2014.9.9 9月議会本会議一般質問
昨年 2014年8月20日の未明、広島で局地的な豪雨による土砂災害が起こり、深刻な被害が起こりました。
2014.9.9 福山市議会 9月議会 本会議の一般質問で「広島豪雨土砂災害について」行ないました。この質問・答弁の内容について掲載します。
(2015年平成27年8月24日頃記す)
「福山市議会ホームページ・市議会会議録検索より・・・」
【 平成26年第4回( 9月)定例会-09月09日-03号 】
◆23番(塚本裕三) 8月20日未明,広島市内で局地的豪雨があり,安佐南区の八木や緑井,安佐北区の可部などの地域の112カ所で土石流や崖崩れが起こり,深刻な被害をもたらせました。8月30日現在,死者72人,行方不明者2人,今なお多くの避難者がおられます。犠牲になられた方のお悔やみを申し上げますとともに,被害に遭われた方に心よりお見舞いを申し上げます。
専門家によると,今回これほどの土砂災害をもたらせたのは,花崗岩の風化できた真砂土。山際の谷の出口には,泥から岩まで乱雑に積み重なった扇状地があり,ここに局地的な豪雨で一気に崩れ,土石流が起こり,岩と粘土質の土砂の泥水が住宅地を襲ったようであります。
広島では,15年前の1999年平成11年6月に24人が亡くなった広島災害が起こり,これを契機に2001年平成13年土砂災害防止法が施行され,土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域が指定されるようになりました。これは,土砂災害から市民の生命を守るため,土砂災害のおそれのある区域について,危険の周知,警戒避難体制の整備,住宅等の新規立地の抑制,既存住宅等の移転促進等のソフト対策を推進しようとするものです。
国の基準に基づいて都道府県の調査で,土石流,地すべり,崖崩れのおそれがある場所を土砂災害危険箇所とし,都道府県は砂防法に基づく防災設備などを整備します。また,土砂災害防止法に基づき,土砂災害警戒区域と特別警戒区域を指定するようになっております。
しかし,被害の大きかったこの地域で土砂災害危険箇所としていたにもかかわらず,警戒区域や特別警戒区域に指定されていなかったということが問題提起されています。その理由として,県が危険箇所を基礎調査するとき,専門的な技術者を要し,時間も費用もかかり,さらに特別警戒区域に指定されると特定開発行為に対する許可制,建築物の構造規制,移転等の勧告などの規制がかかるため私権が制限されることから,丁寧な説明をする中で,地域住民の合意がとりにくくなるようなこともあるようです。
本市は本年7月現在,土砂災害危険箇所2643カ所に対し,警戒区域1029カ所,うち特別警戒区域969カ所が指定されているとお聞きしますが,現状と課題,今後の取り組みについてお示しください。
ところで,安佐南区八木地区において,国は土石流の危険性を指摘し,9基の砂防ダムを建設する予定であったようですが,まだ完成には至らず,その中で土砂災害が起こったようであります。本市において,土砂災害に対する砂防ダム設置等についてのお考え,現状と課題についてお示しください。
次に,避難勧告のあり方についてお尋ねいたします。広島市は15年前の災害のとき,避難勧告を出せなかった反省から,水防計画で勧告を検討する上で,大雨特別警報,避難基準を超す雨量,土砂災害警戒情報,巡視による危険度,土砂災害緊急情報の5つの基準を定めているようです。しかしながら,今回午前1時15分に土砂災害警戒情報が出され,午前3時には安佐南区や安佐北区で基準を超えた雨量が算出されたにもかかわらず,避難勧告が出されたのは,安佐北区で午前4時15分,安佐南区で午前4時30分,避難指示が出たのは午前7時58分と,勧告や指示のおくれが指摘されております。
市長は本会議の市長説明で,広島の土砂災害被害に関連し,避難勧告についていかに迅速に対応するべきかとの認識を示されました。その中で,土砂災害の避難勧告等の判断・伝達マニュアルを見直しするとのことでありますが,その基本的な考え方,スケジュールについてお示しください。
次に,土砂災害被害への支援体制についてお尋ねいたします。被災後,直ちに行政を初めボランティアやNPO団体,民間企業などを中心に避難場所へ食糧や衣料,日用品,タオルや寝具類等の救援物資の搬入が行われ,被災者への入浴サービスやカレーの炊き出しなど行われているところです。本市も,義援金の受け付けを行うとともに,土砂災害を受けた地域や被災者に対し,さまざまな支援を行っておられますが,これについてお示しください。
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◎市長(羽田皓) 塚本議員の御質問にお答えいたします。
初めに,土砂災害防止に向けた取り組みについてであります。
