民進 共産/路線、政策に溝
自公政権の打倒を共通目標に掲げ、参院選の1人区で統一候補を擁立した民進党と共産党。しかし、もともと両党の間には政治路線や重要政策で埋めがたい溝があり、参院選公示の前日に行われた党首討論会などで、一段とその違いが浮き彫りになってきた。
『消費税』
『民進/10%上げを2年延期』
『共産/増税反対、制度も廃止』
民進党 消費税率10%への引き上げ自体は社会保障の財源として必要との考え。ただし、現在は増税できる経済環境にはないとして、来年4月に予定されていた税率10%への引き上げを2019年4月まで2年間延期すべきと訴えている。
消費増税の再延期による社会保障の財源に関しては、赤字国債の発行で賄うと、事実上、将来世代にツケを回す提案をしている。
共産党 「消費税10%増税は『先送り』実施ではなく、きっぱり断念」すると主張。将来的には消費税を廃止し、社会保障の充実や財政再建は「消費税にたよらない別の道」で対応できると豪語する。
この「別の道」とは、税制改革と経済改革でそれぞれ約20兆円、合わせて約40兆円の財源を確保するというが、裏付けのある根拠は見当たらない。
『政権構想』
『民進/共産含む連立は拒否』
『共産/国民連合政府に意欲』
民進党 参院選で選挙協力はするが、「理念と政策の違いがあるため政権は組めない」としている。
ただ、日本記者クラブが21日に主催した党首討論会で公明党の山口那津男代表がこの点を問いただすと、岡田克也代表は「何年先になるか分からないが、理念、政策が統一されれば、そういう(共産党と連立を組む)ことになるかもしれない」と、はぐらかした。
共産党 自公政権を終わらせ、すぐにでも平和安全法制の廃止を求める他の野党を含めた連立政権「国民連合政府」をつくる意欲を見せる。この国民連合政府は暫定的な連立政権であり、平和安全法制の廃止が達成されれば解散するという。
志位和夫委員長は「(次の衆院)総選挙までに話し合いをし、ぜひ前向きに結論を得たい」と実現に積極的だ。
『憲法』
『民進/改正自体は否定せず』
『共産/指一本、触れさせない』
民進党 安倍政権の下での憲法改正に反対しているが、改正そのものは容認している。
「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の3原理を堅持することを前提として、「新しい人権」や「統治機構改革」など、時代の変化に対応した未来志向の憲法を国民とともに構想するとしている。
なお、旧民主党時代に岡田代表は憲法9条の改正を容認する発言をしている。
共産党 現行憲法には指一本、触れさせない考え。平和安全法制の制定に関して「立憲主義に反するので即時廃止すべき」と訴えている。
“護憲政党”を自称しているが、現行憲法の制定時には対案として「日本人民共和国憲法」を発表するとともに「自衛権を放棄すれば民族の自立を危うくする」などと憲法9条を批判し、党を挙げて反対した。
『自衛隊』
『民進/任務の拡大を求める』
『共産/違憲と断定、解散要求』
民進党 自衛隊の任務を強化する“現実路線”を掲げている。武力攻撃に至らないグレーゾーン事態の発生に備え、警察・海上保安庁と自衛隊が連携して対応する「領域警備法」の制定や、公海上での米国に対する支援任務拡大を訴えている。
一方、国連平和維持活動(PKO)法の改正によって、国際平和協力業務の幅を広げることも主張している。
共産党 自衛隊は憲法9条に違反するので、将来的には解消すべきとする。しかし、憲法違反でも当面は自衛隊の存在を容認し、必要な時には利用するという不可解な方針を掲げている。
21日の党首討論会で、この点を「立憲主義に反するのではないか」と指摘された志位委員長は「憲法違反の自衛隊が存在するのは一つの矛盾だが、すぐに解消できる矛盾ではない」と苦しい言い訳に終始した。
2016年06月24日 公明新聞3面掲載