バックナンバー 2010年 8月

8月23日、城坤コミュニティが開催する放課後子ども教室「ろくごう夢クラブ」を見学しました。昨年から、夏休み期間だけ実施しているもので、国の放課後子どもプラン事業の一環でもあり、学童保育の新しい受皿となるものです。

当日は数人の指導者のもと、約30人の子どもたちとが紙ヒコーキを作成していました。元気一杯の子どもたちを見ると、放課後こども教室は、地域と子どもたちのふれあいの場として、非常に有意義なものと実感しました。

8月20日(金)、21日(土)に、横浜市で、生活保護問題対策全国会議により開催された第2回生活保護問題研修会に参加しました。

内閣府参与の湯浅誠氏の講演もあり、有意義な研修会でした。所感については以下のとおりです。

概要および所感

「生活保申請援助の基礎知識」

生活保護問題対策全国会議 事務局長 小久保哲郎氏

法 の理念の説明で、「生活保護法第3条の『健康で文化的な生活水準の維持』の健康で文化的というところに留意する必要がある」との説明に、生活保護制度のあ り方を再認識する思いであった。健康で文化的とは、「死なない程度に」ということではなく人としての尊厳の確保ということである。

スウェーデン・社会サービス法に「援助を受ける権利は、財源の不足を理由に制限されてはならない」とあることは、これまでの、財源が厳しくなってきたら生活保護基準は厳しくなるのかとの思いを“そうではないんだ”と認識させてくれる内容である。

最 後にあるべき方向性として生活保護制度を「最後のセーフティネット」として、一層しっかりと機能させること、申請援助などによる申請権侵害を許さない取組 み、生活保護費の全額国庫負担化、ケースワーカー増員などの制度改善を挙げており、生活保護制度について、今後の議会等で取り組む方向性を明確化すること ができた。

「貧困との闘い~地方政治に何が求められているか」

反貧困ネットワーク・自立生活サポートセンターもやい事務局次長、内閣府参与 湯浅 誠氏

1時間半の講演で、貧困の現況、貧困に対してどういう対応が望まれるのか等の話があった。

「『家 族』には、支え合うという良い面とブラックボックス化、外と遮断されるという悪い面がある(最近の高齢者不明や児童虐待問題)。都市部ではこの家族がいる かいないかが派遣村に行くか行かないかに分かれた。地方都市では、ホームレスはいないが、実は、家の中に家族に支えられた貧困者がいる。本当は貧困者がい るのに、いないとされていることが困る。たとえばネットカフェ難民もずっと以前からいたのに、報道で取り上げられてやっと話題となった。貧困とは、貧乏プ ラス孤立を言う。社会全体が地盤沈下している中、こういった貧困者、生活困窮者を救うこと(人道的にするということでなく)、一人一人を大事にすることが 社会を育てる。成長させる。生活困窮者や障がい者を社会に進出させて生産性を高め、自立への道筋をつけることは、国、自治体にとっては負担が少なくなり、 結果的に予算も安く上がる。」等の話があった。

も う一点納得したことは、公務員パッシングと生活保護パッシングは同じ意味合いを持つということ。自分らの収入が下がれば公務員は高給で待遇がよすぎると か、生活保護者は高齢者の年金より多くもらっている、あんな若い人が生活保護もらっている等、世間は、個人の立場が悪くなればなるほど、公的セーフティ ネットが弱いところに「まだしぼれるはずだ」と批判するということである。生活保護者はわかるけど、公務員もセーフティネットが弱かったんだと改めて認識 した次第である。

もう一点は、「正規、非正規の問題。ショップ99という百円ショップでの問題で、新規社員の3年以内でやめる率は99% と言われている。頑張らされて、体をこわして辞めてしまう。まさに使い捨て。それでも正規社員を募集すれば何人でも来るというから、会社としては困らない という実態。同じように、最近では、名ばかり管理職、居酒屋店長なども、正社員よりも給料が落ちると話題になっている。以前と違い、正規、非正規の待遇 面、給与面等の垣根がなくなってきた。今後、正規、非正規も働けばきちんと暮らせるようになることが大切である」ということは身につまされる話であるとと もに、考えさせられる話であった。

