9/20(木)一般質問③成年後見制度
「成年後見制度」、これは、認知症高齢者や知的障害者、精神障害者など、判断能力が十分でない人が、日常の生活を営む上で、契約や財産管理について不利益を被ることがないように、家庭裁判所が本人や親族の申立に基づいて、本人の代理をする権限を持った「成年後見人」などを決める制度として、平成12年4月1日、新しい制度として施行されました。
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施行開始から12年が経ち、だんだんと申立の件数は増えていますが、まだまだ利用が少なく、成年後見制度はわかりにくい、聞いたことはあるけれど良くわからないといった声を聞きます。
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大田区社会福祉協議会成年後見センターでは、「成年後見制度」の講演会を開催したり、大田区報8月1日号では「ご存知ですか成年後見制度」と大きな記事で掲載をしたりと、普及啓発のためにさまざま工夫をされていると思いますが、
「後見人になった人は、その業務内容を家庭裁判所に報告すること」、
「後見人は被後見人の医療に関する同意権はないこと」、
「被後見人になると選挙権がなくなってしまうこと」、
「家族というだけで代理するのは違法であること」
などについて、あまり知られておらず、「成年後見制度」そのものが多くの区民に十分に周知されてないのが現状ではないかと思います。
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実際に大田区社会福祉協議会成年後見センターに行って、「成年後見制度」に関する資料を求めたところ、「ご案内します 成年後見制度」という、4つ折りのガイドと水色の法定後見、桃色の任意後見、それぞれの「てつづきガイド」をいただきました。
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4つ折りのガイドは、後見、法定後見、任意後見についてコンパクトにまとめられており、細かな流れなどは、別の「てつづきガイド」にそれぞれ詳しく記載されているのですが、紙面を占める活字が多く、さらに難しいものと感じさせてしまう印象を受けました。
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この「制度」に積極的に取り組んでいるという、ある区の成年後見センターに行って同様に資料を求めたところ、「マンガで読む 成年後見制度」といった冊子と 同センターでのサービス内容が紹介された冊子をいただきました。
マンガの冊子は、「高齢者のひとり暮らしの場合」、「高齢夫婦の二人暮らしでご主人が脳梗塞で入院してしまった場合」、「障害を持つ子供の場合」など、各種事例が短い物語で書かれており、法定後見、任意後見の手続きの仕方や身上監護、財産管理といった後見人の仕事内容などについて、イラスト付でイメージしやすい形で書かれていました。
また、もうひとつの冊子では、どんなときにどんなサービスが受けられるのか、チャートでみる利用手続きや、身近に親族のいないひとり暮らしの高齢者や障害者の方のための「あんしんサービス」の紹介などが記載されておりました。
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大田区におきましては、少ない財源の中で工夫されているのだと思いますが、この区の冊子と比較してみて、もっとわかりやすいものにできないものか、もっと力を入れるべきではないかと感じました。
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「おおた未来プラン10年」の本年5月の修正版における、基本目標1「生涯を健やかに安心していきいきと暮らせるまち」の中の「成年後見制度を知っている区民の割合」とのモノサシでは、最新値で27.2%、平成25年度で50%、平成30年度には70%の目標を掲げられています。
そこでお伺いいたします。(質問4)
来年平成25年度で50%を達成させるために「成年後見制度」の周知、利用推進は、今後具体的にどのように取り組んでいきますでしょうか。お聞かせください。
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平成24年4月1日、老人福祉法改正で「老人福祉法第32条の2」が創設され、市町村は後見等の業務を適正に行うことができる人材の育成及び活用を図るため、「研修の実施」、「後見等の業務を適正に行うことができる者の家庭裁判所への推薦」、などに努めなければならない。
と定められました。
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独自の市民後見人養成事業を開催し、「市民後見人」の育成、活用に積極的に取り組んでいるある区では、
・市民後見人は、社会貢献意欲に富み、地域活動の延長で後見活動を目指す人が多い
・市民後見人は、親身になって、きめ細かい活動が期待できる
との評価をしており、司法書士や弁護士などの「専門職後見人」の不足を補う「補完」としてではなく、地域で必要とされる、新たな「第三者後見人」として「市民後見人」を位置付けています。
そこでお伺いいたします。(質問5)
このように、「市民後見人」に対して明確な定義があるかどうかで、取り組み方も大きく変わってくるのではないかと思いますが、大田区が考える「市民後見人」に対する定義、位置付けをお聞かせください。
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東京大学では、3年前から「市民後見研究実証プロジェクト」による「市民後見人養成講座」が開かれており、これまで約1500人の修了生を輩出してきています。
この修了生の多くは「市民後見NPO法人」の立ち上げや、後見人になるための準備を行うなど、地域で活動を開始されています。この「市民後見人養成講座」をきっかけに、今年の7月4日に、一般社団法人「後見人サポート機構」が発足されました。
「これまで成年後見人の過半を占めてきた親族後見人から、今後は市民後見人や法人後見人などの比重が増すと見込まれること」、また、「市民後見人などに対するバックアップ機能が社会的に整備されていないこと」 などを踏まえて、活動中の市民後見人のアドバイザー役となること、市民後見人制度への信頼を高めることを目指して、この「後見人サポート機構」は設立されました。
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今週末の9月23日には、「後見人サポート機構」の入会説明会が開催されますが、「成年後見に取り組む自治体等との連携事業も実施していく」との案内がありました。
(質問6)
このような「後見人サポート機構」の新しい動きに大田区は、どのような連携を考えていますでしょうか。また、大田区での「市民後見NPO法人」の立ち上げについてどのようにお考えでしょうか。お聞かせください。
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高齢者が「成年後見制度」の充実している地域に魅力を感じて、住み慣れた大田区から離れてしまわぬよう、明確な考えを示していただくことをお願いしまして、
次の質問に移ります。