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公明党 横浜市会議員(青葉区) 行田朝仁 (ぎょうた ともひと)

ノーベル賞 山中教授の声について 2168

未分類 / 2012年10月28日

昨日、地元・恩田地区ケアプラザのお祭りへ。開館して10か月。「どれだけの方が来られるか想像もつかなった」とは所長さんの言葉。心配とは裏腹に大勢の方が参加され、盛況のお祭りとなりました。地域の方々が顔を合わせ、笑顔で交流するひととき。裏方の方々のご苦労に感謝申し上げますとともに、より身近で、より使いやすくなるようなサポートをしていければと思います。
 
今月18日、公明党の再生医療推進プロジェクトチームが衆院第2議員会館にiPS細胞の研究・開発で今年のノーベル医学・生理学賞受賞が決まった京都大学の山中伸弥教授を招き、iPS細胞の可能性と今後の課題に関する講演が行われました。

あいさつした山口那津男代表は、山中教授のノーベル賞受賞を祝福し、iPS細胞には幅広い応用と人類全体への大きな貢献が期待されていると強調。新たな研究への資金投入など、政府は最大限に支援すべきだとした上で、「再生医療が広がりを見せる中で法的な整備を進展させなければならない」として、再生医療基本法案の制定に意欲を示しました。

山中教授は、初めに「ips細胞ができた2007年、当時の自公政権で始めてもらった迅速な支援が今でも続いており、研究がここまで続いている」「9月に成立した(さい帯血の研究目的での利用・提供を可能とする)造血幹細胞移植推進法の意義は大きく、成立に尽力した公明党に心から感謝したい」「この5年間の国の支援で、日本はips細胞を使った再生医療で世界トップを走っている」と言及。 

その後、これまでの研究で、iPS細胞から神経細胞や心筋細胞などを作製し、パーキンソン病や心疾患、脊髄損傷などに対する臨床研究が近く始められる見通しを提示。

また、白血病などの治療に有効な、さい帯血からは良質なiPS細胞が作られると説明。多くの人が使えるiPS細胞をあらかじめ用意しておく「iPS細胞ストック」の実現へ、さい帯血が持つ可能性に言及。さい帯血が保存から10年で廃棄されることを指摘し、「さい帯血という宝の山を、iPS細胞という違う形で患者のために使わせてもらいたい」との訴え。

さらに山中教授は、iPS細胞の研究で日本は世界のトップを走っていると強調。「何としても移植可能なレベルのiPS細胞第1号を作らなければならない」と力説。

一方、さい帯血移植の保険適用などを公明党とともに推進し、今回の山中教授招聘にも尽力したNPO法人さい帯血国際患者支援の会の有田美智世理事長は、「さい帯血を有効利用できる知恵を出してほしい。それが山中教授の研究をさらに発展させられるかどうかの分かれ道だ」と主張。治療に役立つiPS細胞ストックの実現を、市民が連携して応援したいと述べられたそうです。 

講演の最後に山中教授は「私自身、研究時間を確保するため、約束していた講演等もほとんど断らせて頂いている状況だが、きょうは何があってもここに来たいと思っていた。」とまで話をされていたとのこと。
 
党としても、頑張って支えてきた結果だと思いますし、嬉しいお話です。これからもしっかりと支えていくべき研究であると思います。
 
昨日の日経新聞夕刊には山中教授へのインタビューが掲載されていました。ご紹介します。
 
──毎年、山中教授はノーベル生理学・医学賞の受賞者を当ててきたが、今年(2012年)の受賞者は誰だと思っていたのか。
  
 高コレステロール血症の治療薬、スタチンを開発した東京農工大学名誉教授、バイオファーム研究所代表取締役の遠藤章先生だと思っていた。第一三共でスタチンが高コレステロール血症の治療薬となることを証明、最終的にブロックバスターの開発に成功した。心臓血管障害の治療薬の商品化を通じて、人類に福音をもたらした。
  
──ご自分が今年、ノーベル生理学・医学賞を受賞するとは予想していなかったのか。
 
 全く予想していなかった。ただし、今から思い当たるとすれば、受賞を知らされる前日に京都で開催されたSTSフォーラムに参加したおり、スウェーデンKarolinska研究所のHarriet WALLBERG-HENRIKSSON所長が、共に参加していたセッションが終わった後で、なぜかウインクしたような気がしていた。
 
──世界のiPS細胞臨床研究の現状はいかがか?
 
