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平成21年第2回定例会 一般質問

未分類 / 2009年6月18日

 昨年度は大田区監査委員という立場なので慣例として質問ができなかったのですが、約一年ぶりの本会議での質問となりました。今回は自主課税権のこと、また観光政策、とりわけフィルムコミッションの取り組みについて質問をしました。最後のほうで時間が足りず、答弁が切られてしまいましたが、終了後理事者からしっかり取り組みをしていくとの前向きな答弁書をいただきほっとしたところであります。以下質問内容です。

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  質問通告に従い順次質問をいたします。誠意あるご答弁を期待しております。

はじめに自主課税権について質問をいたします。

2000年4月、地方分権一括法が施行され、自治体の自主課税権が拡大されて以来、各地で様々な独自の税が創設されてまいりました。産業廃棄物税、豊島区の放置自転車等対策推進税 ワンルームマンション税 、結果的に導入は見送られたものの杉並区のレジ袋税であるとか、ほか東京都のホテル税など、多くの新税が誕生いたしました。2007年2月の時点での導入数は、全国で44都道府県12市区町村と、2000年4月と比較して、その数およそ3倍に達しています。

本区議会におきましても自主課税について、これまで過去にも同僚議員が羽田空港利用者に対しての法定外税について取り上げられ質問をされていました。本年の予算特別委員会での理事者答弁では「新たに航空機利用者に上乗せして課税することは、すでにある航空機燃料税、航空機への固定資産税、空港施設利用料、着陸料などがあり同様の目的で課税することは重複してしまう。また地方税の応益の原則から区の行政サービスを直接的には受益しない多数の旅行者に課税するという問題もある。さらに利用者に負担をすることが空港利用に影響する可能性もある。このような点から新たに課税することは難しく、総務大臣の同意を得るのも困難では。」との答弁でありました。

航空機燃料税、空港施設利用料、着陸料について納められた税金は、それぞれ「国の空港整備費など」に充てられる目的税であったり、施設整備に充てられるものとなっています。議会側が求めている法定外税は、空港跡地の整備や関連する街づくりおよび環境負荷に関してのものであり、重複するものとは違うと考えます。空港が区内に存在するために必要となる特別なニーズをどのように認識しているでしょうか、例えば今後空港跡地を整備していくためにすでに本区は既に168億円を基金に積み立て、さらに将来、整備に要する実際の規模は数百億円は下らないと見込まれています。また区内の通過交通量は道路にしても電車にしても空港利用者のために多大な負荷を区民は強いられています。これらを空港が存在しない自治体と同じような一般財源だけで賄うとしたら、大田区民だけが大きな負担を背負うことになります。そこで質問しますが、これら大田区が空港所在地として現に負担している額と、今後負担するであろう負担の規模をどのくらいと見込んでいるのか。そして現在の税財政制度において、航空機燃料譲与税など、空港所在地であることを以って国から交付されている財源の種別と金額をお示しください。本区はそうした空港がある故のニーズと、現に国から交付されている財源との差額を新たな税源として空港利用者に求めるべきではないでしょうか。また来年の秋には発着枠が拡充する中でも航空機燃料税は国際線には課税されないということになっています。これはどういう理由からなのでしょうか。日本全体でこれからの航空需要の増大を考えれば、航空機燃料税は増収が見込めることになります。当然羽田の発着枠が拡大すれば、大田区の航空機燃料譲与税も増収となるはずです。大田区にとって貴重な財源である航空機燃料譲与税について、今後どのように推移するのか、しっかりと分析・検討していただきたいと思いますが、所見を伺います。

また先の答弁で、区の行政サービスを直接的には受益しない多数の旅行者に課税するという問題があるということについては、法定外税には居住者に対する直接税の場合とそれ以外の場合があるわけで、東京都のホテル税などがまさにそれに当たります。答弁通りであるとまさに東京都のホテル税は悪であるという認識で自主課税権さえも否定するような答弁であります。さらに利用者に負担をすることが空港利用に影響する可能性については、一人当たり100円負担していただくことが空港利用に影響するとはとても考えにくいことであります。

