平成29年 第4回定例会 代表質問③
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東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されるにあたり、多数の外国人来訪者や障がい者の方たちが駅・空港や競技場、旅館・ホテル等を利用することが想定されます。
これらの施設では、一般的に火災や地震の発生時には、火災報知設備の鳴動や非常放送などにより、施設利用者への情報伝達、避難誘導などを行います。
その際、外国人や障がい者など、様々な特性がある方は、例えば日本語音声だけでは災害情報を十分に理解できないことや、階段などがある経路での避難が難しい場合があるなど、さまざまな課題があるため、その個別の事情に配慮した災害情報の伝達や避難誘導が求められます。
このことを踏まえ、総務省消防庁では、スマートフォンアプリやデジタルサイネージなどの活用によって、災害情報の伝達や避難誘導が効果的に行われるよう「ガイドライン」を検討し、平成30年3月までに策定する予定としています。
このガイドラインの策定にあたって、試行訓練を本年10月から12月の間、全国6カ所において実施することとなり、11月15日にJR川崎駅および周辺施設、11月20日には、羽田空港国際線ターミナルにて、その訓練が実施されました。
この訓練では、従来の火災や地震が発生した際の訓練に加え、ガイドラインで示すこととしている外国人や障がい者などに配慮した「教育・訓練プログラム」の試行として、従業員役であるプレーヤー、施設利用者役となるコントローラー、そして評価者といった役割分担で行われ、外国人や障がいの特性のある方が、災害情報の放送内容が理解できなかったり、災害発生の恐怖によりパニック状態になった場合や、避難場所までの個別誘導を行う場合、エレベーターの使用や閉じ込め、避難後に元の場所に戻ってしまったり、けがや体調不良が発生した場合といった基本的な7つの想定が用いられました。
これは、まだガイドライン策定にあたっての試行訓練でありますが、
(質問⑥3-1)
本区はこのような外国人や障がい者などに配慮した訓練、そして、7つの想定の試行訓練に対して、どのような評価、感想を持ちますでしょうか。お聞かせください。
また、災害等によって、7つの想定と同様の状況が本区の施設内で発生した場合、施設利用者それぞれに個別対応することは困難であり、パニック状態に陥ってしまうのではないかと想像できます。
防災危機管理の観点だけではなく、障がい者への配慮の観点、外国人への多言語対応、文化の違いなど、多角的にシュミレーションしておく必要があるのではないかと思いますが、
(質問⑦3-2)
消防庁によるガイドラインの策定を待つことなく、「国際都市おおた」として、同様の試行訓練を行い、早期にサポート体制を構築すべきであると思いますがいかがでしょうか。本区の見解を聞かせてください。
さらにこの試行訓練において、情報伝達や避難誘導を行う際、多言語対応のほかに、「やさしい日本語」を活用することとしていました。
この「やさしい日本語」とは、本年3月の予算特別委員会にて、我が会派の田島議員が総務費の質疑の中で、資料の掲示とともに紹介していたものでありますが、弘前大学の佐藤和之教授などが研究、考案した、旧日本語能力試験3級程度の日本語(小学校3年生の学校文法)で理解ができる、約2千の語彙と、単文を主とした単純な構造からできている簡潔な日本語であります。
この「やさしい日本語」は、災害が起こったときに外国人を助けるために生まれたものでありますが、今では災害時のみならず平時における外国人への情報提供手段としても研究され、行政情報や生活情報、毎日のニュース発信など、全国的にさまざまな分野で取り組みが広がっています。
また、スマートフォンで使用できる翻訳アプリにおいても、いったん「やさしい日本語」に直してから外国語に訳した方が、意味の通る訳文になるとのことです。
「やさしい日本語」は、そのような効果も期待されるものでありますが、
(質問⑧3-3)
このような「やさしい日本語」を、防災・減災の観点だけでなく、多文化共生の観点から大田区の多言語の1つとして加えて、さまざまな表記に加えて行ってはいかがでしょうか。本区の見解をお聞かせください。
松原区長の答弁
<回答⑥3-1:松原区長>
総務省による「外国人来訪者や障がい者等に配慮した災害情報の伝達・避難誘導のための試行訓練」に対する評価や感想についてのご質問 ですが、今回の訓練は、火災や地震が発生した際に、施設の管理者が外国人や障がいのある方等に配慮した情報伝達や避難誘導を行うためのガイドライン策定を目的としていると理解しております。
発災直後の施設内における外国人や障がいのある方への災害情報の伝達及び支援体制が不十分な状況によって、精神的に不安定な状態にある場面を想定した実践的な訓練と評価しております。
災害時の情報伝達や避難誘導は、区、国や東京都、各事業者がそれぞれの役割を明確にして取り組んでいくことが大切です。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を目前に控え、災害時の外国人や障がいのある方への情報伝達や避難誘導の体制の構築は、重要な課題の一つであると考えております。
<回答⑦3-2:松原区長>
現在、国が策定を予定しておりますガイドラインは、駅、空港、宿泊施設など、外国人や障がいのある方が多数利用する施設を対象としたものと聞いております。
区といたしましては、これらの施設に限らず、地域防災計画におきまして、要支援者名簿の作成など、「要配慮者及び避難行動要支援者対策」の基本的な考え方を定めているところでございます。
外国人には、多言語での言語支援、障がいのある方へは障がいの状況に応じた支援が重要であり、現在、それぞれ具体的な方策を検討しております。
蒲田駅帰宅困難者対応訓練や地域における防災訓練など、様々な訓練へ外国人や障がいのある方、本人をはじめ、ご家族や関係者への参加を促進しております。
引き続き、国や東京都の動向を注視しつつ、区として災害時に役割を十分果たせるよう支援体制を強化してまいります。
<回答⑧3-3:松原区長>
「やさしい日本語」は日本語に不慣れな外国人にもわかりやすく理解が容易な言語でございます。
現在、区では日本語を母国語としない方々に区政情報等を伝えるため、区のホームページやmicsおおたのホームページを多言語化するとともに、「やさしい日本語」版の多言語情報誌「ota city navigation」を発行しております。
今後、様々な国籍の方がふえていく中で、「やさしい日本語」を多言語の一つとして表記に加えていくとともに、micsおおたの相談窓口などにおいても「やさしい日本語」で話すことも重要と考えます。
「やさしい日本語」の存在を広めていくことは、外国の方々が日本語を学ぶ機会を増やすことにもつながり、今後も「やさしい日本語」の重要性を認識した施策を展開してまいります。