平成30年2月定例会 一般質問の要旨
平成30年2月定例会において、初当選以来4回目となる一般質問を行いました。要旨は下記の通りです。
大綱1 救急医療の充実強化について
Q1 宮城県では、救急搬送時間の短縮に向けて、ドクターヘリ導入や救急電話相談#7119の導入などに取り組んできたが、目標に掲げた全国平均レベルの達成に向けては一層の取り組みが必要と思うがどうか。
村井知事 ドクターヘリの運航や救急電話相談の運営などにより、救急搬送時間は大きく短縮しているが、未だ全国平均よりは長いことから、今後、救急医療情報システムの機能強化を図るとともに、第7次地域医療計画を着実に推進し、搬送時間の全国平均レベルの達成を目指して取り組む。
Q2 救急医療情報システムの機能向上については、救急隊員にとって使い勝手が良いシステムとなるよう現場の意見をよく聞くべきだ。
村井知事 システムの機能向上に当たっては、多忙な現場で活動する救急隊に極力負担をかけないよう、スマートフォンやタブレットを導入する。今後とも現場の声に耳を傾けていく。
Q3 救急医療情報システムの運用コスト削減の観点から、データをインターネット上で管理するクラウドサービスの採用を検討すべきだ。
保健福祉部長 運用コストの削減という点ではメリットがあると考えられるので、情報セキュリティの面も考慮しながら選択肢の一つとして参考とさせていただく。
Q4 今回のシステム改修は仙台医療圏に限って行われるが、データの蓄積と活用という観点から言えば、県内全域でシステムを活用できることが望ましいと考えるがどうか。
保健福祉部長 仙台医療圏は県内の救急搬送件数の6割を占め、搬送先となる医療機関も多数あることからシステムの機能向上の効果が最も高いと見込んでいる。当面は仙台医療圏で運用し、その効果を検証した上で県内全域への拡充を検討する。
Q5 県境を超えた救急搬送の効率化を図るため、隣県のシステムとの連携も検討してはどうか。
保健福祉部長 県境付近での救急対応の際には有効だと思われるので、医療機関や消防本部の意見を伺いながら将来的には検討してまいりたい。
Q6 搬送困難事例、いわゆるたらい回しの解消に向け、救急患者を確実に受け入れるために必要な空きベッド等を確保する医療機関に対して助成する国の補助事業の活用を検討してはどうか。
保健福祉部長 国に対し、地域の実情に即した弾力的な運用が可能な制度とするよう要望していく。
Q7 2次・3次救急医療機関の負担軽減のためにも初期救急体制の整備が急務だ。全国で開設が相次いでいる民間の救急クリニックの誘致を検討してはどうか。
保健福祉部長 民間救急クリニックの活用は一つの策とは思うが、市町村や地元医師会の意見も踏まえる必要があると考える。
大綱2 発達障がい児・者への支援について
Q1 ADHDやLDなどの発達障がいの発見漏れを防ぐため、乳幼児健診においてエムチャットなどのアセスメントツールや自閉症の診断補助機器の普及を図るべきだ。
保健福祉部長 乳幼児健診における早期発見を支援するツールの導入は有効な手段の一つであり、市町村の意見を伺いながら、普及拡大に努める。
Q2 発達障がいの早期発見のために、他県で普及している5歳児健診を導入すべきだ。
保健福祉部長 発達障がいの早期発見・対応につなげていくためにも健診体制の更なる充実が必要であり、市町村と緊密に連携しながら5歳児を含めた健診体制の在り方を検討していく。
Q 小学校入学前の就学時健診における発達障がいの早期発見体制の充実を図るべきだ。
教育長 発達障がい早期支援事業として、各圏域の特別支援学校が拠点となって市町村や幼稚園、保育所などから相談に応じる体制を整えており、来年度は仙台市を除く全市町村で事業展開をする。
Q 発達障がいの早期療育に関し、国の調査では専門的医療機関の約半数で3カ月以上の初診待ち、約4割で50人以上の初診待機が発生している。専門医の確保と育成が急務だ。
保健福祉部長 これまでも小児科医向けの勉強会や研修の開催などをしてきたが、来年度は発達障がいの診療を行っている県内の医療機関のネットワーク構築や医師を対象とした実地研修の実施にも取り組むこととしている。
Q 発達障がいのある子どもへの適切なかかわり方を親が学ぶペアレント・トレーニングの普及や、同じ経験を持つ親が相談役となるペアレント・メンターの養成が重要だ。
保健福祉部長 県では発達障害者支援センター「えくぼ」の職員が県内各地の事業所を訪問し、共同でペアレント・トレーニングを実施している。ペアレントメンターの養成研修も行っており、今後は家族との交流の場を設けるなど、積極的な家族支援に努めていく。
Q 通常学級に在籍する発達障害のある児童生徒に対し、別室で特別な授業を行う通級指導教室について、東京都では「特別支援教室」として全小中学校への設置を進めているが、本県でも一定規模以上の小中学校には通級指導教室を設置し、担当教員が巡回指導する体制を整備すべきだ。
