名古屋市会議員 さわだ晃一
(西区)

時代を見つめ、次代を変える。

難病と財源

未分類 / 2013年9月22日

 本年7月、難病を患っている市民の方とお会いし、直接お話をうかがいました。強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)という病気を患う一児のお母さんです。症状は、背骨や腰に強い痛みを感じるたり、全身がしびれたりですが、進行すると背骨や関節が強直(固まって動かなくなる)する例があるそうです。
 約10年前に発症し、現在は2ヶ月に1回の割合で点滴による治療を受けておられます。点滴を打ち終わるまで、何と約6時間もかかってしまうそうです。強直性脊椎炎は国の難病患者に対する医療費助成制度の対象とされていない病気ため、点滴1回あたり9万8000円を自己負担しなければなりません。
 「点滴の量は徐々に増えていくわりに、痛みを抑える効果が徐々に薄れてきてるんです。」と、不安を漏らしておられました。現在でも痛みと向き合いながら仕事と家事を両立されておられます。
 
  強直性脊椎炎は、国による医療費助成制度の対象疾患にはなっていないものの、東京都が単独で行っている医療費等助成制度の対象になっており、一定の条件を満たせば、助成を受けることができます。この病気を含めた24疾患を都が単独で指定し、助成を行っています。
 
 愛知県では、血清肝炎と肝硬変、名古屋市では突発性難聴とネフローゼのそれぞれに独自で医療費助成を行っており、名古屋市では約8千300万円を予算計上しています。これでも政令市の中では極めて先進的な取り組みなのです。
 正確に言えば、現行の特定疾患医療費助成制度の実施主体は都道府県とされており、国が対象とする56疾患の医療給付費の1/2を都道府県に補助するかたちをとっています。しかし、実際に平成25年度総事業費1,342億円のうち、国から都道府県に交付された額は、440億円(交付率65.2%)に過ぎず、約230億円を都道府県が超過負担している状態にあります。そこで国は、難病対策に係る都道府県の超過負担の解消を図ることを盛り込んだ法律案を平成26年通常国会に提出するとしているところです。
 
 仮に、この法案が成立した場合、超過負担の解消により生まれる財源によって、県単独での難病患者に対する支援を大幅に拡大することが、理論上可能になると考えます。ちなみに愛知県の特定疾患医療給付事業予算額は、約56億2400万円。超過負担が解消された場合、私の試算によれば、9億4,000万円以上の新たな財源が生まれることとなります。ただし、難病支援の予算が年々増え続けている事実も踏まえなければなりません。

 愛知県と名古屋市が連携し、何とか対象疾患を増やすことができないか。あるいは、病名で括るのではなく、一人ひとりの症状の深刻さに応じた新たな制度を構築することができないか。
 ご賛同いただける方々とともに知恵を絞っていきます。