であるシャント法の出術をしたこと。そして、本格的にリハビリをして自分の声で孫や多くの人と話すことを楽しみにしていると語られました。この方が体験を話すのに使っていた電気式人工喉頭(電気喉頭)による発声は、機械をのどにあて振動させて音を出すのですが、音程の調整が難しくロボットのような機械的な音声になります。このため、普通は人前で使うにはかなり勇気が必要です。電気喉頭を知らない人がはじめて聞くときっと驚かれると思います。体験発表の最後に「孫と話すことが楽しみ」と言われていましたが、もし、お孫さんがお祖父さんに電気喉頭で話しかけられたらどの様に感じるかと思うと辛い気持ちになります。
しかし、多くの自治体が福祉用具の日常生活用具として認められている人工喉頭には笛式と電動式の選択肢しかなく、ほとんどの方は使いやすい電気喉頭を利用しています。
声を出せない方がただ声を出す機能を求めるのであればロボットのような音を発する電気喉頭で十分かも知れませんが、アピアランス支援の考え方からすれば、できるだけ自然に自分の声で話せるように、機能も外見も支援すべきと強く思います。
さて、このシャント発声法は日本では認知度が低く、知っている方は少ないと思いますが、欧米では人工喉頭はシャント法が主流として普及しています。シャントとは連絡路という意味で、気管と食道を短い人工喉頭(チューブ)を手術で埋め込んで空気の連絡路(シャント)をつくります。声帯を摘出した方の喉元は「永久気管孔」という穴が空いていますが、声を出すときにこの穴を指で塞ぐと、息が気管からシャントを通り食道に入って声を出すという仕組みです。最初は発声法にコツがいるようですが、少しの練習で自然に会話ができるようになるようです。
日本ではシャント手術を受けている方は5%程度と言われています。手術は保険が適用されますので3割負担で10数万円程度。高額療養費制度を使えば更に安くなる方もいます。
問題はシャント交換が3ヶ月に1回程度必要であることと、定期的に人工鼻や気管孔周囲に貼るベースプレートなどの器具交換に費用がかかることです。この器具は保険適用外で使用頻度にもよりますが毎月2万~3万円の費用がかかることです。
このため、患者団体はシャント法発声の普及活動はもとより、日常維持に必要な人工鼻などの公費助成を自治体に訴え、2010年度に世田谷区で初めて日常生活用具として認められました。以降、導入自治体が順次増えてゆき、最近では65自治体にまで広がっているようです。滋賀県でも湖南市が最近導入をされました。
大津市には、人工喉頭(すべて電気喉頭)の給付を受けている方は5年間の申請数からすると23名になります。大津市においても人工喉頭を使用している方々にシャント法発声の選択の機会を与えて頂きたいと思います。
そこで、シャント法発声に必要な人工喉頭の埋込型用人工鼻等を日常生活用具の給付対象とすることについて見解を伺います。
◆教科用図書採択の公正・透明性の確保について
平成28年3月、平成26年度以前に複数の教科用図書発行者が検定申請中の教科用図書を教員らに閲覧させていたことや、意見を聞いた謝礼として金品を渡していた事案が発覚したことから、文部科学省は平成27年度に教科用図書採択の影響について調査を行い、平成28年3月に調査結果の公表と教育委員会に対して「教科用図書採択における公正確保の徹底等について」留意すべき事項が通知されました。
そこで、大津市教育委員会における検定申請中の教科用図書の閲覧による処分の事案と通知の趣旨に基づき、教科用図書採択における公正・透明性の確保について質問をいたします。

1点目は、検定教科用図書の閲覧による処分の実態について
先ず、当時、滋賀県教育委員会の調査結果では検定申請中の教科用図書を閲覧した教員は36人で謝礼を受け取るなどした教員は25名で各市町教育委員会が文書訓告などの処分をしたと報道されました。大津市においても、この処分に該当する教員がいたと聞いておりますが、平成28年3月の検定教科用図書の閲覧に関する処分案件について教科用図書発行者も含めて実態をお聞かせ下さい。

