平成27年 第3回定例会で代表質問⑦認知症徘回者の対応について
9/11(金)、平成27年第3回定例会第1日目にて、代表質問をさせていただきました。
長文になるので、数回に分けて質問内容を掲載いたします。
※写真クリックで、Youtube動画が見れます!
(質問 5分04秒、答弁 2分45秒)
先日、アプリコで開催されたおおた福祉フェスに行ってまいりました。
その中で、介護現場を舞台にヘルパーさんの奮闘を描いた演劇「ギンノキヲク」を観劇いたしました。
認知症を介護する家族の苦労の様子や、認知症による徘回で行方不明になった高齢者を必死に探し回るヘルパーさんたちの姿や心の持ち方などが実にリアルに描かれており、これからの認知症高齢者の対策について大変考えさせられる内容でした。
本区では、ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯などに対する地域での見守り・支え合いのネットワークづくりに取り組み、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを進めており、高齢者見守りキーホルダー事業の24時間化の対応も始まり、サービス向上とともに登録率、更新率の向上にもつながっていることと思います。
今後ますます高齢化が進む中で、認知症患者、さらに認知症徘回者の数も増加していくことが考えられます。
そこで、認知症徘回高齢者の実態把握と介護者への支援、介護離職予防対策を兼ね備えた取り組みとして、小型GPS端末を使用した徘回高齢者の位置検索サービスの実施を提案いたします。
実際にGPS機能を使用している区内のあるデイサービスにて、その活用状況についてお話を伺いました。
専用端末機を高齢者にお持ちいただき、所在不明になったときに位置情報支援センターに依頼して現在の位置情報を確認し、その位置情報に基づいて探索を行うというものが多くの自治体などで実施されているサービスのようですが、ここで実施されているものは、さらに高度な技術を備えているものでした。
超小型GPS端末を専用のシューズの靴底に設置することで端末機を持ち忘れるということがなくなります。
そして、徘回による移動が始まると、約6分ごとに事前登録者のスマートフォンに移動した地点の情報がメールで自動的に送信されます。
約6分ごとに情報が送られてくるので、どんなルートを移動したかがわかるようになり、さらに使用を繰り返すうちに徘回者の移動パターンがわかるようになり、事前に先回りして発見できるようになるとのことです。
介護者にとっては行方不明になったときの必要以上の心配もなくなり、徘回ではなく散歩に出ているというような安心感が持てるという大きなメリットがあるとのことです。
また、GPS端末の充電交換によるサポートが安否確認、見守りになり、同居者が常時介護している状況だけでなく、就業介護をしている場合や遠隔地にいる家族にとっても、このGPS機能は非常に安心ができ、効果的であるとのことです。そこでお伺いいたしますが、
(質問⑦-2)
認知症徘回高齢者の実態把握と介護者への支援、介護離職の予防対策を兼ね備えた取り組みとして、このようなGPS機能を活用したサービスをモデル事業として一部地域で導入し、検証されてみてはいかがでしょうか。本区のお考えをお聞かせください。
人口約12万人、高齢化率33.4%という福岡県大牟田市では、他の都市の10年先を行くと言われるほど高齢化が進んでいる都市です。地域全体で認知症の理解を深め、認知症になっても誰もが安心して暮らし続けるまちをつくろうと、平成16年、ある小学校の校区をモデルに徘回模擬訓練が実施されました。
認知症による徘回の人を地域で見守り、支えようというもので、その6年後の平成22年には20を超える市内の全小学校区に広がり、毎年1回市内全域で開催され、本年9月には第12回目となる模擬訓練が実施されます。
毎年この訓練には全国から多くの自治体が視察に訪れ、大牟田市の取り組みをモデルとして、自分の地域での徘回模擬訓練の実施につなげているとのことです。
(質問⑦-2)
本区におきましても、認知症SOSネットワークの早期構築を目指して、認知症サポーターのスキルアップと認知症の啓発も兼ねた徘回模擬訓練の実施を、まずは小さな単位で試験的に実施されてみてはいかがでしょうか。本区の考えをお聞かせください。
自分自身が認知症であるか、また、身近な人が認知症であるかどうかチェックするために、「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」のパンフレットを活用されていくとのことですが、自分の親が認知症ではないかと心配する世代には、紙媒体ではなくスマートフォンなどで気軽にチェックできるものがより啓蒙しやすいのではないかと思います。
本年5月の連合審査会において我が会派の勝亦議員も同様の提案をしましたが、
(質問⑦-3)大田区のホームページにパソコンやスマートフォンを使って簡単に認知症チェックができるシステムのサービス提供を行ってはいかがでしょうか。
年々増加している認知症の早期発見や認知症の啓蒙、さらに介護離職の予防にも役立つものであると思いますので、ぜひともご検討をお願いいたします。
~区長の答弁~
<回答⑦-1:松原区長>
GPS機能を活用した、いわゆる徘回対策についてのご質問ですが、認知症などに起因する行方不明者は現在増加傾向にあり、今後もその傾向は変わらないと見込んでおります。
区といたしましては、認知症高齢者等のいわゆる徘回による行方不明問題を喫緊の課題として認識しているところでございます。
高齢者見守りキーホルダーは身元の判明に有効であり、高齢者の6人に1人に登録いただいております。
このキーホルダーを手がかりとして救急隊、警察等から連絡先の照会を受けた件数は、平成26年度に63件を数え、高齢者の安心・安全に役立つ実績を上げております。
登録情報照会への24時間対応を弾みとし、キーホルダーの登録・更新を推進してまいります。
議員お話しのGPS機能を活用したサービスにつきましては、これからも開発が進んでいくものと考えております。
当面は認知症の人やその家族の支援に役立つ多様なツールに関する情報を提供してまいります。
<回答⑦-2:松原区長>
徘回模擬訓練の試験的実施についてのお尋ねですが、認知症になっても住み慣れた地域で生活を送ることができる地域づくりは重要であると考えております。
区では、区民の皆様に認知症を正しく理解していただくため、平成19年度から認知症サポーター養成講座を実施しております。
認知症サポーターは、地域の温かい応援者として認知症の方を見守る活動を行っております。
今後は、フォローアップ研修などを実施していく必要があると考えております。
また、今年度は認知症講演会の開催や介護マークの配布などを進めております。
こうした認知症に関する理解啓発を促進する取り組みを通じて、地域全体で認知症の人とその家族を支える体制を整備してまいります。
徘回模擬訓練につきましても、具体的に地域の中で実践が可能か考えてまいります。
<回答⑦-3:松原区長>
情報機器を利用して認知症をチェックするサービスについてのお尋ねですが、認知症の早期発見、早期対応につきましては、医療機関等と連携・協働して医療へつなげるための体制を構築してまいりました。
一方、認知症の疑いがある方やその家族が自身でその可能性を簡便に判定し、受診を促す仕組みも必要であると考えております。
情報機器の活用により認知症の疑いを気軽にチェックできるサービスにつきましては、医療機関等と連携し検討を進めてまいりたいと思います。私からは以上でございます。