高梁市議会議員
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委員会視察研修報告

未分類 / 2009年10月31日

平成21年10月28日から30日まで市議会総務文教委員会の視察研修に行ってきました。視察場所は28日は京都府綾部市、29日は愛知県高浜市、30日は愛知県犬山市です。視察報告については以下のとおりです。

京都府綾部市「水源の里条例について」
京都府の中央からやや北寄りに位置する田園・文化都市。養蚕を地場産業として発展したまちである。京都府縦貫自動車道と舞鶴若狭自動車道が交差する交通の要衝。優れた物流環境にあるので府営・市営工業団地には、精密機会や薬品、食品、運輸関係の工場が立地している。加えて自然環境にも恵まれていることから、陶芸や和紙などの芸術家が市外から移住して活動している。一方、市街地周辺部では過疎・高齢化が課題となっており、平成19年4月には全国に先駆け、」いわゆる“限界集落”の活性化を目指す「水源の里条例」を施行。水源地域を「水源の里」と銘打ち、水源の里の振興を市の重点施策と位置づけて、集落での定住や特産品開発などを支援して地域の振興と活性化を図っている。
(所感)
新潟県上越市と山口県山口市と合同での視察となりました。13時から17時時過ぎまでみっちり研修できて大変充実した内容の濃い研修でした。私は地域産業の振興対策としての産業の振興と山菜の保護、そして林業と農業サポーターについて質疑しました。定住化対策については昨年1年間で19世帯45人を達成したとのとこですがなかなか難しい現状があるそうです。水源の里条例は平成23年度までの次元的なものであるがその後どのような展開になるのか今ひとつ不透明な感じがいなめない。

愛知県高浜市「民間提案型業務改善制度について」
愛知県三河平野の南西部に位置し、名古屋市から25キロメートルのところにあり、東は安城市、西は衣浦港をへだてて半田市、南は碧南市、北は刈谷市に接している。市が実施している約1,800件の業務を対象に、企業、NPO法人や市民活動家などから、業務の委託化・民営化に対する提案及び既存業務(委託内容・仕様)の効率化に対する提案を募集。創意と工夫を反映した業務の委託化、民営化やスリム化により、効率的な市役所と充実した質の高いサービスの提供を目指している。
また市民に満足される公共サービスを提供するため、市民から公共サービスニーズに対する提案を募集している。さらに、市役所の事務事業の必要性の有無および実施主体(官と民の役割分担)のあり方について見当と見直しのため、事務事業の棚卸に対する提案を募集し、更なる事務事業のスリム化と効率化に取り組んでいる。
(所感)
財政力指数1.100(三ヵ年平均)とも高梁市とは比較にならないほど良い財政状況にもかかわらず、民間企業出身の森前市長のリーダーシップのもと構造改革に取り組んでいる高浜市。今回学んだのは民間提案型業務改善制度でしたが、その他にも持続的な財政基盤を目指すうえでのポイントについて学ぶべきものが多かった。特にこの構造改革によって職員力の強化が図られているのを地域政策グループ副主幹の岡田氏の説明で大変よく理解でき、仕事に対する意気込みがすごいと感じられた。また若手職員からベテラン職員まで所属部署を超えたチームを結成して、ヨコ割り体制でまちづくり協議会を支援する「まちづくり協議会特派員」制度について、地域住民と行政が対等なパートナーとして、地域課題の解決に向けて協議・検討・実践をし、地域の発展に向けた協働によるまちづくりを推進することによって、住民力の向上と職員力の向上に大きく寄与していることに感銘を受けた。

