■学校給食の全国調査、食のセーフティーネット論議、深める契機です!
【公明新聞より主張】
育ち盛りの子どもが家庭の事情に関係なく、十分な栄養を取れる環境を整えていきたいものです。
文部科学省は、公立小中学校の学校給食の無償化に関する全国調査を平成29年度、初めて行う方針を明らかにしました。公明党の山本かなえ参院議員の質問にたいして答弁したものです。
学校給食の無償化は、国内58自治体が小中学校、3自治体が小学校で実施済みです。まだ多くはありませんが、増加傾向にあります。これらの自治体が無償化に踏み切った理由や子どもへの影響などについて、調査・分析することは、まだ無償化していない自治体にとって貴重な資料となることでしょう。
文科省が調査に乗り出すのには、「食のセーフティーネット(安全網)」としての給食に注目が集まっていることがその背景にあります。
家庭の事情により、自宅で十分な食事が取れない子どもたちがいらっしゃいます。低所得世帯の子どもほど朝食を取らない割合が高く、野菜を食べる機会が少ないという調査もあるとのこと。
家庭環境による“栄養格差”をどう改善するかという点で、学校給食の果たす役割は大きいといえます。
その上で、ここへきてなぜ無償化が論議されているのか。
理由の一つとして、“子どもの貧困”の問題があります。給食費の全国平均は、小学校で月額約4300円、中学校で約4900円です。低所得家庭ほど負担は大きいと感じており、文科省の調査では給食費未払いの原因の約3割は保護者の経済的な理由によるということです。
生活保護や就学援助の制度を利用する方法もありますが、申請自体をためらったり、制度そのものを知らないケースも少なくないそうです。全国調査で未払い世帯の実態把握も進めてほしいものです。
一方、低所得世帯に絞って無償化するという考え方はありますが、「貧困のレッテル張り」につながり、子どもの心を傷つけかねないといった指摘もあります。
こうした観点から、保護者の所得にかかわらず給食費を無償化することの必要性が国でも論議されるようになったことは十分に理解されます。
無償化の実施に当たっては、財源の確保をはじめとして解決すべき多くの課題があります。この点も含め、今後行われる全国調査を、学校給食のあり方について議論を深める契機としていただきたいものです。
2017年4月21日(金)付 公明新聞より引用・一部編集
結びとして:所感
かつて浦安市は、平成18年11月27日付け読売新聞千葉県版に給食費の滞納についての記事が掲載され、滞納額の縮減に向けあらゆる努力を尽くし、また平成22年3月には浦安市債権管理条例を締結する契機となったことがありました。この取り組みのおかげで、未納債権として滞納されていた給食費を弁護士と連携し対処することが出来るようになりました。
一方で、生活困窮から滞納している給食費徴収金について、債権放棄がなされるケースもあります。平成27年度から生活困窮者自立支援事業が本格的に施行され、セーフティネットとしての家計相談窓口ができていることも、今後の一助にしていきたいものです。この滞納している家の子どもたちは安心して暮らせていたのかなと考えると、生活困窮対策はさまざまな方面からの実態把握が何より大切と感じます。
浦安市において給食の食材でかかっている「給食賄(まかない)材料費」は、平成27年度決算では765,095,647円、年間で約7億6500万円もの給食事業費として計上されております。今後本市においても進んでくる少子高齢社会の市政運営をかんがみると、国における議論の内容を注目していくとともに、全額を国からの負担となるのか、自主財源に基づくものとなるのか、これまで通りなのか負担の仕方も含め、今後の学校給食のあり方について深い議論を期待したいところです。