大津市議会議員 佐藤弘

一人のひとを どこまでも大切に 心豊かな まちづくりを目指します

9月通常会議での一般質問

教育 行政 議会 防災 / 2016年9月15日

9月通常会議にて 3項目について一般質問をしましたので、質問原稿を掲載します。

◆公正公平な競争と建設事業者等の健全な発展を図る入札制度のあり方について

建設工事の入札における予定価格と最低制限価格の事前公表については、これまでその入札方式の問題点を質してきましたが、議会答弁では「参加業者が入札前に予定価格と最低制限価格を聞き出そうとする不正行為を抑止する」ことや、「発注者の関与を排除する」ためには事前公表は有効であるとの考えを示され、今も行われています。
確かに入札における不正行為を許さないことは当然のことです。その対応策として予定価格と最低制限価格の事前公表をすれば、入札における参加業者と発注者間における不正はあり得ません。しかし、この入札方式は、入札参加業者と発注者間での不正を未然に防止することが目的で、この制度の問題点も指摘されており、弊害も生じています。
ご承知のとおり、予定価格の事前公表とは工事の入札前に工事の価格を公表することです。また最低制限価格の事前公表とは建設工事の価格に公表されている算定基準を乗じて算出された金額を落札下限額として入札前に公表することです。
予定価格と最低制限価格の公表について指摘されている問題点は、見積努力の低下やくじ引きの発生、最低制限価格等への応札価格の誘導など、技術力・経営力に優れた企業の努力が報われない状況を招くことです。
市長は、予定価格と最低制限価格の事前公表により、不祥事をなくそうとしていますが、弊害が生じることも、27年度の黒津雨水管渠工事の事件が証明をしています。もし、予定価格と最低制限価格が事前公表されていなければ、そして本来のあるべき入札が行われていたら、このような不祥事は起こらなかったのではないかと考えます。
そもそも平成27年度の黒津雨水管渠工事を計画の場所で工事が出来なくなったのは、隣接する26年度の工事が遅れたことが原因でした。平成26年度の工事は瀬田川への放流口を含む管渠工事です。この放流口の工事は南郷洗堰から常時放流される位置にあり、瀬田川の水を締め切っておこなうもので、例年に比べ雨量が多いことも重なり非常に難しい工事でした。設計書には施工内容に現場条件が十分に反映されていないことなどから、川の水を締め切る土嚢設置などの仮設工事において大きな変更があり、最終的には工事金額は当初の2倍以上、工期も6ヶ月の工期がさらに1年延期となりました。この工事の遅れが、27年度工事の事件を引き起こす要因となったのです。この工事が遅れたのは、当初の設計・積算に問題点が内在していたにもかかわらず、入札時に複数の参加業者から設計内容、仕様について積極的な疑義が提示されなかったことが考えられます。もし、入札見積の段階で複数業者から質問が行われ、業者と発注者間で問題点をオープンにして対等な立場で共有していたら、入札後の協議もスムーズに行われ、加えて工程の遅れも最小限にくい止められたのではないかと考えます。
そして翌27年度には、計画通りの場所で、問題となった工事の入札が行われたのです。この入札においても、もし複数の入札参加業者が工事場所に来て、現場の状況を確認していたのであれば、隣接工区の工事進入路が当該工事に支障を及ぼすことが想定されることから「工事に着手するために、隣接工事の進入路が障害となるのではないか」などの質問が当然あったと思われます。質問が出れば、発注者は何らかの回答を行い、公表せざるを得ませんので、今回の事件のように内部で一方的に工事区域を変更するようなことは不可能であったと考えます。しかし、そうならなかったのは最低制限価格が事前公表されていることの弊害であったと考えます。
黒津雨水管渠工事の例をあげましたが、これは現行の入札方式であればどの工事であってもあり得ることで、特定の事業者を指すものではなく、入札参加業者と発注者間での問題点を申しあげています。
そこで伺います、
1点目は、予定価格と最低制限価格の事前公表による入札の弊害について見解を伺います。
2点目は、27年度黒津雨水管渠工事の不祥事は予定価格と最低制限価格を事前公表する入札方式に原因があったと考えますが見解を伺います。
3点目は、市長は黒津雨水管渠工事に関する職員の不祥事の責任を取られて、自らの給与を減額されましたが、入札制度の見直しこそが責任の取り方であると考えますが見解を伺います。