愛知県犬山市「学びの学校づくりを目指す犬山プランについて」
愛知県の最北端に位置し、北は木曽川を隔てて岐阜県各務原市・坂祝町、東は岐阜県可児市・多治見市、南は小牧市・春日部市と西は扶桑町・大口町と隣接している。市の西部は、濃尾平野の一部をなし市街地、農地、工業地として利用され、市の北を流れる木曽川の一帯は国の名勝に指定され川下りや伝統的な鵜飼も行われている。学びの学校づくりを目指す犬山プランは、人格形成と学力保障を目指し、その重要な要素である「自ら学ぶ力」を育むため、学校の自立と教師の自己変革による「学びの学校づくり」を積極的に進め、豊かな人間関係を育み幅広い人間性と幅広い学力の形成に務めている。これまでは、少人数授業やティームティーチング授業、複数学級による合同学習など、効果的な授業のための学級編成に取り組んでいる。さらに、子ども相互の学びあいの授業をより充実させ、子ども主体のきめ細かな授業を目指し、学習集団と生活集団が一致する少人数学級を、学校の学級編成の工夫改善と市費負担教員の採用により実現している。*ティームティーチング授業とは非常勤講師を補助指導員として加え、学級担任と共に指導する教育指導である。
(所感)
やはり現場で直接伺うとすごいことがわかった。義務教育の重要指針が「自ら学ぶ力」「人格の形成」としていること、学校を共生・協同の場として位置づけられていること、そしてすべての子どもの学びを保障していることが現場の教師として取り組んでおられたおられた学校教育課長さんの情熱あふれる説明に感動した。そして年1回、教師力の向上のため行われている授業改善交流会の東部中学校の授業も見学させていただいた。ティームティーチング授業の3年生の理科の授業では、「モーターが回るような電流を生み出す電池をつくる」というテーマで8班がホワイトボードで計画を書き教科委員の生徒が司会をして活発な意見を述べていた。高梁の中学校の理科授業との落差にびっくりした。授業を見て犬山の教育プランのすばらしさが実感できてよかった。少人数学級には市費で非常勤講師を多数採用しなければならず財政が厳しい高梁市においては対応が難しいかもしれないが、義務教育に対する指針や2学期政の導入、教師が授業に専念できる体制作りなどは、犬山市を参考にして取り組むことが可能だと思う。

愛知県犬山市「歴史まちづくり法への取り組みについて」
犬山市は国宝犬山城を中心に形成され、現在でも江戸時代の町割りがそのまま残る「総構え」の城下町。これまで町屋などの保存および活用を行ってきており、江戸時代から続けられている「犬山祭」を生かしたまちづくりも進めている。しかし、町屋などを保全していくためには、維持管理に多くの費用と手間がかかることと、所有者の高齢化が進んでいるなどの問題が生じていた。そこで、犬山固有の歴史的風致の維持および向上を図るため、歴史まちづくり法に基づく「犬山歴史的風致向上計画」を作成し国の認定を受けた。この計画では、犬山祭と犬山城・城下町、鵜飼に代表される木曽川の景観、江戸初期に始まった犬山焼など六つを歴史的風致として挙げている。犬山城下町周辺地域(約180ヘクタール)を重点地域として、旧武家屋敷「堀部家住宅」(登録有形文化財)の整備や市文化資料館の改修などの事業を盛り込んでいる。この計画を推進するために4月より「歴史まちづくり課」を新設している。
(所感)
国宝が2件、史跡名勝が4件、重要文化財建造物が12件指定されているだけあって、そのスケールに圧倒された。まちなみや背後の東部丘陵との調和において、その魅力が引き立っている。年間500万人が訪れるので高梁とは比較にならないが、現在準備している歴史的風致向上計画を速く策定して、犬山市やつながりのある亀山市などと交流して切磋琢磨していかなくてはいけないと思う。

 

政務調査視察報告

未分類 / 2009年10月17日

10月15日から16日まで政務調査費を使って先進地の視察研修に行ってきました。佐賀県の神埼市と武雄市を訪問してきましたのでその視察報告をします。特にかばいばあちゃんで有名な武雄市には熱烈歓迎のおもてなし対応にその内容と共に感動の連続でした。内容は以下のとおりです。

佐賀県神崎市
(面接者)高齢福祉課長 福田省二氏、地域支援係長 実政政子さん
(目的)物忘れ相談室について
(内容)本年6月より、認知症を疑う高齢者等に対し相談を受ける事により、認知症の早期発見、進行の予防を図ると共に、適切なケア及び医療等に結びつけることを目的に実施している。財源は介護保険の地域支援事業交付金の一般高齢者対策の介護予防普及啓発事業を活用している。1日3人として1人40分程度の予約制となっており、神崎町保健センターで年間6回、千代田町保健センターで4回実施予定となっている。相談を受ける先生は隣接町の吉野里ヶ町にある独立行政法人肥前医療センターの認知症専門医2名が対応されている。実施方法としては、相談者は保健師よりまず問診を受け問診表を記入後、意志が相談を受ける。そして医師記載票に記録して必要な方には医療機関や福祉サービスを紹介する。相談終了後はカンファレンスを実施する。という流れになっている。
(感想・今後の取組み等の意見)本年6月から始まったばかりの事業ですが、今のところ順調にいっているそうです。近隣に全国的にも著名な認知症医師の医師が隣町に在住し、民間ではなく独立行政法人の施設のため一人当たりの委託料が格安(8千円)になっていることもあり、財政負担なく行われていることは恵まれていると思う。先般視察した東京都の豊島区の高齢者あとおし事業のように地域支援事業交付金を介護支援ボランティアポイント制度に活用している先進事例はあるが、神崎市のもの忘れ相談事業は全国的にも珍しいと思う。最近、市民相談で認知症に関する市民相談が受けることがあるが、行政としてできるよい参考になったと思う。今後、本市でも当局と今回の視察を踏まえ相談しながら検討して考えていきたい。

