発議第1号

市川市民が安全で安心して快適に生活することができる環境の向
上のためのカラス被害の防止等に関する条例の制定について

上記議案を別紙のとおり地方自治法第112条及び市川市議会会議規則
第14条第1項の規定により提出いたします。
【提案理由説明】

発議第1号「市川市民が安全で安心して快適に生活することができる環境の向上のためのカラス被害の防止等に関する条例」の制定について、提案理由の説明を行います。

市川市では、カラスがごみを食い散らかす、繁殖期に巣の近辺で人を威嚇・攻撃する、糞をかけられたなど、市民とのあつれきが2000年ごろより見え始めたといわれています。

カラスは、種子や果実,魚,肉等、たいへん食性の幅が広く、環境への適応力が高い鳥です。都市では、カラスは人間が出す生ごみや残飯、ペットフードなどを食料として、一年中安定して得ることができるため、本来、自然淘汰されるべき弱いカラスが生き延びて、個体数が増加しています。また、天敵がおらず、鉄塔や電柱、ビルなどの人工物で、ハンガーや針金など身近な廃物を材料に安全な繁殖場所も確保できます。更に地球温暖化の影響なのか一年を通しカラスが活発に活動するようになった印象さえ受けます。

市川市では、ごみ出しルールの徹底、カラス対策ネットの普及等に努めるなど、カラスの餌やり防止対策を講じてきました。しかしながら、市民より、カラス被害について多くの苦情が寄せられ、カラス被害対策を講じて欲しいとの要望を受けています。

このような市民の声を受け、市民が受けるカラス被害の防止等に一層力を注ぎ、もって、本市にふさわしい、安全かつ安心で、快適な生活環境の向上を図るため、本条例の提案にいたりました。

本条例により、美しく住みやすい市川のまちづくりが推進され、都市の価値が高まるとともに、都市に対する市民の誇り、「シビックプライド」の醸成につながることを大きく期待するものであります。

議員の皆さまにおかれましては、本提出議案にご賛同賜りますようお願い申し上げ、提案理由の説明とさせていただきます。

 

〇本条例案を発議するに至った経緯について

本条例を発議するに至った背景と経緯についてお答えいたします。

まず、市川市におけるカラス対策の現状からご説明いたします。

市川市では、カラスと市民とのトラブルが平成12年ごろより見え始めたといわれ、それを受け、カラスに関する調査を平成13年度、14年度と、生息数や生息場所、採餌状況などの生息状況を把握し、対策方針をまとめるために実施いたしました。その後、対策の効果等を把握するため、平成18年度、19年度に同様の調査を行ったとのことです。

カラスの個体数は、平成19年度の調査では、真間4丁目が約1,900羽、市の北東部・船橋市藤原2丁目が約4,000羽であり、行徳近郊緑地においては千葉県が調査を行い、平成27年に55羽が確認されたとのことです。

次に、市民からの相談等への主な対応についてであります。

巣に関する相談については、できる限り巣に近づかないように伝えるとともに、周辺の状況等を確認した上で、周辺に幼稚園や学校などがあり、弱者が被害を受けた、あるいは被害を受ける可能性が高いと判断した際には巣を撤去しており、また、威嚇に関する相談については、近くに巣がある可能性が高いため、その場所に近づかず迂回してもらうか、傘などを差して通行してもらうようにお願いしているとのことです。

ごみに関する相談については、市においてネットや金網式ごみ箱を貸し出している旨を伝え、対応してもらっているとのことであり、また、鳴き声に関する相談につきましては、現状を確認した上で、カラス等の習性等について説明をし、理解を求めているとのことです。

今、申し上げた市川市のカラス対策等は一定の効果はあると考えますが、しかしながら、現在においても、市民より、カラス被害について多くの苦情と対策を求める声が寄せられています。

公明党が本年実施したカラス被害に関するアンケートでは、『これまでに、ごみ集積所の前あるいはその近辺にいるカラスによって、次のような体験をした、または、目撃したことがありますか。』との設問で、約500人にアンケートを行い、回答があった308人の中で、

・ごみをあらされ、散らばったごみで道路が不衛生な状態になった( 233人 )

・ごみ集積所に集められたごみなどがめちゃくちゃにされていた( 182人 )

・すぐ近くにいることで、恐怖心や困惑、不快感などを覚えた( 199人 )

・攻撃ないし威嚇された (  67人  )

・歩行あるいは自転車で走行する際の妨げとなった( 108人 )

・電線などに止まっているカラスが糞を落とした結果、衣類・カバンなどが汚された、あるいは、汚されそうになった (  122人  )

・電線などに止まっているカラスが糞を落とした結果、道路が汚された( 135人 )

・鳴き声がうるさかった ( 158人 )

と高い割合で、カラス被害に係る回答がありました。

 

一方で、『平成30年5月現在で、市川市によるカラス被害の対策は十分であると感じていますか。』との設問では、『十分である』と回答した人は4人、わずか1.3%であり、

また、『カラス被害への対策を強化するため、新たに条例を制定することについてどのように思いますか』との設問では、『制定する必要はない』と回答した人は11人で、わずか    3.7%にとどまっております。