次に、それでは大津市以外の自治体ではどの様な入札制度で行っているのか、主に予定価格、最低制限価格の事前・事後公表の状況を大津市と同じ中核市と滋賀県及び県内自治体を調べてみました。
ScreenClip
先ず、47ある中核市についてです。予定価格については、大津市と同様に事前公表している自治体は26市、事後公表が15市、事前・事後公表の併用が6市という結果でした。
また、最低制限価格については、大津市と同様に事前公表している自治体は大津市を含め5市、事後公表が41市。そのうち14市は途中から事後公表に変えています。1市は最低制限価格制度を導入していませんでした。
この他、最低制限価格の決め方については、不正防止の目的で開札の時に最低制限価格にランダム係数を乗じて算出する変動型と言われる方式を採用している市が6市ありました。 また、設計金額が一定以上の工事について、低入札価格調査制度を設けている自治体もありました。
ScreenClip [1]
次に滋賀県と滋賀県内の市町です。
滋賀県では、予定価格は事後公表、最低制限価格は未公表です。グラフはありません。
県内の大津市を含む19の市町では、予定価格については、事前公表が5、事後公表が10、事前公表と事後公表の併用が3、未公表1となっています。
最低制限価格については、事前公表が大津市の1、事後公表が8、未公表10となっています。未公表とは事後公表もしないという、さらい厳しい対応のことです。

このように多くの自治体が予定価格および最低制限価格の事前公表は行っていません。大津市では入札時の不正行為のリスクを排除するために予定価格および最低制限価格の事前公表を行っています。では事前公表を行っていない自治体には不正行為のリスクはないのでしょうか。そんなことはないでしょう。「発注者の関与」というリスクについては、大津市の職員も他の自治体職員も同じ人間です。
「業者が聞き出そうとする不正行為」これについても、例えば他市の業者が大津市の入札に参加することもあります。反対に大津市の業者が他市の入札にも参加するでしょう。大津市の入札に参加するときだけ不正行為をするのでしょうか。どこの自治体でも不正行為についても同じリスクがあるでしょう。
しかし、ほとんどの自治体がその様なリスクを承知の上、本来あるべき入札制度に向けて取り組んでいるのではないでしょうか。
市長は業者、職員間の不祥事に対して強い責任感をお持ちで「不祥事は最大の悪」との考えが最優先されすぎて、入札制度のあり方を根本的に見直すことについて故意に思考を停止させているのではないでしょうか。市長が真摯に公正公平な入札制度の見直しを進めた結果に起きたことであれば、責任を追求する人はいないでしょう。

そこで4点目に、多くの自治体で「業者が聞き出そうとする不正行為」「発注者の関与」のリスクを踏まえて予定価格の事後公表、最低制限価格の事後公表が行われていることについて、市長はどの様に評価しているのか伺います。

5点目に、入札制度における「不正行為の絶対排除」と「不正行為のリスクを踏まえた公正公平な入札」のどちらを優先すべきとお考えか伺います。

6点目に、今こそ不正行為の抑止に限らず広い視野に立って、健全な入札制度に見直す時であると考えます。
そこで、公正公平な競争と建設工事、業務委託事業者等の健全な発展を図る入札制度のあり方について検討するため、学識経験者等の第三者からなる「大津市入札制度等検討委員会」を設置して、大津市の入札制度の見直しを進めることを提案しますが見解をお聞かせ下さい。

◆土砂災害特別警戒区域指定に伴う区域内の公共施設・住宅の対策について
2年前に広島市で大規模な土砂災害が発生してからその後、土砂災害警戒区域指定の重要性が再認識され、滋賀県域、大津市域においても遅れていた土砂災害警戒区域の調査・指定が急ピッチで進められています。大津市ではこれまで北と南から中心部に向けて調査・区域指定が進められてきました。中心部になるほど警戒区域の指定範囲に住宅などの建築物が多く見受けられるようになりました。
そこで、土砂災害警戒区域の指定に伴う特別警戒区域(レッドゾーン)にかかる、公共施設や住宅への対策が必要と考え、以下質問致します。

