公明党 大田区議会議員 たじま和雄

平成27年 第2回 定例会

平成27年 第2回 定例会-06月12日

○松本 副議長 次に、27番田島和雄議員。
〔27番田島和雄議員登壇〕(拍手)

◆27番(田島和雄 議員) 大田区議会公明党の田島和雄でございます。今回の区議選におきまして、初当選をさせていただきました。誰もが安全・安心に暮らせるまち大田を目指して、区が抱える諸課題、諸問題に全力で取り組み、期待も込められた区民からの大きな負託に応えてまいる所存でございますので、よろしくお願い申し上げます。
 今回、区議会議員になって初めての質問をさせていただきます。
 私は、前職が警備会社であったことから、安全ということには人一倍強い関心がございます。そこで、無電柱化事業についてお伺いいたします。
 5月の臨時会で成立を見ました第1次補正予算の中に、無電柱化事業の方式検討が盛り込まれておりました。無電柱化とは、道路の地下空間を活用して、電力線や通信線などをまとめて収容する電線共同溝などの整備による電線類地中化などにより、道路から電柱をなくすことです。
 なぜ無電柱化を目指すのか。それは4点ほどの理由によるものと考えられます。1点目は快適な通行空間の確保、2点目は交通安全の向上、3点目は都市の景観の向上、4点目は防災力の向上です。1点目の快適な通行空間の確保ですが、若者だけでなく、つえをついて歩かれる高齢者、車椅子やベビーカーを利用する方にとっても、電柱は通行の妨げとなり、バリアフリーの観点からも無電柱化を進めるべきです。2点目の交通安全の向上ですが、特に路側帯に設置している電柱をよけるため、歩行者が車道にはみ出して通行しなければならず、車両と接触する危険性が高くなるという現状があります。3点目の都市の景観の向上については、電柱と電線があることにより、まちの景観を大きく損ねております。4点目の防災力の向上については、阪神・淡路大震災や東日本大震災では、電柱の倒壊による道路の閉塞が避難や救助活動、そして復旧を困難にさせる原因の一つになり、人々の生活に大きな影響を与えました。また、地中に設置された電線類は災害に強い側面を持っております。阪神・淡路大震災では、地中化された電線の被災率は空中にかけられた電線の80分の1程度にとどまることが報告されております。
 しかし、この無電柱化事業は、東京都でも幹線道路を中心に、わずか7%の道路でしか実施されておらず、なかなか進んでいません。その理由は、電柱設置に比べて莫大なコストがかかることではないかと私は考えますが、区の見解はいかがでしょうか。
 しかし、このところ、無電柱化事業について、国は新たな計画の策定を検討しているとのことであり、東京都は無電柱化推進計画を策定するなど、このところ、国や都が無電柱化事業を強力に推し進めていると伺っております。
 そこでお伺いいたします。これまで大田区では、おおた未来プラン10年においても、大田区地域防災計画においても、無電柱化事業について触れてこなかったわけですが、なぜこの時期に大田区として無電柱化事業を推進しようとするのかお教えください。
 今回の無電柱化事業の方式を検討する対象区間は、産業道路から羽田空港、弁天橋へと続く大田区道主要第94号線のおよそ1キロメートルと伺っております。当該道路は、災害の被害が大きく、危険地域からの避難や消火・救助活動も困難であることが想定される災害時活動困難度を考慮した総合危険度が大田区で最も高いレベル5の木密地域と接しており、地域住民が万一の際に避難道路として使用する可能性が高いものであります。無電柱化を進めるなら、優先的に行わなければならない地域がもっとほかにあるだろうとの意見もございますが、私は、当該道路は、無電柱化事業をはじめとした防災対策をほかの道路に優先して、しっかり施さなければならないと考えておりますので、今回の区の方針に対しては大きく賛同するものでございます。
 また、これまで幹線道路を主体に推進してきた無電柱化事業ですが、このたび、生活道路においての方式検討がなされます。これが可能となると、無電柱化事業の対象道路が大きく広がることとなり、先に述べましたバリアフリー、交通安全、景観、そして、防災の観点からも喜ばしいこととなる一方で、コストの問題などもございます。また、生活道路を対象としますので、近隣住民の理解を得られなければ頓挫するおそれがあります。無電柱化事業を今後どのように推進しようとするのか、区の方針についてお知らせください。
 次に、防犯カメラの設置についてお伺いいたします。
 これまで公園は憩いの場であるから防犯カメラの設置はなじまないとのことから、大田区内の公園における防犯カメラの設置についてはほとんど実施されてまいりませんでした。しかし、先ごろの平成27年度第1次補正予算においては、3か所の公園に防犯カメラを設置することが盛り込まれました。なぜ今般、防犯カメラ設置に向けて方向性を変えたのかお知らせください。
 昨今、犯罪が凶悪化していると区民が体感として受け止めているところから、プライバシーに関しては適正に管理した上で、犯罪を抑止するために防犯カメラを設置してほしいとのお声をかなり多くの区民から頂戴いたします。過去と比べて、防犯カメラに対する区民の意識は大きく変わってきていると思われます。その区民の声の多さ、関心の高さから見て、今回の補正予算によって3か所の公園に防犯カメラを設置すれば、ほかの公園へも設置してほしいと区民から要望が起こることは火を見るより明らかです。その区民の要望に補正予算で応えるには到底不十分であり、区が本腰を入れて設置方針、設置基準を策定し、本予算を組んで、防犯カメラ設置を強力に進めていくべきと考えますが、区の所見はいかがでしょうか。
 そして、今後、公園だけでなく、高速道路や電車の高架下、河川や電車の土手沿いや盛り土沿いなど、犯罪発生率が高いところ、人の目が行き届きにくいところを優先して防犯カメラを設置していくべきと考えますが、今後の区の方針をお知らせください。
 その防犯カメラの性能について、先日、ある区民からお話を伺ったところでは、商店街に設置された防犯カメラで夜間に撮影した映像が不鮮明で全く役に立たなかったとのことでございました。防犯カメラは犯罪抑止に有用ですが、だからといって、ただ設置すればよいというものではございません。いざというときに役に立たなければ、税金を使って設置する意味が全くありません。今後、区が直轄事業として設置する防犯カメラの機種を選定する際の基準について区の見解を伺います。
防犯カメラにおける犯罪抑止力の効果について疑問の声もありますが、東京都新宿区歌舞伎町に警視庁が設置した街頭防犯カメラの分析では、各カメラの設置場所から50メートル以内では22%、50メートルから100メートル以内でも9%、それぞれ犯罪が減少するなど、犯罪抑止に効果があることが報告されております。しかし、防犯カメラを単独で推進するだけで犯罪抑止力を最大限に発揮できるわけではありません。現在実施している地域安全・安心パトロール活動のさらなる強化と地域住民の防犯力の向上とあわせて進めていくことが重要と考えますが、区の所見はいかがでしょうか。
 次に、羽田の歴史を伝える施設についてお伺いいたします。
 羽田空港は、戦後、連合国軍に接収され、海老取川より東、今の羽田空港の敷地にありました羽田鈴木町、羽田穴守町、羽田江戸見町に住んでいた約1200世帯、3000名の方が、ちょうど70年前の昭和20年9月21日、48時間以内に海老取川より西に退去せよとの理不尽な命令によって、とるものもとりあえず退去した歴史があります。この歴史を大田区民でも知らない方が多くいらっしゃいます。先人のご苦労があって、今の羽田空港、ひいては大田区と日本の発展があります。この歴史を後世に、また、外国人に伝えていくことは、私たちの責任であり、非常に重要であると思っております。
このたび公表された羽田空港跡地第1ゾーン整備方針において、この羽田の歴史を伝える施設を設置すると伺いました。どのような施設をつくり、羽田の歴史をどのように伝えようとするのか、区の見解を伺います。
 以上で私からの質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○松本 副議長 理事者の答弁を求めます。

