平成28年9月議会の質問前の原稿(実際の本番の質問とは、若干相違しています。執行部の回答は香南市のホームページの議事録(平成28年9月議会の議事録は準備中です)を参考にしてください。)

1).改正発達障害者支援法について

 ①.教育現場への影響について

  ⅰ)本市の特別支援学級に在籍する児童生徒数

     ・小学校 ・中学校

  ⅱ)通級教室に在籍する児童生徒数

     ・小学校 ・中学校

改正発達障害者支援法が本年8月1日に施行されました。 10年ぶりに改正されたこの改正発達障害者支援法は自閉症、アスペルガー症候群などの広汎性発達障害や、学習障害、注意欠陥多動性障害などの障害がある発達障害者を支えるものです。その第8条には、教育に関する規定がありますが、この規定も改正されており、行政に対し、さらなる発達障害者のための教育の充実を求めた規定となっております。文部科学省の本年5月1日のデータによると、特別支援学級に在籍している201,493人の子どもたちのうち、約44%である90,157人が自閉症・情緒障害児学級に在籍し、発達障害のある児童です。

また、普段は通常の学級で学びながら一部の授業は障害に応じた指導を別室で受ける通級指導は制度が始まって以来、指導を受ける子どもたちの数が増加しており、また、最近になって増加数も多くなり、平成26年度の調査で83,750人であったのが、平成27年度の調査では、90,270人と、7000人近く増加しております。通級指導を受ける児童の増加の主な理由は、障害の中でも発達障害のある子どもが通級指導を受けるようになったことです。文部科学省の調査では、発達障害の可能性のある小中学生が6.5%に上る発表され、全国で推計約60万人に上り、30人学級で1クラスにつき2人の割合ということになり、どのクラスにも発達障害の児童がいる可能性があるという計算になります。

そこで、本市における状況はどうなのか、本市の特別支援学級に在籍する児童生徒数と本市の通級教室に在籍する児童生徒数をお聞きします。

 

 ⅲ)制度趣旨について教師の研修の必要性(個別の教育支援計画の作成等)

発達障害はかつて障害とされていなかったので、「育て方が悪い」「本人の努力が足りない」などと考えられ、当事者は多くの面で困難を抱えてきました。

しかしながら、発達障害は、早期発見、早期療育すれば、効果が大きいと言われています。エジソンやアインシュタインなども、発達障害をかかえていたのではないかと言われ、エジソンは小学校を3カ月で中退し、アインシュタインは3歳を過ぎても言葉を話さなかったそうであります。エジソンをお母さんが教育したことは有名ですが、教育により、発達障害のある子供の未来を大きく開くことが可能になると考えるところでございます。

改正法第8条では、個別の指導計画及び医療、保健、福祉、労働等関係する機関等との連携のもとに作成する個別の教育支援計画、また、いじめ防止のための対策の推進などの支援体制を整備することを市町村に求めています。「個別指導計画」と「個別の教育支援計画」の違いは、学校の教育課程において、きめ細やかな指導が行えるように計画を立てるのが個別指導計画で、これに対して、「個別の教育支援計画」は、在学中のみならず乳幼児期から学校卒業後までを見通した視点を持って作成され、教育、医療、保健、福祉、労働等の関係機関が連携協力して支援する計画で視点が違っています。個別指導計画については、データによると、高知県では90%近く作成していますが、個別の教育支援計画になると、59%と6割を切っています。

文科省のホームページでは、「発達障害に関する一定の知識・技能は、発達障害の可能性のある児童生徒の多くが通常の学級に在籍していることから必須である。これについては、教員養成段階で身に付けることが適当であるが、現職教員については、研修の受講等により基礎的な知識・技能の向上を図る必要がある。」と研修の重要性について、触れられております。充実した、「個別指導計画」と「個別の教育支援計画」を策定し、児童を支援するためにも、研修等の受講により、発達障害に関する知識を身に着けることが重要と考えますが、研修状況や教育支援計画の策定状況はどうかお聞きします。

 

 

 

ⅳ)特別支援教育支援員の体制

小・中学校に在籍する発達障害を含む障害のある子どもたちを適切に支援するには、教師のマンパワーだけでは十分な支援が困難な場合があります。 理由として、特別支援学級や通級による指導の対象者が増加していることや、通常の学級に在籍する発達障害のある児童生徒への教育的対応への要求がますます高まっていること、加えて、児童生徒の障害の状態が多様化していることなどが挙げられます。このような状況を踏まえ、政府においては、食事、排泄、教室移動の補助といった学校における日常生活上の介助や、学習支援、安全確保などのサポートを行う「特別支援教育支援員」が配置され、配置人数も増加しております。

この特別支援教育支援員について、香南市内の小中学校の配置状況や活動状況はどのようなものでしょうか。

 

②.就学前の支援

 ⅰ)保育園・幼稚園に在籍する特別支援児数

続きまして、就学前の支援の状況について質問をさせていただきます。

2009年に新しい保育所指針と幼稚園教育要領が施行されましたが、その保育所指針と幼稚園教育要領には、障害のある子どもの保育や指導について定められています。このようにあります。障害のある子どもの保育については、一人一人の子どもの発達過程や障害の状態を把握し、適切な環境の下で、障害のある子どもが他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう、指導計画の中に位置付けること。 つまり、保育所・幼稚園についても発達障害などの特別な配慮を要する児童についての充実した保育が求められるということであります。そこで、質問ですが、この特別な配慮を要する、児童は香南市内の保育園や幼稚園にどのくらいいるのかお聞きします。

