公明党 奈良県議会議員 きっこう義明

1人を大切に 夢と希望の明日へ!!

令和元年度 6月定例会

◉令和元年度6月定例会 代表質問

県議会代表質問 動画

《代表質問議事録》

1 障がい者の就労・社会参加への支援について(知事)

(1)「障害のある人もない人もともに暮らしやすい社会」の実現に向け、障がいのある人の就労や職場定着を更に促進する必要があると考えるが、今後どのようにこれらの取組を進めていこうとしているのか。

A) 本県は、障害のある人が当たり前に活躍できる社会の実現を目指しており、障害者雇用の支援に取り組んでまいりました。障害者雇用率は奈良県の雇用主の方に頑張っていただき全国トップクラスを維持しています。大変誇らしいことだと思っております。障害者雇用を進めるためには、まず何よりも企業や関係者の方々に、障害者雇用に関し意識を持って積極的にかかわっていただくことが重要だと思います。これまで県が中心となって各界のトップが障害者政策について意見を交換する障害者政策トップフォーラムを開催してまいりました。また、奈良労働局と協働で障害者はたらく応援団ならを運営し、障害者雇用に積極的に取り組む企業などの経営層や人事担当者が互いに障害者雇用に関する情報を共有する場の提供を行ってきております。意識醸成を図った上で、次に企業等の現場において障害のある人が働きやすい環境を整えることが大切なことと考えております。例えば、職場実習を受け入れていただく中で、障害のある人の個性を理解して、どのような対応をすればよいかといった情報を職場内で共有し、実行することにより、雇用に結びついた事例があります。現場でなれるということは大事かというふうに思われるところでございます。一つの例で県立医科大学で多くの障害者を雇われております。三十数名雇われておられましたが、そのコツをお伺いいたしましたところ、インターンで来ていただくのだと。インターンで現場で働いてもらうと、県立医科大学のスタッフの方も障害者の方も現場になじむ、なれてこれはなじみが低いところだ、なじみの濃いところだということが双方に判断できるということをおっしゃっておられました。また、複数の障害のある人を雇用している職場の事例でございますが、障害のある人の業務を統括するスタッフを配置して、日常の業務の中で能力を開発し、一人ひとりに適した仕事をマッチングする丁寧な取り組みが職場定着に成果を上げていると聞いております。個人個人の個性に寄り添う取り組みが必要だというふうに聞いております。さらに、障害のある人が仕事を続けていくためには、自分に合った仕事かどうか確認することも重要でございます。実際の職場で実習をすることにより、業務内容を理解するとともに、職場の雰囲気を肌で実感することができ、就職後の職場定着につながっております障害者のインターンシップを積極的に行っていきたいと考えております。このような先進事例から得たノウハウを蓄積し、広く展開を図り、特例子会社などにも適応できるように障害のある人の希望に添えるように、さらなる職場実習先の開拓に努めて、就労機会の創出・拡大・職場定着の支援に引き続き粘り強く取り組んで障害者雇用率のトップを維持していきたいというふうに思っております。

(2)障がい者の就労を促進する方策の一つとして、障害者就労施設等の受注機会を確保する、地方公共団体における障害者優先調達の取組は重要と考える。県及び県内市町村における障害者優先調達の現状と、今後の取組について伺いたい。

