我が会派が、市立病院について語るとき、最も重要視していることは、
『市民の命を守る。即ち、何としても市立病院を存続させる。』 ということです。
そのための条件として、色々なことが挙げられると思いますが、敢えて絞り込めば、
1.最大の課題である耐震化を、一日も早く実現する。
2.今後とも、市立病院の病院機能(医療サービス)を維持する。
3.医師・看護師にとっても、魅力ある病院にする。
4.経営的自立を目指す。
以上4点が挙げられると思います。
そこで、それぞれの項目に沿って、建替え問題を考えてみました。
1.「最大の課題である耐震化を、一日も早く実現する。」
この点はそもそもの原点です。一日も早く病院の建替えを実施し、開院までの期間を、少しでも短縮させるということです。3.11の東日本大震災を受けて、改めて一日も早い耐震化が求められると共に、病院スタッフからも「5年以内の開院」を要望されています。
この点から建替え問題を考えれば、「紙敷全面移転案」なら、3年5ヶ月で開院できるため、最も望ましい案ということになります。
しかし市長は、9月9日の委員会で、開院まで6年5ヶ月+α(α=用地確保期間)の期間がかかる「千駄堀全面移転案」を最上位としています。
この案について市議会は、用地確保が不確実な上に、埋蔵物調査なども必要であることから、課題が多すぎると指摘しています。
2.「今後とも、市立病院の病院機能(医療サービス)を維持する。」
これは少々複雑です。しかし、敢えて簡単に言うなら、「病院機能を維持する」≒「現在と同規模の600床を維持する」≒「現地建替えは困難」と言い換えることもできます。
諮問委員会の答申通りです。
この点から考えれば、構想6から構想8までは、了承できないことになります。
これまで市長は、「450床・現地建替え」を主張してきました。諮問委員会の答申で、「現在と同規模程度の病床数を確保」、「現地建替えは、現実の問題として非常に困難」と結論付けられても、自らの主張を変えようとはしませんでした。
しかし、9月15日の委員会で、ようやく「現地建替えを断念した」と表明しました。
3.「医師・看護師にとっても、魅力ある病院にする。」
医師不足・看護師不足が社会問題となっている現在、とても大切な視点です。これも、様々な論点があろうかと思いますが、ここでは論点を絞って言うならば、前述の1と同様、「早く」ということが重要になります。そうなら「紙敷全面移転案」が望ましいということになります。
また、「早く方向性を決定する」ということも重要です。病院スタッフのモチベーションを考えると、市と議会が協力して、一定の方向性を「早く」見いだす必要があります。
それともう一つ。
病院スタッフからは、「同敷地内に建替え可能な敷地を確保」して欲しいとの要望も出されています。この点から考えると「千駄堀全面移転案」が望ましいということになります。
4.「経営的自立を目指す。」
この点も、建替え問題ということに絞れば、「出来るだけ安く建設する」ということになろうかと思います。
但し、「質が高い」ことが大前提です。徹底的に無駄を排することは当然です。しかし、安くするために質を落とす(=機能を落とす)ことなどは論外です。
ですから、まず病院機能を確定して、その上で、安くする方策を不断の努力で見つけ出していくことが大切だと考えています。当たり前です。
しかし、ここで少々注意が必要です。
それは、自治体病院の場合、実際の病院建設に借金をする(病院事業債を発行する)と、「地方交付税」が措置されるのです。ですから、自治体病院の建設に借金をすることは、ストレートに“悪いこと”とはならないのです。