(全国県代表協議会)山口代表あいさつ
8日に東京都新宿区の公明会館で開かれた全国県代表協議会での山口那津男代表のあいさつ(全文)は次の通り。
■(新型肺炎対策)水際で阻止、万全の措置を。国内経済の懸念に対応も
全国の都道府県本部代表、幹事長の皆さん、年頭からの党勢拡大に向けた奮闘に心から感謝申し上げます。
冒頭、新型コロナウイルスによる感染症対策に関して、一言申し上げます。中国湖北省武漢市で同ウイルスによる肺炎患者が確認されてから1カ月余り。中国本土では、感染者が3万人を超え、日本国内でも80人以上の感染者が確認されています。世界に感染が広がる中、何よりもまず、ウイルスの流入を食い止める水際作戦の徹底と、国内で確認された感染者に対する機敏かつ適切な対応で、速やかに事態を収束させることが重要です。
また、中国人団体旅行客のキャンセルが観光業に大きな打撃を与え、製造業のサプライチェーンが一部滞るなど、国内経済に深刻な懸念が出始めています。経済への影響にも速やかに対応しなければなりません。
焦眉の急の課題に対し、公明党は1月27日、政府に先立って党対策本部を設置。これまで4回、会合を開いて対応を協議し随時、提案もしてきました。6日には、政府に対して、感染拡大防止や情報提供・相談体制ならびに検査・医療体制の充実、風評被害・経済への影響対策などを求める緊急提言を行ったところです。
政府は、この提言を受け止め、早期収拾へ万全の対策を講じてもらいたい。併せて、影響を受けた事業者への必要な支援や、今夏の東京五輪・パラリンピックの開催などに影響を与えないよう、十分な対応を求めます。
■(未来を決する10年)SDGsやパリ協定の目標達成へ先導役果たす
さて、新たな時代の幕開けというべき2020年代が始まりました。激動する国際情勢や相次ぐ災害、少子高齢化など日本を取り巻く環境、課題が厳しさを増す中、安心と活力に満ちた未来をどう開いていくか。公明党は与党として、日本のかじ取りの一翼を担っている、その重い役割を果たしていかねばなりません。
30年までの10年――そのスタートの年、本日の会合を機に、次代の日本の明るい未来を築くため、公明党の使命と責任は重大であると自覚し、決意新たに出発していこうではありませんか。
未来への責任として持続可能な世界を残すため、人類社会が抱える課題を包含した国連の「持続可能な開発目標」、いわゆるSDGs、そして、地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」、いずれも30年を目標達成年次としています。
グテレス国連事務総長が、気候変動問題を「私たちの時代を決定づける問題」と警鐘を鳴らしたように、今、国際社会はこの危機感を共有しながら、持続可能な社会の構築へ、共に行動を起こし始めようとしています。
一方で、国際社会では自国中心主義の動きもあります。その中で日本は、政治が安定し、社会を分断するような動きも見られないことから、国際社会からは世界の平和と安定をリードし、SDGs、パリ協定の順守へ先導役を果たしてもらいたいとの期待が強くあります。公明党はこうした日本への期待をオールジャパンで推進できるよう全力を注いでまいります。
また、国内的には、国民が安心して人生設計を描けるような国づくりが求められています。公明党は、人口減少や少子高齢化など社会の構造変化に対応し、若者から高齢者まで皆が安心できる「全世代型社会保障制度」の構築をはじめ、「防災・減災・復興」「活力ある経済」など、社会のニーズに対し具体的に対策を示しながら、その実現に取り組んでいきたい。
世界の注目が集まる夏の東京五輪・パラリンピック。大成功に開催することはもとより、これを機に多様性を尊重する共生社会の実現など、活力と希望あふれる日本社会の構築にもつなげなければなりません。さらに「復興五輪」と位置付けられる今大会、被災地での競技開催などを通じて災害復興を力強く進める姿を内外に発信し、勇気と希望を送る大会となるよう、全力で支援していきたいと思います。
■(「小さな声を聴く力」)ニーズ捉え政策に反映。社会の分断・格差を防ぐ
公明党は、昨年の統一地方選、参院選を勝ち抜き、党の持ち味である国と地方のネットワークの基盤をさらに強固にしました。この党の基盤を最大限に生かすとともに、公明議員として何が本当の「衆望」なのかを敏感に察知する「議員力」を磨きながら、盤石な党の基盤構築を進め、党の存在感を示していきたい。
