バックナンバー: 2018年 12月

交流拠点施設(MICE)建設の凍結を求める住民投票条例議案の審査が12月7日、長崎市議会環境経済委員会において行われ、採決の結果、賛成少数で否決されました。
私は別の委員会に所属しているため審査には直接参加していませんが、環境経済委の審査が長引いていたので中継音声を聞くことができました。自身の賛否については後日、本会議での採決も控えていますので後に明らかにしますが、委員会での議論の中身において気になる事がありましたので少し長文になりますが、書き留めておきたいと思います。
「住民投票は市民に認められた権利」?
ニュース記事にあるとおり、そのような趣旨の発言をされた委員がいましたが、これは正しい認識とは言えません。地方自治法で定められている住民による直接請求権として「条例の制定・改廃」の請求が認められていますが、読んで字の如く、請求する権利が保障されているに過ぎません。又、請求が受理されたとしてもその可否は議会での審議に委ねられています。これは住民による直接請求と言えども、例えば制定を求める条例の内容が公共の福祉に反する内容だったり、他の住民にとって不利益になる恐れがあったりした場合もあるため、条例の制定改廃には議会での十分慎重な審議が求められるからです。

多くの市民が賛同し請求に必要な署名数を満たしたことは尊重されるべきですが、そのことをもって「住民が請求したから制定は権利として認められるべきだ」とするならば、これは逆に民主主義の破壊につながります。委員会での委員の発言は重要なものです。正しい法の解釈の下、正しい認識に基づいて発言すべきです。
ちなみに、地方自治法第74条で定められた「条例の制定、改廃」とは、市民として新しい条例を創ることや、現にある条例の改定や廃止を議会に対して求めることであり、そもそも住民投票だけを想定しているものではありません。それは、請求に必要な署名数がその他の直接請求制度、例えば議会や首長のリコール請求については有権者数の3分の1であるのに対し、条例の制定・改廃では50分の1としており、住民の同意を得やすくしていることからも明らかであります。
多額の経費と労力、準備期間を要する住民投票を本市で制度としてどのように確立するのか、これまでの住民投票条例を巡る議論、経過を丁寧に検証し、市民との合意形成を図るべき時期が来ているかもしれません。