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ヒバクシャ署名/核廃絶の声にどう応えるか
被爆者が中心となって2016年から始まった核廃絶を求める署名が1000万を超え、「ヒバクシャ国際署名連絡会」が先週、国連総会第1委員会に目録を提出した。
「ヒバクシャ国際署名」によって「核兵器の完全廃絶」を求める声は着実に世界に広がり、17年7月7日には核兵器禁止条約(核禁条約)が国連総会で122カ国の賛成で採択されるという劇的な展開もあった。
「後世の人びとが生き地獄を体験しないように、生きているうちに何としても核兵器のない世界を実現したい」との被爆者の声にどう応えるか。核軍縮さえ進まない現実の中で、核廃絶に向けた知恵が政治に問われている。
公明党は、核の非人道性を世界に訴えてきた被爆者の地道で勇気のある行動に対し深く敬意を表している。また、核兵器を違法とした核禁条約についても「国際的に核兵器を禁止する規範が確立されたことは画期的な意義がある。公明党も長期的、大局的な視野から条約に賛同する」(山口那津男代表=昨年1月)と評価している。
政治の役割は、この核兵器の非人道性と違法性を根拠に、現実世界の中で核廃絶を実現させることである。
しかし、核保有国は核禁条約に反対し、米国の「核の傘」に安全保障を依存する日本や韓国、豪州、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国も条約の批准をしない方針だ。しかも、核保有国と核禁条約を推進した非保有国とは対話もできない状況である。
日本政府はこの対話を促すため、外務省主催で核保有国と非保有国の有識者による「賢人会議」を設置し、両者の橋渡しをめざしてきた。
「賢人会議」は核禁条約の実現に貢献したNGO(非政府組織)の意見も聞きながら、両者が対話可能なテーマとして、核があるから核戦争を防げるという核抑止論など「困難な問題」に正面から取り組むことの必要性を訴えている。対話の中で、核抑止論に替わる安全保障のあり方が見えてくれば、廃絶に向けた実効的な核軍縮の道も開ける可能性がある。
対話なしには何も動かない。橋渡し役としての日本政府の役割に期待したい。 2019年10月14日 公明新聞2面転載