未来開く教育無償化
消費税率上げ影響緩和万全に
提言では、一人一人の可能性を開く「人づくり革命」として、幼児教育無償化を「消費税率引き上げと同時に一斉実施」するよう提案。これまで政府は、幼稚園、認可保育所、認定こども園に通う全ての3~5歳児と住民税非課税世帯の0~2歳児を対象に、19年4月と20年4月の2段階で無償化を実施するとしていたが、提言では、地方自治体の事務的な問題や消費税率引き上げ対策としての意義を踏まえ、実施時期を19年10月に一本化すべきとした。
無償化の対象範囲については、保育の必要性がある3~5歳児であれば、認可外保育や幼稚園での預かり保育も含めるよう求めた。障がい児が通う施設についても「併せて無償化する」と明記。0~2歳児での全面的な実施は「待機児童の解消を加速化しつつ、できる限り早期に」とした。
また、奨学金返還中の既卒者の負担緩和や、私立高校授業料実質無償化の確実な推進も求めた。
消費税率引き上げへの対応では、軽減税率の確実かつ円滑な導入に向け、中小事業者の事務負担軽減を要望。低年金者に対する月最大5000円の加算や、低所得高齢者の介護保険料軽減拡大の前倒し実施も訴えた。さらに、引き上げに伴う駆け込み需要と反動減への対策を主張したのに対し、安倍首相は「19、20年度と相当思い切った財政出動をする」との意向を示した。
提言では経済再生と財政健全化の両立に向けて、実質2%、名目3%の経済成長達成へ政策を総動員するとし、新たに策定する財政健全化目標の達成時期は「一定の幅を持って見る必要がある」と指摘した。
社会保障費、機械的抑制は困難
社会保障関係費の伸び抑制については、18年度で終了する「集中改革期間」に続く新たな改革期間を設けるとする一方で、国民生活を考慮して「機械的に抑制することはできない」と強調。消費税率引き上げも踏まえ「国民に過大な負担増を求める水準の(目標)設定は困難」だとした。社会保障制度のあり方に関しては、高齢者数がピークに達すると見込まれる40年を展望した国民的議論を始めるよう政府に要請した。