今年の賀詞交歓会でも、「何かあったときに一番乗りで駆け付けてくれる」「絶えず市民に寄り添って仕事をしていることがよく分かる」など、多くの来賓から公明党への期待の声が寄せられました。
議員自らが地域に入り、庶民と政治をつなぐ公明党の役割への期待が、ますます高まっていると実感します。こうした評価は、公明議員の一人一人が「大衆とともに」の立党精神を体現し、「小さな声を聴く力」「時代のニーズを捉え的確に政策に反映する力」を発揮してきたからに他なりません。
全議員が一昨年に実施した「100万人訪問・調査」運動や、昨年の幼児教育・保育の無償化に関する調査は、まさに結党以来の伝統を引き継いだ「小さな声を聴く力」を生かした取り組みでした。現在は、青年委員会、女性委員会が、全国津々浦々で「トークミーティング」を開催しています。引き続き、全議員が現場に徹して入り切り、丁寧に、真剣に「一人一人の小さな声」を聴き、的確に政策に反映していこうではありませんか。
最近の公明党ならではの大きな実績といえば、「消費税の軽減税率導入」と「教育の無償化」です。これらの政策は、社会の分断・格差をどう防ぐかという時代的な要請に応えたものと言っても過言ではありません。これからも、「小さな声を聴く力」と「時代のニーズを捉え的確に政策に反映する力」を存分に発揮し、庶民の期待、思いに応えながら、公明党理解・支持の輪をさらに広げてまいりたいと思います。
■(政治課題への対応)予算の早期執行で防災、全世代型社会保障を充実
現在開会中の通常国会では、自然災害からの復興や防災・減災対策などを柱とする19年度補正予算を速やかに成立させることができました。引き続き、20年度予算の早期成立に総力を挙げ、この二つの予算の早期執行によって、災害からの復旧・復興や経済の下振れリスクへの対応、全世代型社会保障の充実などを進めてまいりたい。
また、公明党が長年主張してきた、未婚のひとり親の税負担軽減などが盛り込まれた税制改正関連法案や、復興庁設置期限の10年延長、就労の長期化・多様化に対応する年金制度改革などの法改正の実現にも万全を期してまいりたい。
なお、IR(統合型リゾート)を巡る贈収賄事件で現職の国会議員が逮捕される事態は極めて遺憾であります。国民の政治不信を招く事態が起こらないよう、政府・与党はより一層の緊張感を持って政権運営に当たらなければなりません。
中東地域での日本関係船舶の安全確保に向けた情報収集のため、自衛隊が派遣されました。今回の派遣は、公明党の要請で、与党の審査を経た閣議決定が行われ、国会報告の義務付けなどの歯止めがかけられています。今後とも、自衛隊員の安全確保など国民の理解を深める丁寧な説明を政府には求めたい。併せて、引き続き、政府には最大限の外交努力で地域の緊張緩和に取り組むことを望みます。
■習主席の国賓来日実現に最大限努力
今春、中国・習近平国家主席の国賓来日が予定されています。日中両国は、今やアジアそして世界の平和と繁栄に欠かせない大きな責任と役割を共有しています。それを国際社会に示し、協調と協力の日中新時代を開く象徴となる極めて重要な訪日となります。
新型コロナウイルスによる感染症対策でも、早期の事態収拾へ日中がしっかり協力することが、国賓来日の実現に向けた環境整備につながります。公明党も与党として、実現に向け最大限の努力をしてまいります。
■(さらなる党勢拡大へ)全ての闘い、断固勝利で
今年も各地で重要な統一外選挙が相次ぎます。党の揺るぎない基盤を築くためには、一つとして負けられない大事な戦いです。特に6月7日投票の沖縄県議選は、本土復帰50年(2022年)以降の沖縄の未来を決する重要な選挙であり、大激戦が予想されています。何としても、党の総力を挙げて戦い抜き、全員当選を勝ち取ってまいりましょう!
来年の夏には、首都決戦となる東京都議選が行われ、秋には衆院議員が任期満了を迎えます。常在戦場の構えで、勝利に向けた取り組みを一段と加速させてまいりたい。
党勢拡大といっても、支部会の充実や機関紙拡大、市民相談といった日頃からの地道な闘いが肝要です。さあ皆さん! 全議員が総立ちとなって、徹底して支持拡大に挑み、一つ一つの闘い全てに、断固、大勝利していこうではありませんか!
私自身、新たな決意で、新たな党勢拡大の闘いを起こしてまいります。そして、党勢拡大の大波の中で、今年秋の党全国大会を迎えてまいりましょう!
共々に闘ってまいりましょう!