A) 障害者福祉、県内の優先調達の取り組みについてのご照会がありました。障害者就労を促進する方策の一つでもあります優先調達につきましては、県及び県内全ての市町村が障害者優先調達法に基づく調達方針を策定し、その推進を図っています。現状を申し上げますと、調達実績額は、県分では平成二十五年度では、五年前でございますが約二百六十万円だけでございましたが、平成二十九年度になりますと九倍の約二千三百万円になりました。県内市町村合計では、平成二十五年度の約二千五百万円が平成二十九年度は二倍強の約五千八百万円になっておりまして、県・市町村とも調達の拡大が図られていることが見受けられます。ただ、この市町村を合わせた調達実績額は、議員もお述べのように、単純な金額の比較では近畿で最下位でございますし、全国でも四十位というランクでございます。単純な比較がなかなかできない面もございますが、また、一つの注目すべきランキングの情報だと思っております。また、県内の市町村間でもばらつきがございます。議員お述べのとおり、財政規模が異なる単純な比較だけではなく、やはり担当者の熱意、またその他の関係調達先の話などの実態を客観的に比較できる指標を検討し、比較できる見える化を図っていきたいと思っております。また、市町村も含めまして優先調達に取り組む意識づけを県庁から行っていきたいと思っております。また、取り組みが進んでいる地域の発注事例に関する情報や障害者就労支援施設等が提供できる商品やサービスの情報をお示しして、市町村の積極的な取り組みを促していきたいと思います。そういう情報があれば、比較的円滑に調達ができることも可能でございます。県におきましても従来は工程の一部を単独の施設に発注していた業務につきまして、複数の施設に全工程を共同発注するなどの優先調達のさらなる拡大を図っていきたいと思っております。 

(3)本年、省令改正により、身体障害者手帳及び精神障害者保健福祉手帳について、カード化が可能とされた。カード化することにより、手帳保持者の利便性は向上すると考えるが、県の対応方針について伺いたい。

A) 私には、身体障害者手帳及び精神障害者保健福祉手帳のカード化についてのご質問でございます。議員お述べのとおり、障害者手帳のカード化は従来の手帳より耐久性にすぐれ、小さくて持ち運びしやすくなるという利点がございます。現在、カード化を進めるに当たりまして、二つの点について検討を進めているところでございます。一つ目は、記載量が制約されることに対する表示方法の工夫です。例えば、現在の紙製の手帳には自動車税の減免を受けた車両の情報を記載しており、自動車を乗りかえるたびに記載内容を変更、追記しております。カード化によりまして記載できる部分が制約されますので、このような追記をすべき情報をどのように表示していくのか、検討しているところでございます。また、二つ目は、カード型手帳の様式は都道府県ごとに決めることができますが、様式が異なりますと手帳所持者や手帳所持者への割引等を行います事業者に混乱を招くおそれがございます。そのため、先日開催されました、近畿ブロック知事会議におきまして、今後、各府県の実情を持ち寄り、様式の統一化について実務者で検討を行うことが合意されたところでございます。今後、こうした検討を進めまして、カード型手帳を円滑に導入できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

2 県立医科大学附属病院における救急患者の受入れについて(知事)

県立医科大学附属病院は、中南和地域の救急医療の最後の砦となる病院であり、高齢化が進むこの地域において、その役割への期待は今後ますます高まっていくと考えるが、県立医科大学附属病院における救急患者の受入れ体制の現状と、今後の取組について伺いたい。

A) 県立医科大学附属病院における救急患者の受け入れの現状と今後の取り組みについてのご質問がございました。奈良県では、限りある医療資源を有効に活用し、効率的で質の高い医療提供体制の構築を目指しております。医療機関の役割分担として、断らない病院と面倒見のいい病院を掲げております。県立医科大学附属病院は、旧県立病院、奈良県総合医療センターと並んで、断らない病院の象徴と言うべき病院になってきております。このことから、昨年十二月議会でご議決いただきました県立医科大学の第三期中期目標におきまして、救急医療に係る取り組みとして、重篤ではないが地域の病院で受け入れできなかった救急患者を確実に受け入れる、二十四時間三百六十五日ER型救急医療体制の確立を掲げたところでございます。これを受けまして、県立医科大学におきましては、中期計画において二〇二一年度中の全ての患者を受け入れるER型救急医療体制の確立を目指すこととして、目標年次を示されたところでございます。現在、県立医科大学附属病院における救急患者の受入体制は、重篤な救急患者を二十四時間三百六十五日受け入れる体制は整っております。高度救命救急センターと呼ばれる組織でございます。一方で、重篤ではないが地域で受け入れ難い患者も二十四時間受け入れるかどうかでございますが、現在は平日九時から二十時までの間、及び土日祝日においてそのような運営をしております。ER型救急医療体制でございます。さらに、平日二十時以降の診療体制の整備に必要となる医師の確保に取り組んでいただき、ER、二十四時間三百六十五日、全ての患者を受け入れられるER型救急体制の整備に二〇二一年に向かうということを聞いているところでございます。全ての救急患者を受け入れ、断らない医療体制がありますと、消防救急の搬送先がまず特定されますので、ほかに断られてすぐに向こうに向かうということが現実に起こっておりますので、救急患者の短時間搬送につながってくるものと思っております。

