安全・安心の横浜へ 「何を言ったかでなく、何をやったか!」

公明党 横浜市会議員(青葉区) 行田朝仁 (ぎょうた ともひと)

「9プリンシプルズ」について 3968

未分類 / 2017年9月17日

DSC_5202昨日は広報紙関連打ち合わせの後、市民相談対応。午後から3か所で市政報告。最近読んだ本のひとつに「9プリンシプルズ」(伊藤穣一 他著 早川書房)があります。読みごたえがありました。

テーマは、「権威より創発」「プッシュよりプル」「地図よりコンパス」「安全よりリスク」「従うより不服従」「理論より実践」「能力より多様性」「強さより回復力」「モノよりシステム」。これまでの社会を作り支えてきたものが、今や通用しなくなっている事実を示しながら、どうあるべきかを深い分析のもとに示しています。自分の周りを思いつつ「確かにその通り」と感じる点が多々ありました。マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボ所長の同氏は、私と同じ京都の出身で、同じ学年の51歳。人には長所短所あるじゃないかと思いつつ、人間ここまで違うのかと感心します。

先日、日経新聞「池上彰の大岡山通信 若者たちへ(146)」のコーナーで「卒業後こそ勉強の正念場」との記事が掲載されていました。ここでは池上氏が同著を使って教育されている様子が書かれていました。ご紹介します。

「1980年代の日経新聞の広告に、「諸君。学校出たら、勉強しよう。」という強烈な文章がありました。電車の中で見て、思わず「うまい!」と心の中で快哉(かいさい)を叫んだものです。

 ここには、学生時代にはあまり勉強していなかったんでしょ、という皮肉が感じられます。多くの学生や社会人が、思わずうなずいたのではないでしょうか。

 私も大学を出た後、自分が学生時代にいかに勉強をしていなかったかを痛感。その後、自分なりに勉強してきました。社会に出てからこそが、勉強の正念場なのです。

 そんな気持ちを東京工業大学の卒業生たちにも持ち続けてもらおうと、この夏から、私の教え子たちを中心にして、読書会を始めました。

 お盆で東京の都心がガラガラになった日に、貸会議室を借りて読書会を開きました。選んだのは、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボの伊藤穣一所長とジェフ・ハウ客員研究員の共著『9プリンシプルズ』(早川書房)です。

 目まぐるしく変化する現代にあって、将来を見通すには、9つの原理を知る必要がある、という内容です。

 参加者は私以外に9人。私の講義を受けたことのない卒業生も加わりました。大学院に進んだ者、メディアや中央官庁、地方自治体に就職した者など。進路はいろいろですが、そこはさすが“東工大生”。9人を3人ずつ3グループに分け、各グループが各章を分担して議論。グループの代表者が議論の内容を発表すると、司会がホワイトボードに項目を書き出していく、というシステマチックな運営です。

 私の学生時代は、経済学や哲学の本を題材に、文章を1行1行読んでは意味について解釈し、それぞれの解釈にもとづいて議論する、という方法をとっていました。わずか1杯のコーヒーで長時間粘ったものです。

 当時は学園紛争(人によっては学園闘争)の真っ最中。ストライキで授業のない日々でしたから、読書会の時間はたっぷりありました。それぞれの勝手な解釈を基に口角泡を飛ばすような議論をしたものです。

 議論は時に感情的になり、今回のように、冷静に合理的に進めていくというものではありませんでした。うーむ、いかにも理系だなあと感心しました。

 読書会参加者のひとりは、「この本は要するにMITメディアラボの宣伝ですね」という辛辣な感想を述べていました。参加者の中には、メディアラボを実際に見た者も多く、イメージを抱きやすかったのでしょう。

 その一方で、読書会終了後、「内容が難しかったです」と自供する参加者もいました。大学時代、読解力を要する難解な書籍に取り組む経験があまりなかったのでしょう。私は思わず、「だからこそ、こういう本を読んで、自分の能力に負荷をかけることが必要なんだ」と答えました。社会に出て仕事の合間に難解な本を読むのは困難が伴うけれど、自分に負荷をかけ続けることで、自己の成長につながるのです。」

英語の原題は「Whiplash」むち打ち症の意。むち打ち症になってしまうほどの急速度で変化する社会とのスピード感覚の表現。副題には「加速する未来を生き延びるために」とのこと。

「過去数百年にわたり人類は未来予測となると、絶望的な記録を積み重ねてきた。それどころか、専門家たちや未来研究者たちは最悪の記録保持者たちで、無作為選択よりも成績が悪い。」「最も高速な未来のひとつの特徴は「ルール」といった硬直的なものすべてを破壊してしまうこと」「本書が単に非対称性や不確実性、複雑性という条件を観察するだけのところから、それについてどうするかという処方箋をだすところへと方向転換する。知らないのは構わない。じつは無知を認めることが、将来の出来事を予測するというますます無駄な目標のために資源を支出するより戦略的な優位性を持つ時代に今や突入しているのだ。」

激動に時代にあって、変化に耐えうるメンタルと行動について示した著作。とても示唆に富む内容でした。よろしければどうぞ。