今後の政策(パーソナル・サポート・サービス)については、資料を見てくださいということで、くわしい説明はなかった。

2 日目は、国立社会保障・人口問題研究所の阿部 彩氏から子どもの貧困、高齢者の貧困について、統計資料の分析の話があった。昼から分科会に分かれ、「議員 活動に生活保護をどう活かすか」というタイトルのもと、二人の活動報告を聞いた。二人とも市の対応のまずさ、ケースワーカーの怠慢等からくる事件や問題を 究明、解決に導いた話で、支援者がよく勉強すること、また市側に問題となる部分の根拠資料を提示させることが大事である等を訴えられ、今後の取組みの参考 になった。

今回、研修を受けようと思った理由は、市民相談で生活保護申請の相談を受ける際に役立つ、制度の具体的な内容、適用の在り方を勉強するためだけでなく、生活保護制度自体についての考え方、それについての国の動向等も知りたかったためである。

前 者については、今研修会でも節々でその説明はあったし、生活保護申請マニュアルを購入したので、今後それを参考にしたい。後者の生活保護制度自体の考え方 については、先の小久保氏の話しの中にもあったし、国の動向については、パーソナル・サポート・サービスのことや生活保護問題対策全国会議が、国に対し て、生活保護者に原則自動車保有を認めるよう働きかけていることがよくわかった。

本 研修会の最後に、「生存権」保障の現状と今後の課題というタイトルで、尾藤弁護士から今研修会のまとめともいうべき話があったが、その中で、「ドイツでは 広報義務は行政にあると言われているが、今後は、制度の広報、周知徹底が必要である」ことは、説明責任の重要性が増している今日、非常に押さえなければな らないポイントである。

ま た、前ドイツ連邦議会副議長のことば「その社会の質は、最も弱き人がどう取り扱われるかによって決定される」を聞いたときには、これが今回の重要なテーマ となるものであり、湯浅さんも同じことを言われていることから、今回の研修で、このことを自分自身の中に確立させて、今後の議会活動に大いに活かしていく べきと感じた。

今回参加した以外の分科会の、「生活保護手帳実施要領を学ぶ」や「第2のセーフティネットの現状と課題」もぜひ聴講したい内容であったので、分科会でなく、講演に入れてくれたらと願うものである。

去る22年8月2日(月)~5日(木)までの4日間、党議員団で栃木市等に視察に行ってまいりました。実際に先進地に行くことは、事業の内 容、苦労話などが聞け、参考になります。別添写真は栃木市でのもの。ほかには、南魚沼市、会津若松市に行きました。所感は次のとおりです。

新潟県南魚沼市

視察内容

・要保護児童対策地域協議会

・ごみ袋、一時預かり利用無料券支給事業

所 感

少子化や景気低迷の中、子育て支援は全国的に力を入れている分野である。今回の視察内容で特に参考になったのは、出生届時に1年分のごみ袋110枚(約 2,500円~2,800円相当)を支給することおよび一時預かり無料利用券を2枚支給することである。ごみ袋は年間約140万円の予算がかかるが、効果 的な事業であるし、一時保育の場合は、実質予算は0と市の負担がほとんどなく、極めて効率かつ効果的な事業と言える。どちらも、保護者には大変喜ばれてい るようで、これを推進した議員の方も当日説明に来られていたが、この事業を推進できたことを自負されていた。丸亀市でも、議会でごみ袋支給は何度も取り上 げられているようだが、予算の都合上実現していない。一時預かり利用無料券については、予算計上する必要はなく、市の保育所に保育できる余裕があるのであ れば、実現可能と思われるので、今後何らかの機会を通して推進していきたい。

福島県会津若松市

視察内容

・会津・米沢観光圏

・地産地消の取組み

所 感

公明党の推進で一昨年の5月、複数の自治体を連携させた「観光圏」の形成を促す「観光圏整備法」が成立し、7月に施行された。国の「観光立国推進基本計 画」には、2010年度までに、日本人1人当たりの国内観光旅行の宿泊数を年間4泊にするなどの目標を掲げられているのに、伸び悩んでいる現状を踏まえ、 国交省が力を入れているのが「観光圏」の形成である。これは、“点”として個々の取組みを行っていた観光地が周辺地域などと連携し、“面”としての国際協 力の高い魅力あふれる観光地づくりを行うものであり、観光客に2泊3日以上の滞在型観光を楽しんでもらうのが狙いである。