本市において指定されている土砂災害警戒区域は1029カ所であり,このうち特別警戒区域は969カ所であります。この指定の根拠である土砂災害防止法の目的は,土砂災害が発生するおそれがある区域を明らかにし,警戒区域における早期の避難体制を確立するとともに,特別警戒区域にあっては一定の開発行為を制限するほか,建築物の構造に対し規制を行うなど,ソフト対策の推進を図るものであります。今後,本市といたしましては,広島県に対しさまざまな機会を捉え,警戒区域の指定に向けた基礎調査の早期完了を要望してまいります。
基礎調査が完了した地域については,順次指定に向けた地元説明会に同席する中で,市民理解が得られるよう,県と連携して取り組んでまいります。
次に,砂防ダムの設置についてであります。現在,市内には109基の砂防ダムが設置されております。砂防ダムは,このたびの広島市での土砂災害において有効であったとのことであり,市民の生命,財産を守るためには重要な施設であると認識をしております。
広島県は,市内の土石流危険渓流のうち505渓流に砂防ダムの整備を計画されていますが,これらを整備するには相当な費用と期間を要するものと考えております。
施設管理者である広島県に対し,ダム機能が十分に果たされるよう,適切な維持管理と必要な箇所への早期設置について改めて要望してまいりたいと考えております。
次に,避難勧告等の判断・伝達マニュアルの見直しの考え方,スケジュールについてであります。避難勧告等は,市民の皆様に避難行動を促す重要な情報であり,深夜であっても適時,的確に発令する必要があります。現在の本市のマニュアルでは,土砂災害警戒情報や雨量等による基準,今後の気象情報に加えて,みずから収集する現地情報,レーダー観測で捉えた強い雨の地域,避難行動の難易度など,数値などで明確にできない情報も考慮する中で,総合的に判断し,発令することとしております。
しかしながら,夜間に発生したこのたびの事案を受け,本年4月に国が示した避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン等を踏まえ,今後は気象庁や広島県が5キロメートル四方で発表する土砂災害の危険度情報をもとに,中学校区単位を基本として危険性が高まった地域に対して,的確な避難勧告が発令できるよう,早目の避難場所の確保や住民への気象や避難に関する情報の伝達などを含め,早急にマニュアルの見直しを進めてまいります。
次に,土砂災害被害者への支援体制についてであります。本市におきましては,災害発生後直ちに市民病院から災害派遣医療チームDMATを2日間で11人,救助活動に当たる消防職員を10日間で延べ160人現地に派遣いたしました。今月6日からは,被災者の健康管理や健康相談等を行う保健師1名を派遣しております。さらに,被災された方のために,市営住宅10戸を確保しているところであります。
また,被災地の一日も早い復興を祈念して,災害見舞金を送るとともに,市民の皆様からの義援金も本庁,支所,公共施設等において受け付けを行っているところであり,引き続き継続的な支援を行ってまいります。
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2014.9.9 9月議会本会議一般質問
◆23番(塚本裕三) 質問に対し御答弁をいただきました。
まず最初に,広島の豪雨,土砂災害について再度質問をしていきたいと思います。
最近,日本各地で頻発する豪雨災害,土砂災害に対し,私たちはいかに生命を守るかということで考えていかなくてはならないと思います。一つ一つ質問したいんですが,きょう午前中他の議員からこれと同じような質問がありましたけれども,一部重複する部分があるかと思いますが,その際は御了承願いたいと思います。
まず避難勧告,避難指示のあり方について質問をさせていただきたいと思います。
避難勧告,避難指示については昭和34年の伊勢湾台風を契機に昭和36年に制定された災害対策基本法の中に市の責務として明確に示されているようです。本市の場合,避難勧告,避難指示を発令するとき,国や県の気象予報や雨量,河川の水位予測や土壌雨量など,あるいはさまざまな機関からの情報を収集して判断されているということは,先ほど御答弁いただいたと思うんですけれども,この判断基準について,まず最初に改めてお伺いします。
◎総務部長(佐藤元彦) 避難勧告,避難指示の発令の判断基準についてでございます。
現在,福山市で避難勧告等の判断・伝達マニュアルというものを定めております。この中で,避難勧告につきましては,先ほどありましたように,土砂災害警戒情報,それから気象予測,土砂災害危険箇所のパトロールなどの情報を含めて総合的に判断することとしておりますが,避難勧告における基準として,状況確認等による基準といたしましては,重なるようになりますが,土砂災害警戒情報が発表された場合,そしてパトロールにより危険であると判断した場合,さらに雨量等による基準といたしましては,前日まで降雨がない場合は当日の日雨量が100ミリを超え,時間雨量が30ミリ程度の強い雨が降り始めた場合など,こういった基準で現在定めているところでございます。