◎町田 防災・危機管理担当部長 私からは、防犯カメラに対する四つの質問にお答えをさせていただきます。
 まず、防犯カメラの設置の方向性についてのご質問ですが、本年2月、川崎市の多摩川河川敷で中学生が殺害される事件が発生し、多摩川を隔てた大田区の間近で起こったということで、地域での治安に対する不安感が高まりました。そのような状況を捉え、今回、緊急対策として、子どもがよく利用する場所として公園、特に遊具を何度も壊されるなど、危険性の高い公園に試行的に防犯カメラを設置し、犯罪の抑止を図ることといたしました。設置する防犯カメラの効果等を検証した上で、防犯カメラに対する区としての方向性を整理してまいりたいと思ってございます。
 次に、区が設置方針、設置基準を策定し、防犯カメラを他の公園に、また、その他の場所への設置を強力に進めるべきとのご提案でございますが、議員ご指摘のとおり、防犯カメラの設置に対する区民の要望は今後増えてまいるものと思ってございます。さらに広く、様々な場所に防犯カメラの設置を展開していくためには、防犯カメラの効果検証、個人情報の適正な取り扱い、利用者の合意形成などが課題となってまいります。また、高速道路の高架下や河川の土手などへの設置につきましては、首都高速道路株式会社、鉄道事業者、国交省等との調整も必要となってまいります。緊急対策として公園に設置を予定している防犯カメラの効果等を検証し、議員のご提案の内容についても検討してまいりたいと思ってございます。
 三つ目です。区が直接設置する防犯カメラの機種を選定する際の基準についてのご質問ですが、今年度、区が公園に設置を予定している防犯カメラにつきましては、ご紹介いただいた事例を踏まえ、日本防犯設備協会が定める画質、耐久性、夜間における視認性、見えやすいかというような基準、そのような防犯カメラに必要な機能性能の基準を参考にしながら、機種の選定をしていきたいと考えてございます。
 最後になりますが、他の事業や区民との連携についてのご質問でございます。犯罪抑止は、警察や防犯関係者だけでできるものではなく、地域において犯罪のしにくい環境づくり、区民一人ひとりが犯罪を許さないという気持ちで声をかけ合うなどにより相乗効果を生むものと思ってございます。現行の地域安全・安心パトロールをはじめ、自治会・町会、PTAで行っていただいているパトロール活動などと組み合わせることにより、さらに防犯効果を高めてまいりたいと思ってございます。今後とも、警察や関係団体はもとより、地域力を結集し、安全で安心なまちづくりを目指してまいりたいと思ってございます。以上でございます。