確かに、受益と負担の関係を明確化した税が理想とされる一方で、理想を追求した税の設定については困難な面も多く、問題が絶えない訳でありますが、地方税法によれば、「地方公共団体は、総務大臣と協議しその同意を得て、別に税目を起し、普通税や目的税を課すことができる(259条、669条、731条)」とされております。また、法定外普通税・法定外目的税を新設または変更しようとする場合には、あらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得なければならない(259条、7312項)」と規定されております。

それでは総務大臣は何をもとに同意を決定するかというと、条文には「次に掲げる事由のいずれかがあると認める場合を除き、これに同意しなければならない。」とあります。それは

一、    国税又は他の地方税と課税標準を同じくし、かつ、住民の負担が著しく過重となること。

二、    地方団体間における物の流通に重大な障害を与えること。

三、    国の経済施策に照らして適当でないこと。

と、あります。いずれも同意を阻む事由はないと考えます。

空港機能が存在すること、また拡充することで利益を享受していることも一方でありますが、航空機の排出ガスの観点や、物流における交通量の増大による本区に与える環境負荷は計り知れないものがあると考えます。その上で、法定外税を設けるに足る十分な税源として乗降客の航空運賃に1人当たり100円とすること、財源を調達しなければならない財政需要としては、環境負荷に対する環境対策費、および空港跡地の整備を含めた空港周辺のまちづくりを進めていく需要があるということで十分総務大臣と協議しうる材料があるわけであります。

さらには現に、環境施策を積極的に推進するための持続的で安定的な財源を確保することを目的とする法定外目的税を導入した例がいくつかありますが、例えば北九州市の「環境未来税」や沖縄県伊是名村の「環境協力税」。これは島の自然を守ろうと、20054月に法定外目的税を導入し、船や飛行機で来島する人から協力金として100円を徴収。1年間で約360万円の税収を得、その収入は公園整備費用に充てられ、安定した環境美化活動につなげることができています。ましてや東京都は跡地については購入しないと宣言しているわけで、これの是非は別としても本区は国との駆け引きにおいてこういったことも視野に置き、法定外税についてもっと真剣に検討すべきと考えます。また一方では第4滑走路が完成した折には、本区の面積の拡大により基本財政需要額にも影響が出るものと想定され、その場合には、財調交付金が増額するはずです。そういう観点からも積極的に本区の財政確保に向けての姿勢を示していただきたいと考えますが所見を伺います。

 

次に本区の観光政策について質問をいたします。

本区は、昨年7月に「大田区観光産業振興プラン検討委員会」を設置し、10 年後の本区がめざすべき観光の方向性を検討してまいりました。

また、副区長を会長とする「庁内検討会」を設置し、観光振興プランの策定に向け、検討委員会と連携しながら観光振興プランの策定の検討を進め、昨年12 月には、検討委員会から区長へ報告をされ、報告内容を踏えながら、さらに庁内検討会で検討を進め、パブリックコメントを経て、本年3月観光振興プランを策定されました。そして本区が主体となる5年間の具体的な事業目標を明示した重点計画を定め、今後、区民の皆様や観光団体、事業者、N P O などの方々とともに、本プランを確実かつ着実に実施していくこととされています。

まずは改めてこのことに対する本区の御決意をお聞かせ下さい。

これまでの経緯を踏まえ、携わってこられた方々への敬意と感謝を申し上げたいと思います。その上で少しばかり私なりの意見と提案をさせていただければと思います。

特に観光振興プラン推進のための5年間の重点計画の中での取り組みについてでありますが、基本戦略の5「来訪者を迎え入れる情報の発信」ついては少しばかり施策としての具体性に欠けている感を抱きます。情報発信力は観光政策の一番の要であります。このことについては今全国で競って取り組んでいる課題でもありますし、競争は激しいところであります。また、もう国内だけのお客さんを対象にしていては厳しい面もあります。国際的な観光都市も含めて、さまざまなこれからの取り組みをしなければならないと考えます。真の観光都市としていくためには、やはり見て回るべきハードと、それから、本プランにも指摘されているように、それを見させる工夫であります。ソフトと、ハードが非常にうまく組まれていないと、この回遊性を高める事、あるいは宿泊につながるということは難しいことだろうと考えます。ですから、ハードの整備とソフトの充実。これを織りまぜながら取り組んでいく事が重要と考えます。本プランにおいてこの点についてどう仕込まれているのか所見を伺います。