教育長 わが県では小学校において複数校を巡回して行う巡回指導型の通級指導教室を実施しているが、中学校では実施しておらず、東京都の取り組みについて注目している。中学校における通級指導教室の必要性や効果などについて広く周知を図るとともに、市町村教育委員会と連携しながら、拡充に努めていく。
Q 発達障がい児や通級指導教室に対する理解促進のため、研修会を開催し、成果について市町村教育委員会や教員に情報提供することが必要だと思うがどうか。
教育長 通級指導については、新担当者研修会を毎年実施しているが、担当者以外の教職員の理解と支援が不可欠であり、今後も研修の充実と情報発信に努め、教職員の資質向上と理解の促進を図っていく。
Q 発達障がい者が就労し、職場に定着するためには多くの困難がある。相談窓口の拡充や事業者の理解促進などの就労支援を一層強化すべきだ。
村井知事 県では障害者就業・生活支援センターを県内7圏域に設置しているほか、企業訪問による障害者雇用の普及啓発、ジョブコーチによる助言などを実施してきた。来月からは障害福祉事業所の職員が企業を訪問し、障がい者からの相談に乗る就労定着支援サービスも開始する。障害福祉と雇用対策、双方の関係機関の連携を一層強化し、就労相談から職場定着支援まで一貫した支援の充実に努めていく。
大綱3 ひきこもり・ニート等の自立支援について
Q ひきこもりの長期化や高年齢化が進行している。人手不足が深刻化している状況を踏まえ、今こそ、ひきこもりやニート状態にある人たちが持てる力を発揮できるよう支援に本腰を入れるべきだ。
村井知事 ひきこもりやニートの自立支援については、県内3カ所の地域若者サポートステーションを中心に就職支援を行っている。サポステでは平成18年度の登録者332人のうち半数を超える182人がが就職に至っており、今後ともより多くの相談や登録を受けることで就職に結びつけるよう、関係機関への働きかけや情報共有を強める。
Q 新年度に石巻圏域に新設される「子ども・若者総合相談センター」については、今後仙台など他の圏域でも展開すべきだ。
環境生活部長 ひきこもりやニートなどの支援については家族も含めた総合的な対応が必要であり、新年度、石巻圏域に「子ども・若者総合相談センター」を設置する。今後は、石巻圏域での事業実施状況を確認しながら、他の地域の実情を踏まえて事業の在り方を検討していく。
Q みやぎジョブカフェの対象年齢が44歳までであることを踏まえ、現在、39歳までを対象にしているサポステも対象年齢を40台にまで広げるべきだ。
村井知事 国においては来年度、全国10カ所のモデル地域で、サポステの対象年齢を40代前半まで拡充することにしている。本県でも実施を要望したところ、石巻地域が選定された。
Q ひきこもりやニートの人が就職に挑戦する準備段階として、軽作業などに従事して仕事に慣れてもらう「中間的就労」が重要だが、公的支援がなく実施が難しい状況である。自立支援に取り組む民間団体が、中間就労の場を提供できるような県独自の支援を検討するべきだ。
保健福祉部長 長期にわたり就労していない方は、就労や自立に至るまでには中間的就労など段階的に支援を行うことが重要だ。現在、県内において中間的就労の場は限られているが、関係機関と十分に意見交換しながらニーズを把握し、就労に向けた適切な支援の在り方について検討していく。
大綱4 鳥獣被害対策について
Q 住宅が密集する市街地でイノシシの出没が相次いでおり、自動車の被害や人的被害も発生している。他県ではイノシシの市街地出没対策指針を定めている例があるが、本県でも市街地での出没対策の強化を図るべきだ。
環境生活部長 市街地への出没対策としては、捕獲による個体数管理と、イノシシが市街地に侵入しにくい環境を整える生息環境管理を推進する。また、人身被害防止については、県で定めている有害鳥獣の緊急捕獲許可フローに基づき、市町村が的確に対応できるよう支援していく。
Q イノシシ捕獲に従事している猟友会では、罠に設置するエサの確保に苦慮している。県として農協に協力を要請するなど安定的な確保に向けた支援を行うべきだ。
環境生活部長 箱罠を使ってイノシシを捕獲する場合、わなに誘い込むエサが必要だ。エサの確保の現状について、市町村や県猟友会から情報を収集し、その意向も伺いながら支援の必要性について検討する。
Q 捕獲したイノシシを処分するための解体作業が猟友会にとって大きな負担となっている。解体せずに丸ごと処理できる施設の整備など、捕獲数の増加に合わせた処理体制の強化が必要だ。
環境生活部長 捕獲した野生鳥獣は基本的に埋設か焼却によって処分されているが、地域によって実態が異なるため、市町村の処分方針を尊重しつつ、捕獲従事者の意見も伺いながら、捕獲個体の処分に支障が生じないよう、市町村とともに検討していく。