また、意見自由記載欄の一部も紹介しますと、

・マンション等、ごみ出しをする人によってネットを被せないとカラスがごみを荒らしているケースをよく見かける。

・マンション等はごみ置き場もあり管理人も居るのできちんとしていると思うが、アパートに関しては、ごみ置き場がない所もあり、ごみ出しの曜日も守らず、レジ袋でごみを出す人もおり、アパートの住人の関心の低さに問題があると思う。

・ネットをくぐり、ごみを漁る場面を目撃した。

・最近、カラスが増えてきたように感じる。以前、買い物した物を自転車のかごに入れていてカラスに取られてしまい、自転車のかごの上から離れずにとても危険を感じた。

・自転車の子ども用いすがカラスにつつかれぼろぼろになった。頭をつかまれたこともあり、恐怖を感じた。

・電柱に針金ハンガーを集めた巣があり危険だと思う。

・カラス被害対策は何もしてないのでは?

など、多数のコメントを頂いています。

以上のアンケートの他にも、市民から、特に5月ごろから9月頃までを主に、カラス被害に関する苦情と対策を求める声が市に寄せられていることから、本市のカラス被害対策は不足しており、市民のニーズに即した、カラス被害対策が必要であるとの結論にいたりました。

よって、市民が受けるカラス被害の防止等に一層力を注ぎ、もって、本市にふさわしい、安全かつ安心で、快適な生活環境の向上を図るため、本条例を提案したものであります。

 

本条例案の概要について

 

本条例は、カラス被害の対策を講じることにより、カラス被害の防止及び低減を図り、もって市民等が安全で安心して快適に生活することができる環境の向上に寄与することを目指しています。

 

また、本条例の基本理念として、市長、事業者及び市民等がそれぞれの責務を適切に認識するとともに、相互に協力及び連携をして、カラス被害対策を推進しなければならないとする一方で、カラス被害の防止及び低減については、より大きな効果を得るために、本条例単独の施策のみではなく、他の法律、条例等による施策と相まって、効果的に行う必要があるものと規定しています。

本条例のカラス被害に対する施策は、大きく捉えて3つの内容から構成されていますが、ごみ集積場所とそれ以外のものに着眼した2つ、あとは、カラス被害が発生した際の緊急的な対応に着眼したものとなります。

そして、本条例では、集合住宅のごみ集積場所について重点的に対策を実施することが市全体のカラス被害対策に最も効果的であると考えられること等を考慮し、第8条の集合住宅のごみ集積場所における対策を中心的なものと位置付けております。

具体的には、集合住宅の所有者等は、カラス被害を発生させないよう、又は発生したカラス被害を低減し、若しくはなくすことができるよう、ごみの集積場所の設置及び管理をしなければならないことなどを規定しております。

次に、ごみの集積場所を利用する集合住宅以外の住宅、事業所等の所有者若しくは管理者又は占有者については、その利用に当たって、カラス被害を発生させないよう、ごみの適正な排出に努めるものとし、また、相互に協力して、カラス被害を発生させないように、ごみの集積場所の清潔を保つよう努める旨規定しています。

また、その他の方法として、市民等及び事業者は、カラスへの餌やり、カラスの巣の材料となるハンガー等の放置等によりカラス被害を発生させないよう努めるものと規定しています。

一方で、カラス被害が既に発生し、市民等の身体の安全及び財産の保護の観点から何らかの対処をすべき緊急性が高いと判断される場合における市の対応についても、カラス被害の発生場所が市等の管理下にあるか、あるいは、私人の管理下にあるのかに区別し、それぞれ規定しています。

また、本条例の施行に必要な限度において、市の職員がカラス被害に係る実態調査を行うことができる旨も規定しています。

更には、市長は、本条例第8条から第10条までの規定に違反したものに対し、カラス被害の防止又は低減に資する助言及び支援を積極的に行うものとし、市民等から相談がある場合においても、同様に助言及び支援を積極的に行う旨を規定しています。

そして、これらの助言や支援を行っても奏功しないときなどは、市長は、改善のための行政指導を行うことができます。

特に、本条例における中心的な施策である、集合住宅のごみ集積場所について規定する第8条に関しては、集合住宅の所有者や管理者等への助言や支援、また、粘り強い行政指導にもかかわらず、依然として違反状態が解消されない場合には、これらの所有者等に対し、大変残念なことではありますが、改善勧告、改善命令、そして公表へと繋っていく可能性があります。

最後に、本条例については、市民等への十分な周知期間が必要であることに鑑み、公布の日から約6か月を経過した日である平成31年1月1日を施行日とします。

 

◯本条例案の主な特徴について

本条例の目的は、あくまでも市民等が受けるカラス被害を防止等することにあり、カラスをおよそ駆逐しようとするものではないことを、鳥獣保護法の理念を踏まえて宣言しています。

次に、カラス被害の防止及び低減については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律や廃棄物条例における廃棄物の処理に係る施策、市川市宅地開発事業に係る手続及び基準等に関する条例に係るごみ収集場の整備に関する施策等、他の様々な施策とそれぞれの守備範囲は保ちつつも適切に関連させ合うことで、大きな効果を上げることを目指しています。

