家具の転倒防止
阪神淡路大震災では、全壊家屋数が約10万棟、半壊家屋と合わせると、実に約25万棟の家屋に被害が及びました。
名古屋市全体で約61万棟の家屋があると言われています。もし阪神大震災級の地震が名古屋で起こった場合、単純に数字だけを当てはめてみると、実に5軒のうち2軒までが半壊以上の被害を受けることになってしまいます。
阪神大震災での死者6千434名のうち、約8割の方々が、家屋の倒壊や家具の下敷きとなり、発生後、わずか15分以内に亡くなられたというデータもあります。じつに死因の60%以上が、圧死や窒息死です。火災による死者は約12%ですが、倒壊家屋の多い地域ほど、火災の発生件数が多くなる傾向が顕著です。
以上のことから、建物の耐震化と共に、家具の転倒防止など室内の耐震化を進め、被害を最小限に抑える取り組みが必要です。
名古屋市では、シルバー人材センターによる「生活援助軽サービス」や、区によっては社会福祉協議会が「家具転倒防止金具取り付けサービス」を行なっています。ただし、いずれも65歳以上の世帯か障害者の世帯などが対象であるため、全ての市民が利用できるわけではありません。
市営住宅の場合、コンクリート壁の内部に配線や配管が通っているため、住宅供給公社に対し「模様替え申請」を提出し、配管等に影響がでないよう調査のうえ、家具留めをすることになります。
「自分では出来ない」、「どこの工務店に頼んでいいのか?」、「マンションの場合はどうすれば?」など、多くの市民が、家具固定をしたくても躊躇してしまう事情を持っておられます。
発災時の最優先事項は、当たり前ですが、自分の命を守ることと怪我をしないことに尽きます。また、この前提に立って、はじめて家族や地域の人たちを助けることもできます。
建物の耐震化を一層すすめると同時に、家具の転倒防止を推進するための制度を、一刻も早く創らねばなりません。