佐賀県武雄市
(面接者)営業部いのしし課 課長 溝上正勝氏
(目的)いのしし課によるイノシシ対策について
(内容) 武雄市においては10年程前から、イノシシによる農作物の被害が続いており、これまで対策を講じてきたものの効果が出ていなかった。最近では市街地にイノシシが出没して、交通事故や人的被害も懸念される状況となり、より効果的な対策が急務となっていた。若手の改革派現場主義で、現在全国的にも著名になっている樋渡市長が就任されてから、市政懇談会で各地を回るとイノシシ対策の要望が大変多かったこともあり、新たに営業部に課を設けて、秘書広報課長だった溝上課長をいのしし課長に任命し、特に力を入れて取り組むこととなった。08年度の市内のイノシシ被害は約1400万円(約18ha、共済補償対象のみ)に達している。その他被害額が算定できない土木被害も多い。課の職員は課長を含めて2人のみ(他に兼務が4人)。そこで国の緊急雇用対策事業を活用して8人採用し、「いのししパトロール隊」を設置。隊員は市内4地区を軽トラックで回り、出没したり被害が出たという市民からの知らせがあると駆けつける。必要に応じて猟友会の方と一緒にf現場へ行き、市外の撤去、箱ワナの設置補助なども行っている。また電気牧柵、ワイヤーメッシュ柵の設置箇所の調査を行ったり、耕作放棄地や餌場の環境調査も実施している。いのしし課は対策だけではなく、イノシシ肉を特産化するミッションもある。これまで猟友会が駆除したイノシシの多くは土に埋められていたが、今年2月末に竣工した武雄地域鳥獣加工処理組合の加工センターで処理をし、特産化を目指している。加工品は研究が重ねられ、7月末にスモークハム、ベーコン、ソーセージの発表会を行い、早速市内の物産館と道の駅で販売したところたちまち売り切れが続いているそうです。食肉加工施設は被害対策の強力なアイテムとなっている。施設が捕獲したイノシシ肉を買い上げるので、猟友会員のやりがいにつながり、これまで処分していたイノシシ肉を無駄にせず有効活用して特産化が実現できれば観光振興だけでなく市のイメージアップにも繋げられる。地域の資源を生かした地域活性化を目指して、やっかい者であるイノシシという「マイナスをプラスに変える逆転の発想」で生まれたのがいのしし課である。
(感想・今後の取組み等の意見)ガバナンス9月号の特集「自治体の現場力」に掲載されていたとおり、すごい内容だった。私一人の視察にもかかわらず、玄関正面に大きく立て看板「歓迎 高梁市議会様」を掲げていただき大変恐縮した。非常に丁寧な対応とおもてなし精神あふれる説明に感動しました。市役所内の部署の案内や同じく特集に掲載されたレモングラス課も紹介していただいた。イノシシ対策については上記の内容でしたが、規制の枠にとらわれない柔軟な発想で猟友会の方や地域の方などと相談しながら思い切った取り組みになっており、視察に来られる自治体からも貪欲に意見を取り入れながら工夫を重ねている。サル対策でもそうですが、鳥獣対策の基本である「餌付けをしない」「身を隠す場所をなくす」「放任果樹を伐採する」「耕作放棄地を極力なくす」「防護柵の草刈を徹底する」など地域を挙げた対策がなかなか本市においても徹底が難しい。そういった意味でも 「いのししパトロール隊」の取り組みは非常に効果を発揮しているようなので、本市でも参考に取り組んでまいりたい。月1回のいのしし会議には市長も必ず参加されるということで市の取り組みの本気度がわかるような気がした。