私が注目している点は、この“点”から“面”という考え方である。丸亀市においても、自身の後援会活動中、あるおみやげショップに訪問した際、次のような 要望を聞いたことがある。「丸亀市は、お城や美術館など観光客がたくさん訪れるけれど、そこに来たらすぐ帰ってしまう。お店にも寄ってくれない。」と言う のである。確かにそうかもしれない。商店街はさびれ、食べるところもない。目的地だけに行けばあとは滞在しないだろうなと。私は、「そうですね」と相槌を 打つしかなかった。何かいい方法はないか。常にこの思いが私の頭の片隅にあったのだか、この“点から面に”のフレーズにふれた時に、何か参考になることが 見つかるかもしれないと思い、今回、観光圏を形成している会津若松市に伺った次第である。

前 置きは長くなってしまったが、担当者に伺った話では、国の補助は2年間、補助割合は4割、本年2年目に当たり、結果が求められているが、宿泊客の上昇が目 に見えてというほどでもない。しかし、成果のあったのもある。タクシー会社と鉄道会社の連携による共通割引きっぷの創設、会津米沢エリア観光マップの作 成、会津・米沢観光交流塾着地型インストラクター養成講座の実施などである。特に、この養成講座は、国の補助が終わっても、市が予算を出して継続していき たい事業だそうである。

ここで、私の目が釘づけになった事業があった。それがこの養成講座。旅行エージェントと連携し、観光協会や宿泊事業者、交通事業者等を対象にした講座など を実施。旅行商品の企画販売についてのノウハウを勉強しながら、実はその講座の場所が新しい商品の企画場所となり、各部門が連携できる場所となっているの である。

こ れは、丸亀でも使えるかもしれない。美術館、お城、114スペース、みやげショップ、旅行会社、商店街の担当者らが講座に参加すれば、連携が深まり、観光 発展の大きな起爆剤になるのでないか。点から面への観光地になるのでないか。こういったことは、過去本市において行われているかどうかわからない。しか し、やってみる価値があるのではないか・・・。

地産地消については、別添「地産地消だより」を見てもらってわかるように、進みすぎて、丸亀にとっては足元にも及ばない取り組みばかりで、感嘆するほかない。

栃木県栃木市

視察内容

・トータルサポートセンター

・市営住宅多数回落選者優遇措置制度

所 感

トータルサポートセンターは、乳幼児から高齢者まで、生涯にわたる一体的・総合的な福祉サービスを提供するため開設されたものである。特に発達障がい児な ど多くの支援の輪が必要な人を対象にすることが多いようで、“一人のために”が徹底された制度だと思う。全国的にも有名で、多くの方が視察に来られるよう である。

今日、資料保存講演会に参加しました。演題は「これからの自治体」~公文書管理法とわたしたち~で、講師は早川大宮法科大学院大学准教授です。所感は次のとおりです。

所 感

昨 年7月、公文書管理法が公布された。これは、国の行政機関の公文書作成・管理・保存については、これまで法律の規定がなかったことや、年金記録問題、海外 補給艦の航海日誌廃棄問題などの要因もあり、法律によって、公文書の適正な管理・保存・利用等を定めたもので、公文書の取扱いは単に行政内部の問題ではな く、国民の権利と深くかかわっていることを明確にしたものである。

講演の中での印象的な内容は、

非現用の文書でも歴史的意義のあるものは残していくこと(今なくても後々価値が出てくるものである、たとえば土地の境界)、

そしてそれを公開していくこと(個人情報は年数を経過するほど個人情報が薄まっていく)、

その上で公文書情報公開条例と市における公文書管理法との関係を明確にすること、

公文書管理法を市で制定することは、後々見られる文書になるものは、当事者はその文書作成をおろそかにできなくなるということ、つまり市職員の仕事にまで影響を及ぼすものであること等であった。
今 年度中には、公文書管理法の施行令、規則が制定されるようで、その内容は今後の自治体にとって、大いに参考になるとのことである。それを受けて、丸亀市が 今後どういう風に取り組むのか、その取組時期、内容等に注目したい。私自身の思いとしては、最低限、条例や公文書館の整備、充実した人的配置が必要である と考えている(県内では香川県、三豊市が公文書管理において非常に進んでおり、すでに公文書館は整備されている)。

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