3 食品ロス削減推進法への対応について(知事)

 食品ロスへの対応が全国的に大きな課題となっている中で、去る5月31日に公布された食品ロス削減推進法は、都道府県に、国や他の地方公共団体と連携して地域に応じた施策を策定し、実施する責務を担わせることとしており、県はこれを受けて、どのように食品ロスを削減する取組を進めていこうとしているのか。

A) 食品ロス削減推進法への県の対応についてのお問い合わせがございました。議員お述べのとおり、食料の多くを輸入に頼っている我が国において、まだ食べられる食品が大量に捨てられていることは非常にもったいないことであり、食品ロスの削減は、大変重要な課題であると認識しております。この食品ロスの削減に当たりましては、まず、県民それぞれが、買い過ぎない、まだ食べられるものを捨てないといった食物を無駄にしない意識の醸成と行動の定着が重要と考えますが、なかなか難しいことでございます。私はよく冷蔵庫にある古いものをもったいないからとすぐに食べてしまうくせがありまして、家内から危ないからお腹を壊してないかとしょっちゅう言われるわけでございます。やはり少し控え目で、賞味期限や消費期限を見て、もしかしたら体の具合が悪くなるかもしれないということがしばしばよぎるわけでございます。口に入れるかごみ箱に入れるかという選択を迫られるわけでございますが、私は食べてしまう傾向が強いので、少し反省もしております。昔は家の中に猫や犬がおりまして、とにかく残飯を整理していただいて、ありがたく食べていただいたわけでございますが、現在はペットフードしか食べられないわけで、人間よりも栄養素の高いバランスのとれた食品を食べていらっしゃるようにお見受けいたします。そのような状況がいろいろありますので、食品ロスの課題も出てきている状況にあろうかと思います。奈良県では、これまでも県民の方々を対象に、県民だよりの特集記事のほか、県内のアンテナショップや農産物直売所における啓発ポスター、路線バスの車内広告などを活用し、啓発を行ってきたものでございます。今年度は新たに、県民の食品ロスの認知度調査や、消費者と事業者を対象とした啓発イベントの開催を通じ、食品ロス問題への理解と関心を高めていきたいと思います。活動しないと認識は広まらないということは確かでございますので、活動をしていきたいと思います。議員お述べのように、食品ロスの削減の推進に関する法律が公明党議員の積極的な推進により議員立法として成立いたしました。県の役割も記載されておりますので、積極的な活動をさせていただきたいと思います。具体的には、県民を対象といたしました、外食時に食べ残しをしない食べ切り運動を推進する、また、未利用食品の子ども食堂への提供などが考えられるところでございますが、とりわけ、私は奈良県中央卸売市場で発生する食品、発生する残り食品を利用した中央卸売市場子ども食堂を開設できないかと考え、検討を指示しております。また、朝食を提供する子ども食堂の検討も予算に入れておりますが、そのような食堂でも売れ残り食品が利用できないか、システムの検討をお願いしたいと思っております。

4 特別支援教育の充実について(教育長)

 インクルーシブ教育の考え方のもと、小・中学校における通常の学級、通級指導教室、特別支援学級、特別支援学校など、特別支援教育にかかる多様な学びの場を充実させていくことが重要であり、また専門性を持った教員を適切に配置することが必要と考えるが、どのように取り組んでいくのか。