また、平成27年の審議会での推薦図書に処分対象教員に関わった発行者はあったのでしょうか、あったのであれば、採択された理由について見解を伺います。なかったのであれば、今後同様の事案があった場合、発行者にどのような対応をされる考えか伺います。

2点目は、調査研究の審議結果の評価について
通知では調査研究の充実として「採択権者の判断に資するものとなるよう努める」とあります。研究調査のまとめとしての審議票には観点ごとに評価内容が記述されています。しかし、優れた点の評価ばかりで、劣る点の評価が示されていないので選定するには分かりにくいと感じます。調査結果の評価は優劣・順位を付けない方針となっていますが、調査項目としての観点については県と市が調査を求めているわけですから、それぞれの観点に基づく項目別の絶対評価は問題ないと考えます。通知には「調査員等が作成する資料において(中略)何らかの評定を付す場合であっても(中略)必ず首位の教科書を採択・選定,又は上位の教科書の中から採択・選定することとするなど,(中略)採択権者の責任が不明確になることがないよう留意すること」とありますように、採択者の責任を明確にすれば問題はないということです。
そこで、審議票で教科用図書としての総合評価は行わず、調査項目の観点ごとに絶対評価をすることは、採択権者の判断に資するものとなり、さらには市民にとっても理解しやすい透明性の高いものになると考えますが見解を伺います。

また、「より広い視野からの意見を反映させるために,保護者等の意見を踏まえた調査研究の充実に努めること」としています。調査研究員は教育委員会が専門性などを考慮して教員の中から選任していますが、保護者の意見を反映させることと、特に障害をもった方の意見を反映させるため審議票にユニバーサルデザインの観点を項目に追加すべきではないかと考えます。
2020年度からの次期学習指導要綱で、障害者との共同学習や道徳、音楽など各教科を通じ、全ての子どもに「心のバリアフリー」教育を実施するとしています。また、29年度、30年度は小学校、中学校の「多様な価値観を考え、議論する」道徳の教科用図書選定が始まります。
そこで、調査研究において保護者及び障害をもった方の意見を反映させること、また審議票にユニバーサルデザインの観点の項目を追加することは重要なことと考えますが見解を伺います。

3点目に、公正な審議をするため教科用図書発行者名を伏せることについて
浜松市では平成27年の教科書選定委員会で、研究委員会からの研究報告をもとに採択案を作成していますが、その際に「発行者名」はすべて伏せたまま協議を行っています。
そこで、教科用図書発行者からの働きかけの疑惑や発行者に対する先入観などを払拭するために、調査研究、選定審議会においては教科用図書の発行者名を伏せて行うことで、公正で透明性のある選定審議が行えると考えるが見解を伺います。

4点目に、教科用図書の採択結果とその理由の公表について
教科用図書採択の積極的な公表については27年6月の通常会議において答弁もございました。通知にも「採択結果及びその理由をはじめとする教科用図書の採択に関する情報の積極的な公表に取り組み,採択に関する説明責任を果たすことが求められる」とあります。
教科用図書の教育委員会への答申は図書選定審議会で決定します。審議会では選定図書の議長を除く5名の委員が投票し3票以上で決定、同数の場合議長が決します。27年8月には15の図書の選定審議が行われ、投票結果では5票で決したものが9図書、4票で決したのが6図書でした。審議会における委員の意見は議事録としてホームページに公表していますが、推薦図書に投票した理由は分かりません。調査研究については審議会が「専門の事項を調査・研究させるために必要がある」として調査研究員を置き、調査研究の報告となる「審議票」は県教育委員会の「選定に必要な資料」を参考にして観点や見方等を決めているものです。
そこで、採択結果については、調査研究で報告された「審議票」を踏まえ、理由を明確にして公表すべきと考えますが見解を伺います。