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 公明党は21日、税制調査会総会を開き、2020年度税制改正に向けた議論を始めた。最大の争点は、ひとり親でも婚姻歴がないと恩恵が受けられない寡婦(夫)控除における格差の是正だ。公明党の訴えで昨年、大きく前進したが、さらなる税制上の対応は今回の与党協議に委ねられた。20年度税制改正でどのような結論が出るのか。子育てに奮闘する未婚のひとり親家庭が注視している。
■寡婦(夫)控除を未婚にも
 今月中旬、都内の待ち合わせ場所には、仲良く手をつなぐ親子の姿があった。田村悠子さん(50歳・仮名)と娘の美香さん(13歳・同)。匿名を条件に取材に応じてくれた。
 田村さんは13年前、パートナーの男性とは籍を入れずに美香さんを出産した。結婚に希望が持てなかったが、「どうしても子どもは産みたかった」。男性は養育費を払っていたが、経営する会社が傾き、2年ほどで途絶えた。以来、田村さんは平日と土日、いずれもフルタイムで派遣の仕事をこなしている。
 「週末は一緒にいてあげたいけど、土日の仕事を外したら(年収は)250万円もいかない」。その分、親子の時間は人一倍、大切にしている。「娘のおかげで私は一人前になれた。だから頑張ることができる」。田村さん親子に陰りはみじんもない。
 それでも、年末調整の時期は気が重い。手続きの際に毎年、会社から未婚の理由を確認されるからだ。「控除が受けられない上に嫌な思いまで。未婚だと、どうして寡婦に入れないのでしょうか」
 前に勤めた会社では、未婚のひとり親であることで陰口を言われたこともある。「制度が変われば社会も変わるかも」。田村さんは、ほのかな期待を寄せている。
■婚姻歴関係なく「生まれた命、支えて」
 「ひとり親家庭といっても千差万別。懸命に生きる親子の暮らしに目を向けてほしい」。そう語るのは、大阪でひとり親家庭の子どもの学習を支援するNPO法人「あっとすくーる」の渡剛理事長。自身もまた、未婚の母子家庭で育った。
 渡理事長は、寡婦(夫)控除が適用されない背景に「未婚の出産を助長しかねない」という論調があることを知り、ショックを受けたという。「どんな状況であれ、生まれてきた命と家族を国が支えていくというメッセージを社会に発信してほしい」と語り、税制改正の議論の行方を見据える。
■自民、公明が議論を本格化/20年度税制改正で「結論得る」
 未婚のひとり親は国内で増加傾向にある。厚生労働省の直近の調査(16年度)によれば、母子世帯になった理由のうち未婚は8・7%で死別(8・0%)を上回り、ここから推計される世帯数は10万を超す。
 一方、未婚の母子世帯の母親の年間就労収入は平均177万円と、母子家庭全体の水準を23万円ほど下回る。その上、寡婦(夫)控除が適用されない未婚のひとり親は、所得税や住民税の控除が受けられず、婚姻歴のある、ひとり親に比べ税負担がさらに重い【表参照】。
 こうした現状を踏まえ、公明党は不公平の是正を一貫して主張してきた。その結果、昨年12月に決まった与党の19年度税制改正大綱には、給与収入が約204万円以下であれば、21年度から住民税を非課税にすることが盛り込まれた。さらに19年度は予算措置として、児童扶養手当に1万7500円が上乗せされる。
 19年度の大綱には、さらなる税制上の対応について「20年度税制改正で検討し、結論を得る」と明記された。決着に向けて、自民、公明両党で議論が本格化する。
■焦点は子どもの貧困対策/党税制調査会事務局次長 竹谷とし子参院議員
 ひとり親の中でも婚姻歴があるか、ないかで税制上の差があり、それによって経済的に厳しい家庭が、受けるべき恩恵を受けられずにいる。公明党は、あくまでも子どもの貧困対策に焦点を当て、この問題に一貫して取り組んできた。
 これまでにも、未婚のひとり親世帯に対する寡婦控除の「みなし適用」を、公営住宅や福祉サービスなどの分野で実現した。19年度の税制改正では、21年度から低所得世帯の住民税を非課税にするという大きな前進をみた。
 しかし、未婚のひとり親世帯に不利な状況は依然として残る。税法の上から抜本的に差をなくしたい。弱い立場にある、未婚のひとり親家庭で暮らす子どもたちの未来のために、税制見直しの議論に臨む決意だ。
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