1.土砂災害警戒区域指定の進捗状況について
現時点における土砂災害警戒区域の土石流、急傾斜地崩壊別での進捗率と残数、そして今後の調査スケジュールについて学区別にお聞かせ下さい。

2.特別警戒区域にある河川分流施設について
市役所第2別館の西側に位置する熊野川の一部が、平成28年3月30日付けで土石流の特別警戒区域(レッドゾーン)の指定を受けました。この区域内には熊野川の流量を調整するための分流施設が設けられています。
ScreenClip [2]
そしてこれが分流施設です。

ScreenClip [5]
この熊野川分流施設は下流河川の流下能力が不足しているために、一定の河川流量を超えると熊野川の北側を流れる不動川に分流されるようになっています。
この熊野川分流施設が特別警戒(レッドゾーン)の指定区域内にあることは、上流域から流れ出る土砂によって分流施設が埋まってしまうリスクが非常に高いことを意味します。もし、分流施設に土砂が溜まり雨水の分流機能が損なわれれば、その河川下流域の住宅や市役所第2別館など、広く水害の影響を受けることが考えられます。この分流施設を土石流から守るためには砂防堰堤を設置するしかないと考えます。(映像終了)
そこで、1点目に熊野川分流施設のように特別警戒区域にある河川重要施設への影響に対して国、県における評価基準等はあるのかお聞かせ下さい。

2点目に、大津市として特別警戒区域内に位置する熊野川分流施設の災害リスクについてどの様に評価しているのか見解をお聞かせ下さい。
また他に同様の状況下にある施設はあるのか見解を伺います。
3点目に、熊野川分流施設から下流の住宅・市施設への水害リスク低減のため、大津市は地域住民とともに滋賀県に対して、熊野川に砂防堰堤を優先して設置することを求めるべきであると考えますが見解を伺います。

3.特別警戒区域にある公共施設について
平成28年3月30日付けで、大津市歴史博物館の西側斜面が急傾斜地崩壊特別警戒区域の指定を受け、歴史博物館にも影響を及ぼす可能性が示されました。
これが指定区域図です。

ScreenClip [6]
このように土砂災害警戒区域の指定により他にも土砂災害の影響を受ける公共施設がでてくる可能性もあります。

そこで1点目に、歴史博物館西側斜面地が急傾斜地の崩壊による特別警戒区域に指定されたことについて、大津市は土砂災害による歴史博物館への影響をどの様に評価しているのか、また対策の必要があるとお考えか、見解を伺います。
2点目に、土砂災害特別警戒区域にある、もしくは影響を受ける可能性が高いと考えられる大津市の公共施設は歴史博物館以外に存在するのか伺います。