 最も研究が先行している米国は、意地でもヒトES細胞(胚性幹細胞)[注1]の臨床応用にこだわっているように見える。iPS細胞の臨床研究の準備では日本が先行している。
 
──iPS細胞の臨床応用のリスクとは何か。
 
 もはやiPS細胞とES細胞は区別ができないところまで、研究が発展した。一言で言えば、どっちもリスクがある。移植後に良性腫瘍ができる可能性がiPS細胞にも、ES細胞にも残っている。現在までの研究で、悪性腫瘍やテラトーマ(奇形種)[注2]が移植後に発生することを抑止することにはメドがたった。しかし、ヒトES細胞由来の細胞でも報告されているが、移植後長期間を経た後に、細胞が増殖をしてしまう、例えばiPS細胞から分化した神経細胞、そのものが増殖することはまだ、防止することができない。
 
もう一つの問題は、たとえマウスで移植後の細胞の安全性を確認してもたかだか1年間の安全性の評価しかできないことだ。ヒトに臨床応用した場合には長期の安全性を確保しなくてはならない。前臨床試験に方法論上の問題があるのだ。
 
──iPS細胞の臨床応用の最大の敵は何か。
   
 科学的な問題以外にも、臨床応用には社会の理解などの問題が存在する。しかし、こうした問題も、結局は科学的にきっちりと研究を進めて解決するしかないと思う。もう1つ付け加えれば、再生医療はiPS細胞の応用先のほんの一部だ。むしろ、創薬研究のためのスクリーニングや安全性試験などにiPS細胞が幅広く貢献される可能性があることを忘れてはならない。
 
──山中教授が提唱していたiPS細胞バンクはどこまで進んだか。これが出来れば、幅広い疾患に応用が広がり、経済的に分化細胞を提供できる可能性がある。つまり、iPS細胞の産業化の鍵を握っている。
 
 iPS細胞バンクを創設するためには、HLA(組織適合型抗原)がホモ(両親から引き継いだ遺伝子の型が同じ)の人から細胞をご提供いただかなくてはならない。確率的にも数の少ないHLAホモの方を探すのはとても大変である。
  
そこでHLAの情報を既に解析済みである日本赤十字社の血小板輸血のドナーなど、幅広い外部機関との連携が必要となる。日赤とは前向きの議論を行っているところだ。骨髄バンクとはまだ話が出来ていない。臍帯血バンクは先の造血幹細胞委員会で、iPS細胞細の研究に協力するには、現状の同意書でも対応できるとの見解を示したくれた。ただし、生後3カ月以降にはドナーとコンタクトしない原則があり、難しい問題がある。もちろん、京都大学の病院の協力をいただき、京大でも積極的にiPS細胞バンクのドナーを探している。
 
──大型のiPS細胞の政府の研究プロジェクトが2013年度に終結し、iPS細胞研究所で雇っている研究支援者を雇い止めしなくてはならない「2014年問題」は解消したのか。
 
 今年度の予算ではまだ解消していない。文部科学省のライフサイエンス課がiPS細胞を支援する新規プロジェクトを検討しているとは聞いている。一番重要なのは雇用の継続だ。知財や広報、研究費の確保などiPS細胞研究を支える優秀な専門家が安心して働く条件を整備しなくてはならないと思っている。
 
──最後に、ノーベル賞を受賞する機会は一般人にはとても得られない。受賞が決まったと告知された瞬間に味わった無上の喜びとはどんなものか。
 
 喜びなどほとんどない。あえて言えば、カエルで核移植によって「初期化」という現象を最初に報告した英国Cambridge大学のJohn B. Gurdon教授と一緒に受賞できたことがうれしい。今年来日した時にご一緒したが、高齢でその時は体調が優れず心配していた。
 
ips細胞 人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell)の略称。さまざまな細胞に変わる能力を持つ万能細胞で、再生医療などへの応用が期待される。難病患者から細胞の提供を受け、iPS細胞を作り解析すれば、発症原因や治療法の発見にもつながる可能性がある。受精卵を利用するES細胞(胚性幹細胞)の倫理的問題点も解決できるので、治療への応用が早まると期待されている。