話は戻りますが今回は情報発信力の具体的な施策としてフィルムコミッションを取り組んでいくことの提案です。

このフィルムコミッションとは、どういうものか。これは映画やテレビドラマ、コマーシャルなどのロケ撮影を誘致し、実際の撮影の際には、さまざまな手段で支援をするという組織の名称であります。実際には、ロケ候補地を広く紹介したり、各種許可申請の代行をしたり、実際の撮影の際には宿泊先を手配したり、時には区民エキストラ出演の手配などを行います。運営を担うのはさまざまですが、多くが自治体の担当部署、また商工会議所、観光協会、また民間団体などが担っております。 

 フィルムコミッションは、世界において41カ国307団体が存在し、日本では平成12年に大阪で発足したのを契機に、昨年の3月時点で103の団体が存在しています。神戸のフィルムコミッションは草分け的存在で、1000本近くのロケを敢行、また姫路のフィルムコミッションは、映画「ラストサムライ」など400本以上のロケ誘致に成功しています。都内では5団体。ほか四国全県では全ての県でフィルムコミッションが存在しておりまして、先日このフィルムコミッションをテーマに視察した香川県では、映画「県庁の星」では県庁の一フロアーも提供されたり、「世界の中心で愛をさけぶ」や讃岐うどんをテーマとした「UDON」は上映終了し数年たった現在も食べ歩きと合わせて撮影場所が観光スポットとなり、回遊性を持たせています。ちなみに現在、日本で撮影されている映画の7割は、各地のフィルムコミッションを利用しているとのことです。

全国フィルムコミッション連絡協議会設立趣意書の中でも述べられておりますが、日本映画は、我が国が世界に誇れる日本文化の一つで、世界の各国際映画祭等でも日本は世界の主要な映画製作国の一つとして遇されており、数多くの作品がさまざまな賞を獲得しています。このように文化的に重要な役割を果たしているにもかかわらず、我が国では、映画やテレビ等の撮影環境が必ずしも整っているとは言えない状況にあります。映画を通じてその国を知る。また、知りたいと思う。映画はその国を映す鏡であり、文化であると同時に、実質的な国際相互理解と効果的な観光宣伝の機能を持っております。従来、我が国には、ロケーション撮影を誘致し、撮影に必要な各種の許可を得たり関係する各方面との交渉を行うといった、撮影に協力するための組織がありませんでした。一方、映画が重要な文化活動と認識され、かつ、映画やテレビの撮影地になることにより、当該地域の国際的・国内的知名度を飛躍的に向上させることができることから、観光宣伝上極めて有効な手段となっていること、関連産業を通じて当該地域への経済効果と雇用の創出に貢献できること、更には当該地域の文化育成にもつながることから、多くの自治体等が映画やテレビのロケーション誘致に積極的に取り組んでおり、県あるいは市町村単位でフィルムコミッションが設立されているわけであります。

 このフィルムコミッションのメリットは何か、大きく5点あります。

1点目は、直接的な盛り上がりです。単純にロケ撮影が実施されれば、地域は盛り上がります。区民エキストラ募集や、また区長への表敬訪問、先行上映、出演者舞台あいさつなどの可能性もあります。また、撮影スタッフや出演者の飲食代や宿泊費から成る経済効果も望めます。

2点目のメリットは、間接的な活性化です。ロケ撮影実施により無名の地域も知名度がアップし、メディアに登場する回数がふえ、観光客などの交流人口が増加する可能性があります。それによる経済効果も見込めます。

3点目のメリットは、さらなる波及効果です。ロケ撮影が実施されることにより、地域住民が地元の魅力、すばらしさを再確認するきっかけとなり、またつながりのなかった人同士のネットワークが構築され、新たな地域活性化策が育成される契機になります。

