桝屋氏 準備金で大学進学後押し
改正案が衆院審議入り
生活困窮者自立支援制度や生活保護制度などを拡充する生活困窮者自立支援法等改正案が、30日の衆院本会議で審議入りし、公明党の桝屋敬悟氏が質問した。
自立支援制度について桝屋氏は、福祉事務所を置く自治体が任意で行う▽困窮者が就労に必要な基礎能力を身に付ける就労準備支援▽自力で家計管理できるようにする家計相談支援――の両事業と、必ず行う自立相談支援の一体的実施が促進される点に言及。具体像や利点を尋ねた。
加藤勝信厚生労働相は、自立相談支援による個別支援計画の協議に両任意事業の実施者も参画することなどが想定されると述べ「より効果的・効率的な支援体制を確保できる」と答えた。
また桝屋氏は、生活保護世帯の子どもが大学などに進学する際の支援策として創設される「進学準備給付金」について、公明党が粘り強く創設を訴えてきた経緯に触れ、対象世帯への啓発などを求めた。
困窮者らに提供される無料低額宿泊所の規制強化に関して桝屋氏は、1月に札幌市で起きた共同住宅の火災に言及。この施設のように、同宿泊所にも有料老人ホームにも該当しないケースへの対応策が必要だと主張した。加藤厚労相は、施設の判断基準を明確化し、自治体が適切な対応を取れるようにすると答えた。
一方、今年行われる生活保護基準の見直しについて桝屋氏は、政府の対応をただした。安倍晋三首相は、基準額が上がる世帯と下がる世帯があるとした上で「公明党の指摘も踏まえ、減額幅を最大でも5%以内としつつ、3年かけて段階的に実施する。子どものいる世帯は、6割で基準額が増額となる見込みだ」と述べた。
自民、公明の与党両党の旧優生保護法(1948~96年)に関するワーキングチーム(WT、田村憲久座長=自民)は27日、衆院第2議員会館で初会合を開き、同法の下で不妊手術を強制された障がい者らに対する支援のあり方について、議論を始めた。この日は厚生労働省と議論し、被害の実態調査について、早ければ4月末の調査開始をめざすことを確認した。
公明党からは古屋範子副代表、桝屋敬悟衆院議員、山本香苗、佐々木さやかの両参院議員が出席し、桝屋氏が座長代理に就いた。
冒頭、桝屋氏は、当事者による国家賠償請求訴訟の提起をきっかけに、強制不妊手術が重大な人権問題としてクローズアップされている現状を指摘。こうした状況を受け「自公の幹事長会談で、公明党からWT設置を強く求めた経緯がある」と述べ、与党として、救済に向けた議論をしっかりと進める考えを示した。
会合では、調査の具体的な内容を次回以降、検討することを決めた。併せて厚労省に対し、関係資料の保全を都道府県に依頼するよう求めた。
厚労省によると、旧優生保護法下では、精神疾患などを理由に約2万5000人が不妊手術を受け、このうち約1万6500人が本人同意のない施術だったとされている。
公明党の雇用・労働問題対策本部(本部長=佐藤茂樹衆院議員)と厚生労働部会(部会長=桝屋敬悟衆院議員)は19日、東京都千代田区の東京労働局を訪れ、悪質で重大な過重労働を強いている大企業などを取り締まる「過重労働撲滅特別対策班」(通称・かとく)の取り組みや課題を聞いた。佐藤、桝屋両氏のほか、古屋範子副代表、山本香苗、里見隆治両参院議員が参加した。
席上、東京労働局の勝田智明局長は、「かとく」が2015年4月の設置以来、4社を違法な時間外労働を行わせていた労働基準法違反の容疑で書類送検したことなどを報告した。企業による違法な時間外労働などが横行しないようにするため「監督指導している」と述べた。
終了後、佐藤本部長は、「かとく」が取り締まる事案や対応など「働き方改革関連法案の議論に生かしたい」と語った。
公明党の雇用・労働問題対策本部(本部長=佐藤茂樹衆院議員)と厚生労働部会(部会長=桝屋敬悟衆院議員)は15日、厚労省で加藤勝信厚労相に対し、今国会提出予定の働き方改革関連法案に関して、裁量労働制で働く人などの健康確保に向けた緊急申し入れを行った。同制度の実態を早急に調査するとともに、労働時間の把握を法律に明記するよう訴えたのに対し、加藤厚労相は「指摘の内容を踏まえて検討したい」と応じた。