4.特別警戒区域にある民間住宅の移転・補強助成制度について
土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律には、急傾斜地の崩壊等による特別警戒区域の指定を受けた住宅に居住する住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずると認めるとき、県は移転等の勧告ができるとし、このとき、国・県は家屋を移転または補強を促進するために必要な資金の確保、融通又はそのあっせんに努めることとしています。そこで大津市において移転・補強の助成を受けられる制度を設けておく必要があると考えます。
この助成制度を制定するには、大津市・県が連動して補助金交付要綱を策定する必要があると聞いております。他の自治体ではこうした移転・補強制度を制定しており、制度内容は移転には既存家屋の撤去費、新たな家屋の購入・建設費および土地の購入を、また補強には家屋補強の設計費と工事費をそれぞれ一部助成しています。
そこで、大津市が急傾斜地の崩壊等による土砂災害特別警戒区域における移転・補強助成制度の制定を行うことと、合わせて滋賀県へ同様の制度制定を要望することについて見解を伺います。
◆学校給食のアレルギーと食べ残し対策について
先ず、学校給食のアレルギー対応食についてですが、これまでも多くの保護者からの要望がありました。そこで、私たち公明党議員団は大津市の学校給食共同調理場でアレルギー対応食導入の可能性について研究するため、先進的に取り組んでいる松本市の給食センターを視察しました。
松本市の給食アレルギー対応食は、一般の給食を基本にして、そこから食べられないアレルギー原因食を抜きとり、その代わりのメニューを提供する、いわゆる代替食で対応されています。
献立決定までの流れは、給食センターで献立(案)作成後、学校経由で保護者のチェック、再度給食センターでの献立変更で最終決定します。この間、給食センター、学校、保護者間で2回の確認・報告が行われています。
調理から配送、返送については、食品の混在しないカット・配膳、専用ランチジャーの使用、複数での盛り付け、名札付の配送バック詰めの確認から教室での担任確認のほか、最終は返送品の確認まで、安全に調理されたアレルギー対応食が間違いなく本人に届けられてから返送されるまでに様々な工夫を取り入れ、綿密な管理のもと実施されています。
8,000食規模の給食センターで栄養士5名と調理員60数名、そのうちアレルギー対応の栄養士が2名での体制で、70名~80名のアレルギー対応食を提供しています。人数を増やしてアレルギー対応食数を増やせるかの問いに、調理から盛り付けを読み上げ確認するので70~80名が限度ではないかとのことでした。
視察を行い、献立から調理、配送、調理員の体制、対応食の適正食数までアレルギー対応食導入に多くのことを学ばせていただきました。

そこで数点伺います。
1点目に、平成25年の調査によると大津市の食物アレルギー対応で、給食をまったく食べない「完全弁当対応」が23人、献立により一部弁当を持ってくる「一部弁当対応」が75人であると伺いました。児童生徒に食物アレルギーがあっても無くても、同じように給食を楽しめるようにするのが基本的な方向でありますが、アレルギーに対する安全性の確保もしなければなりません。このように相反する考えのなか大津市の食物アレルギー対応食について、どの様な方針で進めて行かれるのか見解を伺います。

2点目に、現在3箇所の学校給食共同調理場がありますがアレルギー対策室はありません。アレルギー対策室の新増築・改築には国庫補助の対象にもなっており、国や県においても推進しているようです。
大津市では新たに東部学校給食共同調理場の移転新築を計画しています。整備計画では、施設規模は食数18,000食、食物アレルギー対応は最大200食としています。
そこで、移転新築する東部学校給食共同調理場と合わせて、北部と南部の学校給食共同調理場にもアレルギー対策室の整備をおこない、全ての小中学校にアレルギー対応食を導入することについて見解を伺います。

次に給食の食べ残しの対策についてです。
今回視察した松本市では環境省が実施する「環境教育の実施に伴う効果測定事業」に参加され、その内容について報告を聞きました。
事業は「食べ残し量調査」「小学校環境教育」「保護者に対する意識等変化調査」で、「食べ残し量調査」は、モデル校3校で食べ残し量を主食と副食に分類し、期間を決めて毎日、定量的に測る調査で、環境教育実施前後に測定をするものです。
「食べ残し量調査」では、学年平均で5時限の環境教育を行ったA校では約34%減、2時限のB校では約17%、環境教育非実施校では約11%増と効果に明確な違いが出ていました。「意識変化調査」では、「環境教育後の自宅での話の有無」で66%が自宅で話をし、「子供が自宅で話をした内容」は「食品ロス(食べ残し)」の話をする割合が高かったとのことでした。さらに、保育園環境教育との比較では、子ども(特に園児)を通じた家庭への影響は大きく、子どもへの環境教育の意義は大きいことが分かったとの報告を聞きました。
これまでも学校給食では食べる量の個人差があることから、食べ残しが大量に発生するとの危惧がありました。
しかし、体の成長に伴い食べる量も個人差がありますので、残さず食べ切らせることを強要することも問題です。このことは中学校給食の導入にあたり検討すべきことと考えます。
そこで、1点目に、大津市では給食の食べ残しについてどの様に取り組んでいるのか伺います。
2点目に、食べる量の個人差があることについての見解と、どの様な対策をお考えか伺います。
3点目に、園児をはじめ小学生、中学生を対象とした「環境教育」に取り組むことについて見解を伺います。