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◆23番(塚本裕三) 災害は,いつ起こるかわからないし,どういう状況になるかわからないというのが現実だと思います。だから,事前によくシミュレーションというか,いろんなことを想定して対応する態勢を組めるような体制にしていただきたいなと思います。
それから,再度このことについて聞きますけども,このことは午前中の他の議員からもありましたけれども,夜間の避難勧告,指示のあり方についてでございます。
広島豪雨土砂災害安佐南区緑井
実は,私,緑井にいとこがおりまして,聞くところによると,当日は物すごい豪雨だったと。それに雷がすさまじくて,雷の音で家が揺れるような状況だった。それから停電も起こったと。テレビもつかない。停電が起こったわけですから。まあ,そういうことが起こってたようです。もうとても,例えば避難勧告ですぐ逃げてくださいと,例えば入ったとしても,すぐ外に出れるような状況ではなかったということを聞きました。こうしたいろんなケースがあるわけですけども,一つこうした場合,どのような指示が出されていくんでしょうか,お聞かせください。
◎総務部長(佐藤元彦) 避難勧告を発令した際の豪雨,そして雷といったような発生に対してどういう勧告,指示を出していくかということでございます。
避難勧告を出した際,そういった今回の状況があったわけですけれども,ある程度気象情報というのは予測が可能であるというふうに考えております。気象庁や県が発表する気象情報を十分正確に把握する中で,避難勧告に至るまでの間に自主的に避難をしていただけるよう,避難準備情報,これにつきましても早い段階で発令ができるよう,さまざまな情報を収集する中で対応をしてまいりたいと考えております。
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◆23番(塚本裕三) 今後の対応については,しっかりいろんなケースを想定して対応するようにしてください。
それから次に,土砂災害防止法についてお伺いします。
広島の被害が大きかったこの地域で,土砂災害危険箇所としていたにもかかわらず警戒区域や特別警戒区域に指定されていなかったことについて,警戒区域や特別警戒区域に指定するまでにはどのような手順で進められるんでしょうか。
◎土木部長(小川政彦) 土砂災害警戒区域,特別区域への指定につきましては,広島県の方で土砂災害危険箇所を基本に,現地の基礎調査をされます。それに基づいて,危険であると判断されるようなところにつきましては,地元へ説明会を開催されます。土砂災害防止法の趣旨等を説明する中で,本市の方も同席して,地元の住民の理解を得るよう,地元説明会を行います。その地元説明会が終わった後に,指定に向けて進めていくという状態になります。
以上です。
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◆23番(塚本裕三) 答弁の中で,数が非常に多いということもあったかと思うんですけれども,聞きたかったのは,測定するとか,あるいは地元の説明会とか,いろんなことがあると思うんですけども,その中で行程的にどういう作業というか,どこが一番時間がかかるもんなんでしょうか。
◎土木部長(小川政彦) 警戒箇所の指定につきましては,基本的には県の方で基礎調査を行った後,説明会等開かれるということで,基礎調査をする件数が多いので基礎調査が完了してないところにつきまして,今本市にしましても基礎調査を早期完了するよう県の方へお願いしているところであります。
以上です。
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◆23番(塚本裕三) それで,このときに地元説明会とかあると思うんですけども,ハザードマップ,こういうことも反映されて説明をされるようになるんでしょうか。
◎土木部長(小川政彦) 市がつくってるハザードマップと,広島県が説明会をされるものにつきましては,基本的には別物になります。広島県が基礎調査をされた結果に基づいて地元説明会を開催されます。
以上です。
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◆23番(塚本裕三) わかりました。
それはそれとして,今回そういったいろんな問題が指摘されたわけですけども,これを受けて国が土砂災害防止法を改正するということも報道されております。この内容について,どういったことかわかればお示ししてください。
◎土木部長(小川政彦) 土砂災害防止法の改正についてでありますが,国からの情報はまだ届いておりません。現段階,新聞報道等で見る情報程度になりますけど,広島県が今回今現在検討されている基礎調査完了後の指定前の事前の発表ということを柱に改正されると。その後,支援制度等についてもこれから検討するということを報道等で知ってます。
以上です。
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◆23番(塚本裕三) わかりました。
次に,砂防ダム等の砂防工事についてお伺いしたいと思います。
