名古屋市会議員 さわだ晃一
(西区)

時代を見つめ、次代を変える。

縦割り行政のはざまで生き延びるものたち

未分類 / 2016年9月20日

 

愛知県HPから引用

愛知県HP「stopあいちの外来種」から引用

 縦割り行政の弊害をヌートリアを例に説明します。
 そもそも許可なく野生動物を捕獲することは『鳥獣保護法』で禁じられています。ヌートリアは法で「狩猟鳥獣」として規定されており、市長の許可(市緑政土木局の担当)を受ければ捕獲することができます。一方、ヌートリアは外来種でもあるため、『特定外来生物法』で生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすおそおれがある「特定外来生物」に指定されおり、輸入・譲渡・放出・飼育等が禁じられています。自治体などは、環境大臣の確認・認定を受けることで捕獲ができる(市環境局の担当)ことになります。
 
 例えば農家の人が『鳥獣保護法』で捕獲の許可を受けてヌートリアを捕まえたとしても、生きたまま運搬することまで許可されていないという見解※があります。仮にこれを前提とすると、ヌートリアを檻に入れたまま処分場に運ぶためには、『特定外来生物法』による環境大臣の確認・認定を受ける必要があります。名古屋市がこの確認・認定を受けるためには、「名古屋市ヌートリア防除計画」つくったうえで国に申請する必要がありますが、今のところ名古屋市ではこのような動きはないようです。

※)環境省において生きたままでも殺処分のための運搬は可能(特定外来生物法施行規則第二条十七)との確認が取れましたので訂正します。
 
 つまり、農家の人がヌートリアを捕まえたとしても、生きたままでは運べないので①仕方なく逃がす、②捕まえた場所で殺処分する、③ひたすら死ぬのを待つ、の三つしか選択肢はありませんが、残酷な方法で殺処分してしまうと『特定外来生物法』違反となる可能性があるため、結局は①逃がすしかなくなります。逃がせば、ヌートリアは増え続け、農業被害などを防ぐことができなくなるでしょう。

 
 外来種は行政区の境を超えて移動します。そのため広域での対策こそ必要とされています。
 私は以前からアライグマなどの特定外来生物対策については、愛知県が包括的に防除計画をたてて国に申請すべきだと訴えてきました。周辺市町からも、こうした声があがっています。
 このままでは怠慢の誹りを免れませんね。