 

 

2009年に施行された保育所指針と幼稚園教育要領、どちらにも配慮を要する子供に対して個別に計画を作成することが望ましい旨の記載があります。

この発達障害者支援に関しては、個々の障害の特性に応じた対応が求められますので、個別に計画を立てる事は重要なことだと考えます。しかしながら、この指針や要領にはどのような形式で何を書くのかが示されていません。そのためどのように作成したらいいのか、また何を書くのかが示されておらず、なかなか、個別の計画作成については、大変な作業と思いますが、作成状況について、どのような状況なのか質問をさせていただきます。

個別の教育支援計画の作成については、さきほどの小中学校についての質問にも関連しますが、幼児期の支援が小学校に入ってと切れないようにすることが大切だと思います。縦割りになること無く、保育園・幼稚園・小学校・中学校と連続性を持った、 1人の子供へ光を当てた支援が大切となると思いますので、この点実践できていると思いますが、なおよろしくお願いします。

 

ⅱ)ペアレントトレーニング

就学前の支援をもう一問質問させていただきます。

発達障害のある子は、さまざまな面で困難を抱えております。生活の様々な場面で失敗することが多く、保護者が叱ってしまいがちになります。困っているこどもを叱るよりも、ほめる方が効果も大きく、子どもの成長に効果がありますが、なかなか難しいところであります。そこで、子育ての困難に直面する保護者のためにも、負担を軽くし、楽しく、充実した子育てをするためのこつを教えるペアレントトレーニングが必要であると考えます。香南市では、この保護者に対しての支援としてのペアレントトレーニングに取り組んでいるのか、また取り組んでいない場合は取り組む予定があるのか、お聞きします。

 

 

 

他の自治体では、外部の臨床心理士を講師に招き、研修会を開催したり、グループワーク形式により、褒め方や叱り方などを学び、目標を定め、各家庭で実践していただくといった形の研修会を実施しているところがあります。

親は、子供の最も身近な教育者であり、毎日の生活の中で子供に最も大きな影響を及ぼす存在であることから、発達障害の特性を理解したり、適切な対応をするための知識や方法を学んだりすることは、非常に大切なことだと考えます。

発達障害は、早期に対応すればするほどその効果も大きいと言われております。ぜひ、充実した、香南市らしいペアレントトレーニングの実施(継続)を要望するものでございます。

 

 

 

③.家族等への支援について

改正発達障害者支援法では、第13条において、家族の支援の対象にその他の関係者が追加され、支援の内容に情報の提供や家族が互いに支えるための活動の支援が追加されました。障害のある子供さんの一見すると普通の子どもと違う行動に対して、周囲の理解や配慮を得ることが難しいこともあり、子育てにおける焦りや自信喪失に陥り、地域からの孤立、将来への不安といった大きな悩みを抱え、壁に当たるご家族も多いと思われます。

そこで、家族が支え合う家族会などに対する支援なども重要であると思われます。 改正法に則し、どのような支援体制をとっていく予定か、方針等があれば聞かせてください。

 

他の自治体では、子供さんが切れ目のない支援を受けられるように、個人記録簿を作成し、一人の子どもを切れ目なく支援しているところが増えていると聞きます。香南市内の発達障害の子供さんのいる保護者の方から、学校や行政の窓口で、生まれたときの状況や、5歳のときどうだったか、小学校ではどうだったか等のことを担当の方が変わるたびに繰り返し聞かれると、また一から説明かと、心が折れそうになることもあると聞きました。一貫した支援を受けられるよう、読めば、すぐにその子の現在までの支援の経過がわかるような個人記録簿の作成など工夫して家族の支援にあたっていただきたいと要望させていただきます。

また、発達障害者のことを深く理解した担当者の養成をお願いしたいとの要望があったことを伝えさせていただきます。

 

 

 

④.地域での生活支援

発達障害の最後の質問です。

発達障害は広く知られてきていますが,偏見を生むような誤った情報も氾濫しております。 また、発達障害について知らない人から「わがまま」とか「しつけが悪い」と責められることがあり,当事者や家族の大きなストレスとなっている場合もあります。発達障害に対する偏見を取り除き,支援が必要であることを理解してもらうために,継続的に正しい情報を発信し支援を呼びかける取組みが必要であると考えます。

また、生活困窮者の中に発達障害の方が少なからず、いることがわかってきています。というのも、幼児期に障害に気づかず、支援を受けられず、青年期を迎え、はじめて自分が発達障害であることがわかり、しかしながら、就労がうまくいかず、働けず、貧困に陥る場合があるからです。

このような発達障害者が孤立しないような仕組みづくりが大切になると考えますが、地域で孤立しないために実践しているような施策があればお聞かせいただきたく質問をさせていただきます。

 

 

発達障害に対する偏見を取り除き,支援が必要であることを理解してもらうためにも、市民に継続的に正しい情報を発信し、啓発する活動が大切と思います。

また、民生委員や児童委員さんは,地域において、発達障害に起因する引きこもりや虐待などの案件に関わることがあると思われます。

そこで、民生委員さんに、発達障害に関するパンフレット等を配布したり、研修会を開催したりすることは有効であると考えます。

ぜひ、困難を抱える当事者が地域に埋もれてしまわないように、支援が行き届くような体制を構築していただきたく要望し、発達障害に関する質問を終了いたします。

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香南市 宮崎晃行
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