気になる防災・減災ニューディールの財源
公明党が提案している「防災・減災ニューディール推進基本法案」の中身は次の通り。
1,目的
2,基本理念
3,防災減災総点検
4,推進基本計画
5,基本的施策
6,推進本部
7,危機管理庁(仮称)
8,その他
となっています。
率直におもしろいなと思ったのは、政府に防災・減災総点検の実施を義務付けている点ですが、話題にのぼるのは、やはり財源の話でしょう。
法案では、基本計画の実施にあたり建設国債を発行すると規定しています。さらに新たな国債(おそらく防災・減災ニューディール債を指す)の発行、または民間資金を活用するとし、地方債を発行した場合の償還財源について地方交付税で措置するなど、必要な資金確保について国に努力義務を課しています。
建設国債の償還期間は60年、ニューディール債のそれは25年で検討中。民間資金の中身については、PFIやレベニュー債(事業の目的別に発行される債券)、官民連携インフラファンドを想定しているようです。
仮に防災減災の費用50兆円分を建設国債で調達した場合、負担増は単純計算で年間約8300億円になります。また、過去に発行された公債に占める建設国債の割合は、この10年の平均で約23%。近年、発行された公債の約8割は赤字国債であると言えます。この数字をどうみるかですね。
官民連携インフラファンドについては、すでに東京都において設立され運営事業者の選定も終えています。
財源の中身についてはまだまだ未定の部分が多いようですが、市会議員の立場からは、専ら地方債の充当率と発行条件の緩和がどのようになるかが重要です。
名古屋市では、平成22年に「今後の財政運営について」を策定し規律を設定しています。
ここには『一般会計の市債現在高が過去の最高額を超えないようにする』とあり、過去の最高額とは平成16年度末現在高1兆9009億円を指します。財政局が今年の10月に発表した試算によれば、平成25年度末の残高は1兆8000億円を下回る見込みです。
前向きな投資のために、市債を積極的に発行する転換点を迎えることはできるのでしょうか。