次に、市長の責務として、「カラス被害の対策に関する指針」を策定することとしています。

カラス被害対策指針の策定にあたっては、本市におけるカラスの生息等の実態及びカラス被害等の状況を踏まえた、実効性のある指針とするものとします。また、市長は、カラス被害対策指針を策定したときは、速やかに、これを公表するものとします。そして、市長は、カラス被害対策指針の策定後、おおむね4年ごとに、その内容及び効果について検証し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとし、いわば「やりっぱなし」を避けるようにしております。

次に、市長は、第8条から第10条までの規定に違反する事実があると認めるときは、これらの規定に違反したものに対し行政指導等を行う場合がありますが、市の基本的なスタンスとしては、基本理念でも示している通り、「カラス被害の対策は、市長、事業者及び市民等が、相互に協力及び連携をして推進」していくものであり、可能な限り、行政指導や命令等の規制的手法の前に、ソフトな手法である助言や支援といった助成的手法をとるべきよう、条文の立て付けをしている点にあります。

なお、改善勧告、改善命令、公表の対象となる者は、第8条の規定に違反した者に限られておりますが、その趣旨は、先ほどのご質問で申し上げたとおりであります。

 

◯本条例における「ごみの適正な排出」とは何か。もう少し詳しく説明して欲しい。

本条例におけるごみの適正な排出とは、市川市廃棄物の減量、資源化及び適正処理等に関する条例における概念と全く同じではなく、本条例における特有の概念を有しています。

すなわち、ここでいうごみの適正な排出とは、廃棄物条例における「(燃やすごみの)ごみ出しのルール」を守るということに留まらず、「カラスと(カラスの餌となる)ごみを遮断する」ということまで要求するものであります。

これは、本条例と廃棄物条例の目的が幾分異なっていること、また、カラス被害の防止及び低減については、基本的には通常のごみ出しルール、すなわち、一般廃棄物処理計画に従った搬出等がきちんと守られていれば相当程度は達成されるものと考えられる一方で、現状としては、ごみ袋にネットを被せるなど、カラスがごみに接触できなくなるようにする対応まで必要とされる場合が多く見受けられるためです。

なお、ごみの適正な排出の具体例として、通常のごみ出しルールはきちんと守られていることを前提に、①ごみ収集場所においてごみ袋にカラス用ネットをかける(可能ならば、カラスにネットをめくられないように重石も置く。)、②ごみ収集用の金網製のかごの中にごみ袋を入れる、③ごみ袋の中心部分に生ごみ等を新聞紙に包んで入れる、更には、④CD等のカラスが嫌がる光るものをごみ集積場所に吊るしておく、⑤燃やすごみ収集車が収集に来る日にごみを出すようにするなどの工夫をすること等が挙げられます。

 

◯「カラス被害の対策に関する指針」の内容についてはどのようなものを考えているか。また、4年毎の検証としているのはなぜか。

 

「カラス被害の対策に関する指針」は、市長が具体的な施策を実施する上での拠りどころとなるものであるため、本条例において重要な位置を占めます。

指針に盛り込まれる項目(内容)としては、少なくとも次のようなものが想定されます。

①指針の策定に係る背景と意義について

②カラス被害対策の基本方針について

③具体的な施策の展開について

④指針の効果的な実施について(推進体制や進行管理等)

 

また、指針について、おおむね4年ごとに、その内容及び効果について検証し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるとしています。それは、執行状況のチェックをする議員の任期が4年間であること等を考慮して、定期に、少なくとも4年に1度は、施策の効果等をきちんと検証する機会を持つ必要性があることに鑑み、義務的な検証の機会について規定しています。

 

〇本条例案にかかわる施策の実効性確保について

条例中に、違反者に対し、懲役若しくは禁錮、罰金、5万円以下の科料等(以上、行政刑罰)又は過料(行政上の秩序罰)を科する旨の規定を設けることは、ご質問者の仰る通り、法律上は可能であり、本条例案作成にあたり検討いたしました。

これによって確かに実効性を高めることが期待できます。しかしながら、行政刑罰まで採用するのは、本条例が市と市民等との協力の下に履行されることを本旨とする以上、やや行き過ぎではないかと懸念されるところであります。

他方、過料(かりょう、あやまちりょう)については、刑法総則及び刑事訴訟法の適用を受けないため,自治体の長がその納付を命じることができます。ただし、自治体が取り締まりの主体となるため、取締人員確保等のための予算措置を要するケースが多いし、実効性を高めるためには相応の努力が必要になることが懸念されます。

これに対し、公表については、制裁措置として一定の効果を有する一方で、今述べました行政刑罰や過料のときにおける懸念が比較的少ないものと考えます。

従いまして、以上の点を含め、総合的に検討した結果、行政刑罰、行政上の秩序罰ではなく、公表が妥当と判断いたしました。

なお、本条例案は、可能な限り、ソフトな手法をとるというスタンスであり、助成的手法から規制的手法へと、また、規制的手法の中でも段階を経て、条例違反者に改善を促す制度設計としていますので、やたらな公表は行われないと考えています。

 

 

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