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公明党 横浜市会議員(青葉区) 行田朝仁 (ぎょうた ともひと)

学校給食フードサイクルと電力の自給自足について 2823

未分類 / 2014年7月30日

昨日は温暖化対策・環境創造・資源循環委員会(常任委員会)の行政視察で札幌市役所へ。しかし、札幌の暑さは関東の蒸し暑さとは異なるものの、そうはいいましてもやはり暑いです。

札幌市では、ゴミの分別、資源化の促進の一環として、学校給食を作る過程で発生する調理くずや残食などの生ごみを堆肥化し、その堆肥を利用して作物を栽培し、その作物を学校給食の食材に用いて子ども達が食べるという食の循環「さっぽろ学校給食フードリサイクル」が札幌市立の学校の約95%で実施されています。単に学校給食の調理くずや残食のリサイクルだけでなく、食育の観点から食の環境を考え、ものを大切にする子どもを育てることを目指しているとのこと。

こうした活動の始まりは、平成12年に制定された食品リサイクル法になりますが、食品廃棄物の発生抑制をはじめ、食品関連事業者に対して具体的な基準を設け、食品廃棄物の再生利用等を義務づけ、さらに、飼料・肥料等として有効利用するとともに、食品廃棄物の発生抑制などを図ることを目的としています。

全国的にも様々な取り組みが行われていますが、札幌市は北海道大学の教授のアドバイスから着手。現在はかなり前に進んだ取り組みとして評価されています。

横浜市における学校給食の食品残渣の扱いについては、長く資源循環局が所管してきましたが、食育の観点からも現在は教育委員会で管理されています。

しかし、これほどの取組みには至ってはいません。お話を伺っていて、子ども達が堆肥を使って作物を栽培するなど「実感」できる仕組みを作ったことで、好影響を与えていることがわかります。

札幌市では、この事業の開始前後を比較し、給食の食べ残しが大幅にへっているとのこと。同時に「感謝して食べる」ということがかなり浸透しているようです。また、子ども達が自然な形で環境に配慮する思考や行動が顕著に表れているそうです。机上の勉強だけではなく、体験を通して学ぶことの大切さを感じます。

同市においても、堆肥が発酵して街中に悪臭が漂うことがあるなど、課題がないわけではありません。しかし、リサイクルはたくさんの人の協力によって成り立ち、たくさんの人たちの協力によって食べ物が食べることができるとの教育を思い、大人が乗り越えなくてはならないとの使命感から実現されていると感じました。

私からは2点質問。生ごみ回収とリサイクルにおいて様々な課題を乗り越えながら実現されてきたわけだが、乗り越えた大きな課題とまだ乗り越えなくてはならない課題は何か。

大きな課題は、販路の確保。6割は飼料で売られ、4割は肥料。肥料は中々売れない。原料を超える製品はできないので、生ごみをいかに良く加工するかに苦慮している。只、6割の飼料は安定販売できているので(2.5万トン)やっていけている。また、今後、新たな処理施設を作るので、それに合わせた生ごみ収集をしていく必要がある。これまでは手の付けやすいところから始めてきた(はじめは中央路市売り市場だった)が、現在は大手のラーメン屋や食堂まで着手しはじめている。

教育現場だけでなく、札幌市としての今後の拡大展開について質問。

課題や苦労はあるが、公共施設だけでなく、モデル的にすすきの地区で参加してくれるビルに再生可能エネルギーの利用支援を集い、拡大を図っている。どのように見せていくかが課題だと思っている。

お金がうまく流れないとリサイクルはうまくいかない。賛否あるが収集運搬会社を1社にしている。(第3セクターに一元化) それにより集めやすく、燃やすより安い値段で堆肥のリサイクルを実現している。一般的には収集から処理まで堆肥化には2.3倍のコストがかかっているが、焼却より埋め立てより安い値段でできるようになっているとのこと。

その後、利尻町へ移動。日本有数の再生エネルギー事業について。島の近くに震源地となる場所があり、3分間で20メートル級の津波着岸が想定されている利尻島。

住民避難、その後の避難所生活が可能となるような体制づくりを想定してスマートコミュニティ整備を続けています。現時点でも、日常生活レベルの電力量ではなく、災害時を想定した島内電力消費量に対し、77%がきょう供給できる体制になっていました。同島の取組みはあまり知られてはいませんが、技術先行型のモデル事業とは異なり、自治体として、そこに住む住民のすべてを守るとの観点から、最終的には日常生活における電力消費においても、島内で完結できる電力供給体制を構築するため計画を策定したいとされていました。

明快な目標を示し、具体的に行動し、住民からの支持を得る。自治体規模の大小は関係ないと思います。当然と言えば当然のことですが、エネルギー供給に関してそのように行動できる行政は数少ないのではないかと思います。まさに最先端の取組みであり、自治体としてのあるべき姿を見たように感じました。