4点目のメリットは、情報発信ルートの広がりです。ロケ候補地を紹介することは、映画のみならずテレビや新聞、雑誌など、さまざまなメディア媒体がその情報を利用します。実際テレビ番組の制作サイドから番組制作の際、各フィルムコミッションの情報を大いに参考にすると聞いたこともあります。映画のみならず、さまざまなメディアへの情報発信になります。また、各媒体とコネクションができ、ネットワークが広がります。その後の情報発信をより効果的に実施できる活路が広がります。

5点目のメリットは、巨大な設備や財政の投資が不必要ということであります。

一昨年、蒲田を舞台にした寺島しのぶさん主演の豊川悦司さんや妻夫木聡さんが出演した映画「やわらかい生活」をごらんになった方いらっしゃるでしょうか。女性に共感を呼ぶリアルな女性像、女性の生き方を描いた作品でした。舞台は蒲田駅西口広場、東急プラザの屋上遊園地、タイヤ公園、池上本門寺の力道山像など何気ない蒲田の風景が映像に映し出され私自身自慢したい気持ちになりました。過去に映画で蒲田を舞台につくられたものとして古くは松本清張の「砂の器」での蒲田操車場。「釣りバカ日誌」の羽田の風景。新しいところでは、DOCOMOのCMで池と沼の違いはナニ? の舞台となった洗足池。観光スポットというよりむしろ日常の大田区のなかでの風景、これが資源となるわけであります。映画「やわらかい生活」の上映の際には観光協会が窓口となりPRのお手伝いをされたとのことですが、これまで、撮影に関する問合せや相談などの実績はあるのかどうか。また区関連施設での撮影実績はあるのかどうか。把握できている範囲で、これまでの区内での撮影実績はいかほどあったのかお伺いをいたします。

そして今後の展開として情報発信の具体的な手段としてのフィルムコミッションの取り組みを重点計画の中での基本戦略として、ぜひ加えていただき取り組んでいけないでしょうか。まずは東京都の産業労働局観光部振興課が運営している東京ロケーションボックスと連携し検討を進めていただきたいと考えます。映画の街だった蒲田を抱える本区だからこそ取り組む意味もあるし、フィルムコミッションの取り組みがまさにもてなしの心に繋がって行くと考えますが、本区の所見をお聞かせ下さい。

一昨年島田洋七さん原作の「佐賀のがばいばあちゃん」がフジテレビ系列で放送され、高視聴率を得ました。人気から、続編要望やロケ地ツアー企画も開催されたそうであります。広島に住む小学校1年生だった島田洋七さんが佐賀の田舎に預けられ、母方のパワフルなおばあちゃんと暮らした、貧乏だけど刺激に満ちた生活を描く実話であります。この実話は、映画、漫画、テレビドラマ化されていますが、テレビ版ではメーンロケ地に市長が中心となって誘致を進めた佐賀県武雄市が選ばれ、同市の市役所では「佐賀のがばいばあちゃん課」を設置し、取り組みをされたそうであります。ドラマ撮影に関し、54人のボランティアスタッフ、1,000人以上のエキストラの方に御協力いただき、市民参加でのテレビドラマづくりをされたそうであります。しかし、市長のこの取り組みに対し、職員の中には批判的な方もいたそうであります。テレビドラマ放映後、市長に送られてきたドラマの感想のメールの中で、「今まで、市長が何でドラマごときにここまでのめり込んでいるのかわからなかったです。正直、ずっと批判的でした。ほかに大切な仕事もあるだろうと。しかし、家族で見終わったときに、武雄に住んでいることを本当に感謝しました。市長、市長のお気持ちがわかりました。ありがとうございました。」という職員からのメールが市長にあったそうであります。

この佐賀県武雄市のような、市長みずからがトップセールスをされ、地域住民を巻き込んだロケ誘致を通し、自治体の知名度アップや観光客や来訪者の増加につなげたような取り組みを、松原区長はどのように受け止め、考えられるのか、感想があればお聞かせいただき私の質問を終わります。