土砂災害防止法は,先ほど私の方からも質問しましたように,確認ですけども,土砂災害から国民の生命を守るため,土砂災害のおそれがある区域を明らかにし,警戒避難対策などのソフト対策をする法律と認識しております。これに対し,県は土石流を防ぐ砂防堰堤や川岸の侵食を防ぐ護岸工などを整備する砂防事業,崖崩れを防ぐ急傾斜地崩壊対策事業,地すべりを防ぐ地すべり対策事業などを行っているようです。こうしたハード対策の工事,一体これは何の法律に基づいて,どういった手順で進められているんでしょうか。
◎土木部長(小川政彦) 土砂災害対策にかかわりましては,ソフト対策に関する法律として,土砂災害防止法というものがあります。ハード対策に関する法律としましては,砂防法,地すべり等防止法,急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律,この3つの法律によりまして,危険である,整備が必要である土地,区域であると国土交通大臣または広島県知事の方から指定を受けた後に整備をするというふうになります。
以上です。
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◆23番(塚本裕三) 先ほどの言われた県がハード整備をされてる,工事をされてるということでございますけども,これは県として,どこが立てるんか知りませんけども,計画的に進められているんでしょうか。
◎土木部長(小川政彦) 砂防ダム等の土砂災害に関する対策の工事につきましては,地域の形状とか対象となる危険,災害が起きたときに対象となる戸数等,危険度,緊急度,重要度等を判断される中で,基本的に3年間とか5年間の計画を立てられた後,順次やられていると伺っております。
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◆23番(塚本裕三) すると,ちょっと聞きたいんですけども,今言った3つの法律ですか,これにまたがって県がハード工事をしているということと,それからこのたびの土砂災害防止法の関連性というのはどうなっとんでしょうかね。
要は,土砂災害防止法で,聞くところによるといろんな制限がかかるから,なかなか説明しても,ちょっと理解が得られないところがあって,遅々として進まないというようなことも聞きますし,土砂災害防止法でそうした警戒区域,特別警戒区域を指定していただくことができるんであれば,さっき言われた県の,県ですか国ですか,3つの法律によって砂防ダムなんか,いろんな崖の補修とか,そういうものを危ないところから優先的にしてもらってもいいんじゃないかと思うんですけども,この土砂災害防止法と今言われた法律との関連性というのはあるんでしょうか。
◎土木部長(小川政彦) 議員が最初に質問でも述べられたように,広島市の平成11年の災害,これを受けまして,日本全体に危険箇所が相当数あると,これをハード的に整備していくには相当な期間が必要になってくると。整備をするまでの間,国民の命を守るためにはどうすべきかというところで,まず危ないと,危険な箇所であるということを認識していただいて,避難していただくと,それがまず第一。命を守るためには,まず危ないということを把握する中で,早目の避難行動をとると,そういう目的のために土砂災害防止法ということで,ソフト的なことですね,避難とか規制等に関するそういう法律ができたもので,ハードの砂防三法とはまた性格が全然違うものとなっております。
以上です。
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◆23番(塚本裕三) わかりました。
ちょっといろんな法律があるので,一つ一つ整理をしながら質問をさせていただきました。違いがあると,全く関係ないということで,わかりました。
次に,ボランティアの支援体制についてお伺いしたいと思います。
広島市のボランティアの受け付けはされているようですが,現場では細かい点で受け入れ態勢が十分には整っていないようです。災害直後の混乱の中ですから,大変な状況であります。先ほどの質問の中でも,本市からいろんな支援をしているということをお聞きしましたけども,本市からボランティアで行かれる方に,いろんな手続の点で,もう一歩後押し,サポートしてくれたら行きやすいのになというような局面があるようです。本市のボランティア支援の取り組みについてお示しください。
◎総務部長(佐藤元彦) 被災地へのボランティアの支援に行っていただく方に対するサポートということです。
現在,ボランティアの方が広島に行かれる際,県の依頼によりまして高速道路の料金の無料化というようなことの手続をしているところでございます。今日までに300件を超える申請があったところでございます。
福山市からボランティアとして広島市に行っていただく場合,市の取り組みではありませんけれども,福山市社会福祉協議会の方でボランティアの方を募集し,バスで広島まで行くというような取り組みもしているところでございます。
いずれにいたしましても,ボランティアの方が被災地で活動しやすい,そういった支援を今後も努めていきたいというふうに考えております。