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公明党 横浜市会議員(青葉区) 行田朝仁 (ぎょうた ともひと)

知らなかったでは済まない、名義預金の落とし穴について 3148

未分類 / 2015年6月21日

20150620_140316昨日は、地元の地域のために尽くし、地域に貢献してこられた方の叙勲をお祝いする会合へ。受章者ご自身のご挨拶の中で、全国規模で人権擁護活動を推進されてきたこともあり、様々な角度からのお話がありました。その中には相続でもめるケースを引き合いに「争続」のような悩ましい現実についても。益々のご健康とご活躍をお願い申し上げた次第です。夜には所属する青葉消防団の会議へ。

「人のために」「社会のために」。言葉だけでなく、行動する人々との交流は、明るく、前に進もうとする気概を感じます。私も頑張ります。

ところで、下記については、私には間違いなく関係のない話ですが、今年1月、相続税が改正され、基礎控除の引き下げや最高税率の引き上げが行われ、相続増税の影響で、富裕層を中心に節税策に関心が集まっているとのこと。正しい知識がないせいでトラブルに発展するケースもあるそうで、日経新聞「税を知る」のコーナーに、青山学院大の三木義一教授が「名義預金」についてインタビュー形式で解説されていました。少し長いですが、ご紹介します。

■課税庁は見ている

 ――相続税に関するセミナーがかなり活況のようです。やはり改正の影響が大きいのでしょう。

 相続税の問題を考えるときに、一般の人はすぐに節税策を考えます。そういう人を対象に、相続税対策として家の増改築を勧めたり、金融商品を売り込んだりする企業もあります。露骨に税金逃れをするような行為は私はやめたほうがいいと思います。課税庁は見てますからね

 生半可な知識で節税策に走る前に、大事なことを押さえておいてほしいと思います。最近、増えているトラブルが「名義預金」の問題です。

 ――よく耳にする言葉ですね。

 父親が亡くなった後、父親の金庫から預金通帳が何冊も出てきたとします。父親名義で2億円、全く知らない赤の他人名義で1億円、母親名義で2億円、子ども名義で2億円あったとします。相続税は発生してから10カ月以内に申告をしなければいけません。父親の相続財産はいくらと申告すべきか、わかりますか。

 ――父親名義は2億円なので、2億円と言いたいところですが……

 答えは当然、7億円です。もし2億円しか申告しなかったとしたら、税務調査が入って指摘されます。もし意図的に隠そうとした事実があれば、脱税事件で無罪判決が出ることはめったにありません。起訴されたら、ほぼ100%有罪になると考えてください。

 ――昔、父親からもらったと主張したらどうなるでしょうか。

 だとしたら、贈与契約があったことを証明しなくてはいけません。贈与は契約なので、父親が「お金をあげるよ」と言い、子どもが「ありがとう」と言って、双方の合意が必要なんです。贈与があったのに、片方がそれを知らなかったということはあり得ません。そして、もらったものなら自分で通帳やはんこを管理し、さらには贈与税の申告をしなければいけません。実際に、そのようなケースがありました。

■いったん無罪になったが…

 夫の死後、妻や子ども、第三者名義の預貯金や有価証券が見つかりました。妻は夫名義の財産だけ申告したのですが、その後、税務調査が入り、妻は相続税法違反で起訴されました。本来は課税財産が約10億6000万円、相続税額は約2億3000万円なのに、課税財産を7億3000万円と申告し、1億4000万円の相続税を脱税したという罪です。でも弁護士が頑張って、地裁ではいったん無罪になったんです。

 ――えっ、そうなんですか。

 被告人は夫の財産について全容を把握しておらず、税金に対する知識も乏しかった上に、夫が生前、「おまえにもちゃんと残してやるからな」「それぞれの名義はそれぞれのものだからな」などと言っていたため、自分名義や子ども名義の預貯金は、夫の財産ではないと思ってしまったようです。被告人が隠蔽工作をした形跡はなく、税務調査が入った際、預金通帳などが隠された様子もなく保管されていたことなどから、脱税の意図はなかったと判断されたのです。

――では重加算税など追徴税額を納めて、一件落着になったんでしょうか。

 ところが検察官が控訴し、高裁は地裁の審理が甘いとして、一転、逆転有罪を言い渡しました。税理士が被告人に「これで全部ですか。ほかに財産があれば言ってくださいね」などと確認したとき、「ありません」と回答し、ほかに家族名義の預貯金などがあることを言わなかったため、故意だと判断されました。懲役1年6カ月及び罰金2800万円の刑です。ただし、3年間の執行猶予がつきましたが。おそらく、地裁で無罪判決が出ていたからではないでしょうか。

■ひとまず全てを申告

 ――「知らなかった」では済まされないということですね。

 弁護士の立場で言うと、脱税事件の場合、無罪を主張するのか、それとも有罪を認めて執行猶予をつけてもらうか、選択が難しいケースもあります。本当に脱税の意図はなく、勘違いや知識の欠如が原因という場合ですね。無罪を主張して頑張りすぎると、裁判官の心証形成が悪くなって執行猶予がつかなくなる場合がありますから。

 ――そもそも他人名義で預金口座を作ることができるのでしょうか。

 最近は人の名義で預金口座をつくることはできなくなっているはずなので、いずれは減っていくトラブルなのかもしれません。でも、昔の人だと名義預金を持っているという人は少なくないんです。

 私が税理士から相談を受けたケースでも、親の死後、財産の中に他人名義の預金が見つかった人がいました。この人は、「本当に他人のものかもしれない」と相続財産から外そうとしたそうですが、しかし、それを自己判断でやって、後から脱税を指摘され懲役刑になったらどうするんでしょうか。私は亡くなった親の財産はひとまず、すべて申告することをお勧めます。そしてもし、本当に他人のものだとわかったら、更正の請求の手続きをすればいいんです。そのほうが無難です。

■税務署は銀行データを把握

 名義預金を隠し通せると思うのも間違いです。相続税を課税されるような人たち、つまり資産を持っている人たちの相続については、かなりの割合で1年以内に税務調査が入ります。税務署は銀行のデータを把握していますので、隠せると思わない方がいいですよ。

 ――親が自分の名義で預金してくれていたら、つい自分のものにしたくなる気持ちはわからないでもないですが。

 自分名義になっているからといって、自分のものだと思うのは間違いです。相続税というのは亡くなった人のものが自分のものになった時に発生する税金なんですから、きちんと申告して堂々としていればいいのに、なぜか、親がもっていたものは自分のものだと思い込んでしまう人が多いんですね。親が生きている時にもらったものでない以上、親のお金はすべて相続財産として申告するという、相続のイロハのイを強調しておきたいと思います。」

思い込みは怖いですね。当事者の方はお気を付けください。