◎玉川 空港まちづくり担当部長 私からは、空港跡地におけます羽田の歴史を伝える施設についてのご質問にお答えいたします。
 戦後のGHQによる強制退去をはじめとします羽田周辺地域の歴史を伝承していくことは、羽田空港跡地第1ゾーンの整備方針素案の中に取り上げてございます。現時点で想定しております取り組みといたしましては、大田区立郷土博物館や地域の団体などが保有する羽田周辺地域に関する歴史資源を活用しまして、歴史や文化、そして、羽田空港の発展の歩みもあわせまして紹介することを考えてございます。また、大田観光協会や地域で取り組む団体とも連携いたしまして、羽田の歴史、文化を体感できますまち歩きの起点とすることも考えてございます。こうした取り組みによりまして、海外や全国からの来訪者に羽田の歴史や文化を広く伝えてまいります。

◎荒井 都市基盤整備部長 私からは、無電柱化事業について3問お答えします。
 無電柱化事業がこれまで進まなかった理由という質問についてお答えします。大田区では、最近において、大田区が都市計画道路補助第44号線や大岡山駅前、連続立体事業関連のアクセス道路などを実施するのに伴い、無電柱化事業を推進しております。平成27年4月時点では、区内で8キロメートルが完成しております。一方、この無電柱化を行うためには、地上機器を歩道上に設置するため、一般的に歩道幅員2.5メートル以上が必要となります。現在では、区が都市計画道路の整備などで新設、拡幅により歩道幅員が確保できる路線について、計画的に無電柱化を実施しているところでございます。
 続きまして、なぜこの時期に大田区として無電柱化事業を推進するのかという質問でございますが、羽田地区においては、平成26年度から羽田の防災まちづくりの整備計画に基づき、密集事業を開始しております。その中で、羽田バス通りは、避難場所である東京国際空港への重要なアクセス道路として位置づけられているため、災害時にも安全な通行ができる空間を確保する必要がございます。したがいまして、羽田バス通りについては、羽田地区の防災まちづくりにあわせ、現道を広げずに無電柱化を実現する方法を様々な面から検討することとしました。
 続きまして、無電柱化事業を大田区は今後どのように推進していくのかという方針についてお答えします。無電柱化事業につきましては、歩道上に地上機器を設置した場合の有効幅員を確保することが必要とされています。そこで、大田区としましては、都市計画道路等で歩道幅員が確保できる路線について、無電柱化を実施していく方針でございます。一方、歩道幅員が2.5メートルに満たない生活道路につきましては、電線共同溝方式で行う場合、地上機器の設置場所等について課題がございますので、東京都においても統一した方向性は確立しておりません。したがいまして、今回検討する羽田バス通りの検討結果を、無電柱化の課題解決に関する協議、検討の場において、貴重な材料としていくことを考えております。以上でございます。