仕事の進め方を労働者に委ねる代わりに、あらかじめ労使で決めた時間を働いたものとみなす同制度を巡っては、労働時間に関する厚労省のデータ不備が発覚。これを受け、当初は働き方改革関連法案に盛り込まれていた同制度の対象業務拡大などが、法案から全面削除される方針となった。
申し入れで佐藤本部長は「裁量労働制が長時間労働を助長するという国民の疑念を払拭するためには、さらなる対応を検討するべきだ」と主張。調査やヒアリングの早急な実施に加えて、労働者の健康を守る観点から「管理監督者や他のみなし労働時間制の適用労働者も含め、労働時間の状況を把握する措置を法律上、明確にするべきだ」と訴えた。
また、現行の裁量労働制で、みなし時間と実労働時間の差が懸け離れている場合の指導強化に向け「具体的な対応を」と要望した。
このほか、中小・小規模事業者の働き方改革を支援する機関の設置などを提案。鹿児島県や沖縄県の製糖業については、長時間労働の是正策などの施行時期で特段の配慮を求めた。
問い たばこの受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案が、近く閣議決定されると聞きました。この法案の意義や公明党の考えを教えてください。(福岡県 T・Y)
健康影響が懸念される受動喫煙の防止対策はこれまで、15年前に制定された健康増進法で努力義務となっていましたが、効果が十分とは言えませんでした。折しも、2020年東京五輪・パラリンピックの開催国として「たばこのない五輪」が求められてきました。
そうした中、今回の法改正案には、学校や病院、行政機関などを「敷地内禁煙」、その他の多くの人が利用する施設を「原則屋内禁煙」とする罰則付きの規制を設けるなど、望まない受動喫煙の防止対策を本格的に前進させる内容が盛り込まれており、党として了承しました。
法案が成立すれば、先行的に19年夏ごろから「敷地内禁煙」が一部施行され、20年4月1日からは全面的に施行されます。
多くの人が集まる施設 罰則付きで原則屋内禁煙
飲食店の例外 既存店のみ、新規は認めず
特に、多くの人が利用する施設を法律上「原則屋内禁煙」とする意義は大きい。喫煙専用室以外では、たばこを吸えないことが明確になります。
ただ、既存の小規模飲食店では、喫煙専用室をすぐに設置することが難しく、一律に厳しい規制を設けると実効性を確保できなかったり、営業継続が困難になる恐れもあることから、公明党も主張し、規制に一定の例外を設ける経過措置を規定。その期間は法律で別途定めます。
例外の適用要件は、先行して条例で規制を設けている神奈川県などの例を参考に、(1)既存店(2)個人または資本金5000万円以下の中小企業(3)客席面積100平方メートル以下――としています。その場合も、知らずに入店し、たばこの煙を吸うことがないよう、店頭などに喫煙できる場所である旨の標識を掲げることが必須となります。
対象は、全国の飲食店の55%程度と見込まれています。ただし、新規開設の場合は例外が認められないため、原則屋内禁煙が徹底された飲食店の数は年々増え、受動喫煙対策が段階的に、また着実に前進していくことになります。
飲食店で未成年の従業員などが、たばこの煙の中での業務を強いられることがないよう、喫煙できる場所に20歳未満を立ち入らせてはならないことも明記されました。実効性が確保されるよう、保健所が適切な指導などの役割を果たしていくことを期待しています。
最近、普及し始めた「加熱式たばこ」についても、「紙巻き」と同様、施設に応じて「敷地内禁煙」「原則屋内禁煙」の規制が行われます。ただ、どれほどの健康影響があるかが明確になっていないこともあり、原則屋内禁煙の施設においては、「喫煙室」内で飲食をしながら「加熱式」を吸うことが認められます。
公明党としては、政府に対し、早急に健康影響などの調査を行い、必要な措置を講じるよう求め、法案に「必要な調査研究を推進する」との国・自治体の責務が盛り込まれました。
今回の法改正は国としての最低限の規制のラインを示したものであり、それ以上の規制を各自治体で設けることが強く望まれます。実際、東京都などでは、公明党も推進し、検討が進んでいます。喫煙専用室設置などの対策への支援は自治体を通じて行われます。公明党は、自治体独自での規制強化に向けた条例制定や対策への支援充実を、地方議員と連携しながら推進していきます。