公明党の活気ある温かな地域づくり推進本部(桝屋敬悟本部長=衆院議員)は18日、衆院第1議員会館で、民間の有識者でつくる「日本創成会議」(座長=増田寬也元総務相)が4日に発表した提言「東京圏高齢化危機回避戦略」について、増田座長、高橋泰国際医療福祉大学大学院教授から説明を受け、意見交換した。
同提言は、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県(東京圏)における75歳以上の後期高齢者が、今後10年間で175万人増えると試算。この結果、2025年以降、東京圏全体で医療、介護施設の不足が深刻化し、高齢者が病院や介護施設を奪い合う事態になると予測した。
解決策として、ICT(情報通信技術)やロボットなどの活用、外国人介護士の受け入れ、大規模団地の再生、空き家の活用のほか、高齢者の地方移住環境の整備などを提案している。
席上、増田座長は「東京圏の高齢化問題は深刻。どう対応すべきか早急に議論する必要がある」と指摘。高橋教授は高齢者の地方移住に関し「地方には老後に向けてきちんと医療と介護が受けられる余力ある地域がある」と報告した。
桝屋本部長は、高齢化問題について「公明党は、健康寿命はもちろん、活動寿命を延ばすことを提案している」とし、提言も参考に対策を検討すると語った。
公明党の活気ある温かな地域づくり推進本部(桝屋敬悟本部長=衆院議員)は19日、内閣府で石破茂地方創生担当相と会い、政府が6月中に取りまとめる「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」の策定に向けた提言を申し入れた。
同方針は、政府が昨年末に決めた地方創生への総合戦略を踏まえ、16年度予算に盛り込む地方創生関連施策の指針となるもの。
提言では、人口減少で地域経済の活力が低下するとともに、人口の多い都市部への雇用の集中で地方での人口減少に拍車が掛かっていると指摘。また、75歳以上の高齢者人口が増え、高まる医療や介護のニーズ(要望)に応えていく必要性を強調した。
席上、桝屋本部長は、政府が16年度に創設し、地方創生に向けた地方版総合戦略に基づく事業などを対象とする地方自治体向けの新型交付金について、「自治体が大きな希望を持っている」として、地域住民を巻き込んだ新たな担い手づくりといった先駆的な取り組みなどに特化して支援するよう要望。そのために必要な財源の確保を訴えた。
さらに提言では、若者の地方定住を促すため、仕事や生活の情報を一元的に提供する「地域しごと支援センター」の全国展開や、妊娠期から子育て期の支援をワンストップ(1カ所)で行う「子育て世代包括支援センター」の整備を要請。
このほか、中山間地の基幹集落に商店や福祉施設などを集め、周辺集落とネットワークを結ぶ「小さな拠点」の構築や、「日本版CCRC」として、都市部から地方に移住した高齢者が医療や介護サービスなどを継続的に受けられ、生きがいをもって生活できるまちづくりなどを求めた。
石破担当相は、「人が輝く地方創生」へ、提言を検討していく意向を示した。
6月9日、厚生労働省にて、NPO法人「健康と温泉フォーラム」の三友紀男会長らは、厚生労働省で塩崎恭久厚労相に対して、温泉利用型健康増進施設の認定要件緩和の要望を提出されました。これには、公明党活気ある温かな地域づくり推進本部長として、他の公明党議員とともに同席しました。
三友会長らは、「温泉利用健康施設が各種の入浴設備とプールなどの運動設備が総合的に整備されており、一定要件の下で温泉療養を行えば、利用料金や交通費が所得税の医療費控除対象となる。地方創生のためにも、地域内の複数施設を連携させて同様の施設とする場合も認定可能として欲しい」との要望をされました。
塩崎厚労相も、この要望に対して、前向きに検討すると約束されました。
超高齢化見据え病床を再編
都道府県は今年度から、10年後の医療需要を推計して効率的な医療体制の提供をめざす「地域医療構想」の策定に乗り出している。構想の概要を紹介するとともに、公明党地域包括ケアシステム推進本部の桝屋敬悟本部長(衆院議員)に課題など聞いた。
リハビリなど需要の変化に対応
地域医療構想は、団塊の世代が75歳以上となる2025年の医療ニーズ(需要)を推計し、2次医療圏(入院治療など一般的な医療を提供する地域圏)を単位に必要な病床数を定めるのが柱だ。昨年6月に成立した医療介護総合確保推進法に基づき、都道府県が順次、構想を策定する。
構想では、必要な病床数を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の四つの医療機能ごとに示すことになる。
昨年7月1日時点で医療機関が都道府県に報告したデータ(速報値)によれば、高度急性期の病床は19万1180床(15.5%)、急性期が58万1179床(47.1%)、回復期が10万9617床(8.9%)、慢性期が35万1953床(28.5%)に上り、重症患者や救急患者向けの急性期の病床が多くを占めている。
ただ、今後、高齢化が進展することで、骨折や肺炎を含めた高齢者特有の医療ニーズが増え、全体としてリハビリなど回復期の病床の需要が拡大していくと予想される。さらに個別の地域単位で見れば、人口の変動や高齢化率の差により、求められる医療に大きな変化が出てくるのは必然だ。
そこで現在、提供されている医療体制と将来の医療需要との開きを、いかに埋め、適切な医療体制の再編を進めていくかが、構想に期待されている。
厚生労働省は今年3月、構想を策定するためのガイドラインを作成。今月中にも将来の医療需要を推計するための計算データなどを都道府県に配る予定だ。
一方、構想の実現に向け、構想区域ごとに、医療関係者などを集めた「地域医療構想調整会議」が開かれることになっている。将来の病床の必要量を検討した上で、医療機関同士の協議により、病院の機能分化や連携について議論する。
構想の策定前に調整会議を設置する自治体もあり、徳島県は先月、県内の三つの2次医療圏で調整会議を発足させ、初会合を開催した。「構想策定の早期の段階から関係者の意見を反映させていく」(医療政策課)のが狙いだという。
また、都道府県は、消費増税分を財源とする「地域医療介護総合確保基金」を活用し、病床の機能転換に必要な資金援助などを行い、実現をめざす。
在宅医療の推進などで患者の受け皿づくりを
公明党地域包括ケアシステム推進本部長 桝屋 敬悟 衆院議員
超高齢化が加速する2025年に備え、持続可能な医療サービスを維持していくには、ニーズに応じた効率的な医療体制の再構築は避けては通れない課題です。その意味で、医療機能ごとに、必要な病床数を定める構想の実現は急がなければなりません。
ただし、各病床の再編は、病院の経営に直接絡む問題であり、構想の実現が難航する場合も想定されます。実効性のある内容とするためには、都道府県が、医療関係者らが協議する「地域医療構想調整会議」の場で、粘り強く合意を形成する主体的な関与が欠かせません。
一方、一部のマスコミには「再編に伴って病床が減り、行き場のない患者が相次ぐ」と不安視する報道が見られます。当然ながら、そのような事態があってはなりません。
地域医療介護総合確保基金などを使って、在宅医療の推進はもちろん、介護分野との連携強化など、さまざまな形で患者の受け皿を用意することが重要です。複数の病院などをグループ化し、病院間でベッド数を融通できるようにする「地域医療連携推進法人」の創設も、円滑な再編に向け活用していくべきです。
今後、都道府県で本格的な議論がスタートします。公明党地域包括ケアシステム推進本部としても、地方議員と連携しながら課題を詳細に検討し、構想の策定を積極的に後押ししていきたいと思います。