A) 私には二つの質問をいただいており、一つ目は特別支援教育における多様な学びの場の充実と、専門性のある教員の配置についてのお尋ねでございます。共生社会の形成を目指し、インクルーシブ教育システムを構築するためには、議員お述べのように、障害のある児童生徒の教育的ニーズに応じた連続性のある多様な学びの場を整備し、特別支援教育を充実させることが重要であると考えております。特に本県では、軽度な言語障害のある児童生徒に通級により発声の指導を行うなどの通級指導教室で学ぶ児童生徒の割合が全国平均の約半分と低い状況にございます。県教育委員会では、通級指導教室を整備するため、平成二十九年から二年間のモデル事業を実施いたしました。その結果、令和元年五月一日現在、十二市、六町において、小学校に三十五教室、中学校に九教室が設置をされ、平成二十八年度と比較をして、小学校で十一教室、中学校で六教室増加しております。しかし、今後、通級指導教室の整備をさらに進めるためには、専門性の高い教員を育成する必要があると考えております。今年度、教育研究所において通級指導教室での具体的指導や児童生徒の実態把握などのあり方を学ぶ四回の連続講座を実施いたします。また、特別支援学校には特別支援教育のセンター的役割を果たすことが求められているため、小中学校の教員と特別支援学校の教員との一年間に限定した人事交流を促進していきたいと考えております。特別支援学校教員の専門性を生かして、特別支援学級の充実を図ることができますし、小中学校の教員が特別支援学校で学んで専門性も高めることができ、相乗効果が期待できると思っております。今後も、特別支援教育の充実に向けては、教員の専門性の向上に努めながら、特別な支援が必要な児童生徒に適切な指導と必要な支援が行えるよう、市町村教育委員会と連携をし、適材を適所に配置するよう努めてまいります。

5 ICTを活用した教育の推進について(教育長)

 これからの社会状況を考えると、ICT教育を推進していくことは大変重要であると思われるが、県として、今後、子どもたちの学習環境の整備や、教員の資質向上に向けて、どのように取り組んでいくのか。

A) ICT教育に向けて子どもの学習環境や教員の資質の向上への取り組みについてお尋ねでございます。  議員お述べのとおり、予測できない未来を生きていく上で必要な資質能力の一つとして、情報活用能力が重要とされており、学校教育においては、子どもたちが情報活用の実践力を身につける学習環境を整えることが大切でございます。  文部科学省が平成三十年三月現在で公表しております調査によりますと、教育用コンピューター一台当たりの公立学校、これは小・中、県立学校でございますが、この児童生徒数は、教育用コンピューター一台当たりの児童生徒数は、全国平均五・六人に対して奈良県は六・一人であり、全国四十位でございます。また、教員の校務用コンピューターの県全体の整備率は九〇・六%で全国最低となっております。  公立小中学校のICT環境整備につきましては、市町村教育委員会が担当しているため、コンピューターの整備を促進するために、各市町村の担当者を集めた会議を月一回開催して最新の情報を共有するなど、県教育委員会が主導的な役割を果たしながら市町村を支援しております。  特に、平成三十年度からは、今後全ての市町村立学校に統合型校務支援システムを導入するための実証研究事業を実施し、本年度は、県内五市町村でモデル校を指定して、教員のICT活用能力の向上や業務改善にも努めております。なお、県立学校におきましては、平成三十一年三月に教員一人一台の校務用コンピューターを整備し、全ての県立学校で統合型校務支援システムが利用できる環境を整えました。  本県の児童生徒が、これからの高度情報化社会を主体的に生きていくためには、学校におけるICT環境の整備を充実させ、ICTの特徴を生かした教育を推進することが重要であり、教員の推進リーダーの養成、プログラミング教育などの実践例を学ぶ教員免許状更新講習を開催するなど、教員の指導力向上を目指す取り組みの充実を図ってまいります。