調査 パシフィコ横浜
1987年資本金44億円、県市ならびに民間企業から融資を募り第3セクター方式にて、株式会社パシフィコ横浜を設立。
総事業費最終845億円。この会社が借金をして建物を建設所有し、民設民営にて始まっていました。結果、行政の横浜市の出資は40億円で済み投資コストを大きく削減していました。
したがって、建設費等の借金の返済はこの民間会社がしています。
横浜市は、土地をパシフィコ横浜に定期借地で貸しており、現在年間5億8000万円収入があり、また、別途税の収入もあります。
パシフィコ横浜の年間売り上げは約77億円。経常利益は約7億円。毎年約20億円借入金の返済をしています。
また収入において、パシフィコ横浜にはホテルの賃貸収入が17億円あり、この収益が黒字の大きな要因となっているのではないかと思われます。
この事から、行政はなるべく負担が少なくて済むように、運営する会社は収益力を高める工夫が見受けられます。
今後の課題としては、設立から21年目を迎える当社にとって、大規模改修の実施であり、計画では約180億円投資して実施するようにしてあるとの事。建物の所有はこの民間会社であり、大きな負担となっていくようです。
新しい情報として、このMICE施設に隣接して新MICE建設計画があるそうです。
20000㎡の敷地に多目的ホール等を建設する予定。事業費約200億円。コンセッション方式といってPFIで民間に建設させ、それを市が買い取り、それを20年間運営権を民間に売却するといったやり方を検討しているとの事。これまでにない事業スキームのようでした。
ひるがえって長崎市のMICE建設のあり方は、公設民営方式による指定管理者制度です。この事業スキームにおいて、いくつか懸念があります。
一つは大規模ならびに中小規模改修の負担あり方である。建物の所有は長崎市のため、大規模改修の負担は現在の考え方では長崎市にあり前述のように大きな負担が予想され、人口減少が加速する10年20年後のおいて、借金の返済の中さらに借金を重ねる恐れがあります。また、音響設備などは5~10年で設備更新が予想され、絨毯の張替えなどとにかく中小規模改修費は別にかかってきます。これまで、行政は単年度収支の考え方のため、フルコストの意識が少なく、この点は市民の負担が少しでも少なくなるまたは市の収入となる仕組みづくりが重要と私は考えています。
二つ目は、持続可能なMICE運営のあり方です。今回、会議による収入を中心にMICE運営の収支計算をしておりますが、運営の収入またコスト削減において駐車場の更なる収入確保や(私は300台では少ないと考えています。)、飲食の直営によるコスト削減、テナント収益等様々な収益確保をもっと取り入れるべきだと考えています。運営の確かさが、サービスのクオリティ確保につながります。
MICE運営のあり方は、年を追うごとに進化しており、現時点で考え得る最高の収益確保の取り組みが、今後30年間に及ぶ運営の確実さを増すものと考えます。いずれにしても、フルコスト意識が重要であり、大規模・中小規模改修費を後に回すような建設計画は財政が縮小する事が確実な時代不適切な事であり、最悪のケースを想定して事業計画を立てるべきだと考え、長崎市には今後強く訴えてまいります。