視察場所 : 北海道栗山町・町議会
参加者 : 千野、加納、大越、高橋、とも
【調査の目的】
栗山町は議会改革のパイオニア。2006年全国初の議会基本条例を制定し、地方分権の流れの中で全国の議会改革をリードし続けてきました。当然全国の地方議員からの視察が殺到。私としても一刻も早く議会改革の工程におけるさまざまな困難とそれを乗り越えて進化する議会基本条例を制定した経過を、直接係わった方々に伺いたいと思っていましたが、他の議会と合同で説明を伺う機会しか得られず、それでは、こちらが聞きたいことがなかなか聞けないと考え、あえて雪深い今の時期に視察に行くことに決定いたしました。
【内容】
栗山町議会基本条例の特徴
① 町民や団体との意見交換のための議会主催による一般会議の設置
② 請願・陳情を町民からの政策提案として位置づけ
③ 重要な議案に対する議員の態度(賛否)を公表
④ 年1回の議会報告会の開催を義務化
⑤ 議員の質問に対する町長や町職員の反問権の付与
⑥ 政策形成過程に関する資料の提出の努力義務
⑦ 5項目にわたる議決事項の追加
⑧ 議員相互間の自由討議の推進
⑨ 政務調査費に関する透明性の確保
⑩ 議員の政治倫理を明記
⑪ 最高規範性と4年に1度の見直しを明記
⑫ 町民から議会運営に関し提言を聴取する議会モニターを設置
⑬ 有識者に政策づくりへの助言をもらう議会サポーター制度の導入
⑭ 正副議長志願者の所信表明の導入
【所感】
14項目にわたる栗山町の議会改革の内容は、いたって当然のように感じますが、墨田区議会ではほとんど実現していません。あえて実現したことを言えば⑨の政務調査費に関する透明性の確保、ぐらいでしょうか。
14項目を概括的にまとめるとすれば、①開かれた議会・透明性の担保、②議会審議の充実、③政策立案能力の向上、といった3つの視点から改革に取り組んだといえます。そのうえで具体的には、①住民参加、②議員同士の自由な討議、この2つをキーワードにして進化する議会基本条例を策定したと感じました。本来の2元代表制のあり方に立ち、独任性の執行機関である町長部局と合議制の議事機関である町議会とが切磋琢磨し町政を進めていくしくみが出来上がりました。改正条項を入れたことから、時代の変化に合わせ改正することにもなりますし、今後も栗山町議会の改革から目が離せません。
栗山町の議会基本条例制定からまもなく6年。制定前の議論の段階から、全国の地方議会が注目をしていました。当然私も、そのころから会派内や議会内で議会改革の必要性を訴えてきましたが、機運が盛り上がらず、枝葉のことばかりしか議論されてきませんでした。やっと昨年の統一選終了後、議会改革に取り組むことで議会内の合意ができましたが、一向に検討組織の立ち上げが決まりません。一部の若手からは、休日夜間議会の開催やITの有効活用などできることからやってはどうか?という話も出てきましたが、それも枝葉のこと。なぜそうする必要があるのか、分権時代の議会・議員の役割・責務とはなにか、といったことをよく理解していない議員に分かってもらうためにも骨太の議論から始めねばならないと思っています。そのうえで、栗山町の議会のように(すでにその他の多くの議会でも実践していますが)、①開かれた議会 ②議会審議の充実 ③政策立案能力の向上 といった視点から、今の墨田区議会に求められること、そして、時代のニーズに対応した改革の内容について、先ほど申し上げたような枝葉の部分も含めた議論の積み上げが求められると考えます。その帰結として議会基本条例の制定が目標ですが、1年半から2年の月日がかかりますので、その間にこまかいことで実施可能なものは実施すればよいと思っています。5~6年前は私もあせっていましたが、今は32名の議員の理解を得ることが先決で、性急に事を進めずじっくりと取り組むことにしました。
自分の仕事をやりやすくするための改革ですし、その結果、議会・議員として成果も出しやすくなるのですから、最後は皆の理解を得られると思っています。