熊取町政治倫理審査会

熊取町 議会議員政治倫理審査会 報告

開催年月日 平成26年3月27日(木)~10月2日(木)まで

開催場所       大会議室

【熊取町議会政治倫理審査会委員】

委員長   白間 泰男
副委員長 坂上巳生男
委員    服部 脩二
委員    重光 俊則
委員    佐古 員規

付議案件
平成23年5月1日施行の議会議員政治倫理条例により、議長から当委員会に付託された下記の者の調査について、同条例第7条(政治倫理基準等違反の調査等)に規定する調査を行った結果を同条例第10条(調査結果報告書の提出と公表等)の規定に基づき報告します。

1.調査(審査)請求の対象となる議員の氏名

矢野 正憲氏

2.調査(審査)請求の内容

熊取町は平成25年12月17日の最高裁決定にもとづき、12月20日、今勝建設(株)(以下、「今勝」と称す)など業者らに対して、損害賠償を請求した。矢野正憲議員は、今勝との売買(平成22年1月22日付)により不動産(土地628㎡と家屋:根抵当権の極度額9,360万円)を格安で取得し、最高裁決定後も原状回復していない。また、側聞によると最高裁決定の数日後、町に対して賠償責任を負う立場にある北川氏と同行し、町の幹部職員らと面会した。これらは議員として不可解な行為であり、熊取町議会議員政治倫理条例第2条(議員の責務)及び第3条(政治倫理基準)等に違反する疑いがある。
(※調査請求書の原文による)
3.調査(審査)結果

措置の内容について協議、採決した結果、「条例の規定を遵守させるため警告を発すること。」が妥当と決定された。(賛成4名、反対2名)

4.調査(審査)の結果及び理由
<条例違反の認定>

対象議員による今勝名義の不動産取得の道義的問題並びに北川氏に同行し町職員と面談したとの疑惑の2点について採決を行った結果、町職員と面談した事が道義的問として倫理基準違反が認定された。
平成22年1月22日、今勝名義の不動産を買い取った行為が政治倫理条例第3条1項の(1)に違反しているかの審査請求案件については、3名の委員が倫理条例に抵触するとし、3名の委員が抵触しないとした。平成25年12月24日北川一彦氏に同行し、役場での面談に際して矢野議員が付き添った行為が政治倫理条例第3条1項の(4)に違反しているかの審査請求案件については、委員中4名の委員が倫理条例に抵触するとし、2名の委員が抵触しないとした。

<理由>

今勝名義の土地、家屋を対象議員が取得したことについて、今勝には、代位弁済済みの保証協会に対し、損害金を含めると、本件譲渡金額1,500万円をはるかに超える1億5,800万円余の負債があり、売買契約当時、同保証協会を根抵当権者として極度額を9,360万円とする根抵当権が本件土地・建物上に設定されていたところから、対象議員との間に売買がなかったとしても、熊取町が本件土地・建物を同社に対する損害賠償請求債権の責任財産として保全・差押えすることは困難な状況にあり、本件売買が必ず熊取町の損害賠償請求、債権回収を妨げる「詐害行為」に該当するとは言い難い。しかしながら、本件不動産売買が、仮に詐害行為に該当せず、違法性がないとしても、談合行為が裁判でも認定され、熊取町に損害を与えたとして同町から損害賠償請求を受けている今勝名義の不動産を、そのもとになる住民訴訟が提訴された(平成21年5月)後の同22年1月に対象議員が取得したことについては、一般住民の感情に照らすと、いささか軽率な行為であったと言うことができる。もっとも、上記のとおり、本件売買の対象となった不動産はもともと熊取町の損害賠償請求債権を保全するための責任財産を構成するものとは言い難く、本件不動産売買が、同町による債権の回収にとって実質的な不利益を生じないと考えられること、また売買価格も取引相場からして不相応に低額であるとは言えず、本件任意売却による売買は保証協会としても競売や他者に売却するよりは、債権回収の上で合理的な選択であること等の諸事情に照らせば、対象議員が本件不動産を今勝から売買により購入した行為は、仮に政治倫理条例に違反する余地があるとしても、未だ、町民全体の代表者として品位と名誉を損なうような行為とはいえず、政治倫理条例違反として同条例に基づく制裁を加えなければならないものとは言い難い。
また、今勝及びその代表者である北川氏に対して熊取町から損害賠償請求があった直後に、熊取町役場に副議長である対象議員が北川氏と同行し、契約担当職員と面会したことは、対象議員自ら認めている。同職員等からの聴き取り結果によれば、その際、対象議員が職員に圧力をかけるような直接の言動はなかったものと思われるが、対象議員が上記のような時期に北川氏と同行し、契約担当職員と面会すること自体が、たとえ対象議員が北川氏と同居していて、同人の健康状態から一定介護の必要があったとしても、住民から疑惑の念をもたれる行為であり、職員の公正な職務執行を妨げ、又はその権限、若しくはその地位による影響力を不正に行使するよう働きかけたことを推認させるに足るものと言わざるを得ない。従って、同行為は、政治倫理条例の趣旨に照らし、高い倫理性を要求される議員として、してはならない行為であったというべきである。しかし、当該行為は、前記の事情に照らすと議員辞職勧告を要するほどのものとは判断できないため、警告処分を相当とした。
以上政治倫理審査会としての議長に対する報告と致します。

9月度定例議会最終日に渡辺議長に政治倫理審査会の採決結果を報告する。

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